SSブログ

捉えどころない3曲目:You're My Baby [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

アルバム3曲目の「You're My Baby」はアルバム中一番地味な曲。
でも、なんとも捉えどころのない曲なんですよね。デューリーの曲はというかチャズ・ジャンケルは複雑なコードを使うので、この曲もたぶん微妙なテンション・コードが使われてそうです。
アルバムのコード譜とかあったら見てみたいんだけど。

歌メロと対になるような浮遊感のあるギターのオブリガードにひらひらとフルートが舞う。
ラブ・ソングといえばそうなんですが、この時期デューリーは再婚して、子供が生まればっかりだったんですね。だからここでBabyというのは、言葉通り赤ちゃんのこと。

毎日毎日 君をみつめる
すると毎日なにかを 君の中にみつける
もう ありあまるほどの愛を手にして
君なしでは おうどこへも行かない

小さな子供って日々変化成長していて見ていて飽きることがないですもんね。そんな驚きや愛しさが穏やかに湛えられた曲です。

歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。
nice!(0)  コメント(0) 

アフロビーツの指針 [アフリカ]

TiwaCelia.jpg

スポティファイの新譜にティワ・サヴェージとサム・スミスのコラボ曲が出てきたときはびっくりしましたねぇ。一瞬同姓同名の別人かと思いました。そのコラボ曲を含む新作「Celia」がリリースされました。

僕は評判だった前作がいまひとつピンとこなかったんですけど。M.I.A.みたい。欧米っぽくなりすぎじゃない?なんて思ってたんですが、実際はジュジュやアフロビートなどがつづれ織るように編み込まれた新世代のナイジャ・ポップだったんですね。

最近は新世代アフロ・ポップにも慣れてきたので、今回は素直にカッコイイ。
新作は既にひとつのジャンルとしても定着しつつあるアフロビーツ全開のアルバムとなりました。
ストリーミング時代に生まれたジャンルらしく、シングル主体でいろんな人がさみだれ式にリリースして、いまだアルバム単位で聴く習慣がある僕なんかはちょっと聴きにくいという感じもあるんですよね。スポティファイやYoutubeのプレイ・リストとかで聴くのが正しい聴き方なのかもしれない。だからこうして一本筋の通ったアルバムとしては待ってましたって感じです。

クールにゆるゆると進む音楽を聴いてると、アフリカン・ポップの様変わりも感じます。とはいえこのクールネスはブラック・ミュージック特有のものでもあるか。
個人的にはアフリカらしいポリリズムと欧米のビート・ミュージックがインターネットの普及で即時的に混交・交配していく様が見えるようなところがスリリングに感じています。

「Celia」ってのは彼女の母親の名前だとか。ラストのタイトル曲は母の名前を借りてアフリカ女性を湛えるような、静かな歌声が耳に残る。
アフロビーツのひとつの指針となるような作品じゃないでしょうか。

nice!(0)  コメント(0) 

ルース・エドガー [映画]

luce.jpg

文武両道で誰からも慕われる黒人の高校生ルースは、ある事から同じアフリカ系の女性教師と対立し…。深刻な矛盾を孕んだ米社会の現状を抉り、人間の本質に鋭く切り込んだ人間ドラマ。

ジュリアス・オナー監督:ルース・エドガー
うーん。難しかった。主人公をどうとらえればいいのか。最後まで、展開が読めず、サスペンスフルで面白かったのは確か。優等生としての期待やステレオタイプの中での葛藤とか。芸達者な役者ばかりで地味ながらも力作ではあります。エンターテインメント作品としてあとひと工夫あればな。
nice!(0)  コメント(0) 

ホレス・シルヴァー・ラテン化計画 [R&B/JAZZ/etc]

latinsideofHS.jpg

コンラッド・ハーウィグのライフ・ワーク?プロジェクトの最新盤はホレス・シルヴァーを取り上げた「The Latin Side of Horace Silver」。一番最初の96年作「the latin side of john coltrane」は1月にこのブログで取り上げたばかり。あれは単にコルトレーンの曲をラテン・アレンジでやったというだけじゃない名盤だったな。
あれはスタジオ録音でしたが、以降のアルバムはライブ収録したもので、本作もそう。でも正直、どれもラテン・アレンジを施したという以上のものではなかったと思う。「Kind of Blue」を丸ごとラテン化したのなんかかなり聴きごたえはあったとはいえ。

僕はホレス・シルヴァーにあまり馴染みがなくって、曲もよく知らないんですが、唯一聴いたことがあったのが先行公開されていた「The Cape Verdean Blues」で、それを聴いて今回もその先例から外れることはないかなという印象を持ってました。
早速頭から聴いてるわけですが、まぁその通り。でも思った以上に良いんですよこれが。ライブらしい熱のこもった演奏が熱い。ビル・オコネルやロビー・アミーン、リッチー・フローレスなどパーッカッションを含むリズム隊にフロント4管、数曲ミシェル・カミロが客演しています。

ホレス・シルヴァーはラテン~アフロ的なアルバムも残してるみたいなんですが、ここで演奏される曲も、おそらくオリジナルより一層アフロ・ラテン度が高い本格派な演奏になってるんだろうと思います。
聴いておぉ!っと思うような斬新な仕掛けが施されてるわけではないので、もうひとアイデアあればなぁ。コルトレーン盤にはそれがあったんですけどね。
でもラテン・ジャズが好きなら十分楽しめる力作にはなってると思いますよ。
nice!(0)  コメント(0) 

凛とした歌声が映えるンバラ [アフリカ]

AyNammanteLe.jpg

今年ンバラは、いやアフリカはヴィヴィアン・チディッドでキマリだったんですが、同じくセネガルからTITIの新作「Ay Nammante Lë」も良い。前作はAfter youでも紹介されてました。本作は昨年リリースですけど。

ヴィヴィアン同様、本作もフィジカルでのリリースはないようで、セネガルではCDでのリリースがほんと少なくなってるみたいですね。
僕は前作は未聴なんですが、とにかくパワフルで女王の貫禄たっぷりなヴィヴィアンと比べると、ティティの方は凛とした歌声が印象的です。

イマドキらしく曲によって打ち込みも交えたタイコの乱れ打ちの中で映える、しなやかに震える歌声は素晴らしいですよ。1曲ある英語タイトルの曲打ち込みのエレクトロ風?ンバラでアクセントとしてこれはこれで面白い。
アフロビーツなのも良いけど、セネガルはやっぱりこういう正調ンバラに結局ほだされてしまいます。
nice!(0)  コメント(0) 

NEW NORMAL: SELFiSHについて [ひとりごと]

エファ・セリアの新曲「NEW NORMAL: SELFiSH」。
というかこの曲は、昨年リリースされたEPに収録されていた曲。

弦を加えたクラシカルなアレンジでの再リリース。
NEW NORMALってくらいだから、このコロナ渦の状況を受けてのものなのでしょう。
みんなマスクしてるし。
改めて要はこの人の声が好きなんですね。

nice!(0)  コメント(0) 

ニューオリンズ風味?2曲目:The Passing Show [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

続いて2曲目「The Passing Show」について。
イントロで右のスピーカーから聴こえてくるギターが刻むのはセカンド・ラインのあのリズム。すぐにドラムがはいってくるけど、かなりオフ気味で左のスピーカーからしか聞こえないので、基本的にギターだけをバックにしてデューリーが歌いだす感じ。

「The Passing Show」というのはいろんな出しものがある移動式の楽団みたいなものらしい。アメリカにはメディシン・ショウってのがあったので、それのイギリス版みたいなもなかな。歌詞はそういうことを歌ってるわけじゃないけど。

ワン・コーラス、サビも含めて歌い終わると、一気にすべての楽器がオンになってなだれ込んでくる。歌の合いの手のようなピアノのフレーズはもちろんニューオリンズ風味。でもその薫りもロンドンのパブの片隅でタバコとビールの匂いに燻されてしまった風に響くのがブロックヘッズらしいところ。

なんだかヤケクソ気味に騒いでるような、から騒ぎっぽい賑やかさや諦観めいたものを感じるのは、こんな歌詞のせいかもしれない。

横をすぎゆくショウに
つきあわなきゃならないけど
だからといって
俺らがなにもやらなかった というわけじゃない
でも 俺らがほんとに知ってると
思ってるようなことは
ただのカケラでしかないんだ
そうだったかもしれない ということの

ミッキー・ギャラガーの達者なピアノも良いし、ノーマン・ワットロイのベースは弦のしなりが見えるよう。グルーヴィこの上なし。歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。

nice!(0)  コメント(0) 

Fantasyの元ネタ [ひとりごと]

今朝ラジオからNaughty by Natureの「O.P.P.」という曲が流れてきて、あれ?この曲、ハーツデイルズの「Fantasy」じゃん。
というか逆で、「Fantasy」の元ネタがNaughty by Natureの「O.P.P.」だったんですね。たぶんラップをよく聴く人は、すぐにわかることなんでしょうけど。



なるほど。こういう元ネタがあったのか。
まぁそもそもNaughty by Natureの方もバックトラックは何かサンプリングしてるんでしょうけど。

ひさしぶりにハーツデイルズで検索したら公式チャンネルがあった。
MVもラスト・ライブも全部ある。うれしい。
最近女の子ラップというとチェルミコってのがいますが、ハーツデイルズの上手さとカッコよさを知ってるものとしてはなんか物足りなんですよねぇ。

スポティファイには彼女たちの最高傑作「Superstar」がないのは困りものですよ。

nice!(0)  コメント(0) 

挨拶代わりの1曲目:Jack Shit George [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

さてさて前置きが長すぎましたが、アルバム「Mr LOVE PANTS」の中身について書いていきましょう。
本作は前回書いた通り、チャズ・ジャンケルがバンドに復帰したってことで、ほとんどの曲をチャズとデューリーのコンビで書いています。

ご存知ない方のために言っておくと、デューリーは歌詞しか書きません。その時々で曲を書いてくれるパートナーがいます。でもこれは後々僕自身も認識したことなんですが、デューリーは歌詞しか書かないといっても、音楽的に何もしてないってことではないんですよね。音楽的なイニシアチブもかなりとっています。それはデューリーが亡くなって、ブロックヘッズが単独で活動するようになって、わかったことです。そのことについてはまたいずれ書くことにしましょう。

このアルバムの曲は10曲中7曲がデューリー/ジャンケルのコンビで書かれています。他は1曲をキーボードのミッキー・ギャラガーと、2曲をリズ・ジョーンズとのコンビで書かれています。
で、今日はまず一曲目の「Jack Shit George」について。
この曲はリズ・ジョーンズとの曲で、この人は本作には参加してませんが、デューリーとは84年の「4,000 Weeks Holiday」からの付き合いです。

スネアのタンッ!の音に弾かれるように流れ出すイントロのファンキーなリズムはヒット曲「Hit Me with Your Rhythm Stick」を彷彿とさせるもので、これだけでおぉ!ひさしぶりのアルバムは気合が入ってるぜ!と思わずにいられないものでした。

なにしろ前作「Bus Drivers Prayer & Other Stories」はくすんだ色調の渋いアルバムでしたからねぇ。ファンとしてはひさしぶりに出してくれただけでうれしくて、前作みたいな渋い枯れた感じでも全然問題なかったんですが。

このイントロだけでおぉぉ!となりましたよ。
そのファンキーなイントロに続いて現れるデューリーのヴォーカルはもうなんといっていいか歌というより浪曲師か講談師のような名調子。後にも先にもこんな風に歌う人はいませんからね。レゲエのトースティングとポエトリー・リーディングとラップが渾然一体となったようなまさに名調子です。

シャープなドラムにうねるベースライン、左右のアクセントを異にしたギターなどチャズのアレンジの筆が冴えわたっています。ブリッジの後の短い間奏のアイデアや最後のサビの後の短いベース・ソロ、そして最後にデイヴィ・ペインのサックスが登場と、もう完璧です。

この曲はバックとの掛け合いがまたユーモラスで面白いんですよ。
歌詞なんて普段は気にしませんけど、

今日、学校で何を習った?
 ジャックのクソだ
先生が目を離したすきにか
 そういうこと
とても興味をそそられたことはある?
 ぜんぜんない
退屈は 精神的な疲労の兆候か?
 そんなでもない
クラスのトップに立ったことは?
 一度もない
ケツ蹴られてほっぽりだされた後は?
 うすらバカになるだけ
うまいことやっていく見込みは?
 もう小さいのなんの
で終わりのベルが鳴ったら?
 クソ食らえ

とまぁこんな感じでファンキーで楽しいってだけじゃなくて、こういうユーモアにあふれてるところが何より魅力的なんですよ。
でもそうやって笑わせといて、サビでは鋭く切れ込んできます。

他人の美しさなど 我慢できない
 優雅なんざ マネできない
他人の謎など 盗めない
 他人の場所には 居すわれない
他人の務めなど やれっこないし
他人の歴史の中に
 特別な場所など とれっこない
奴らの歴史が
 跡も残さず消えちまったときには

デューリーの歌詞には「市井の知」といったものを感じるんですよね。文学的な気取りのない、日々の生活の中で培われてきた文学性というか。韻を踏みまくって言葉遊びみたいなとこも、意味が分からないくても響きだけ聴いてても面白いですよね。
後半のブリッジではこんな風に歌われます。

世間様から見れば 俺は二流の人間
これは 俺が自分でぜひ知っておくべきこと
不平不満を言うなんざ 俺の務めじゃないけれど
でも 幸せか俺? いやぜんぜん
若いときにチャンスを逃して
今は はしごの下にも届かない
俺がこの世に生まれてきたのは 自分の居場所を見つけるため
神さま 俺を成金にでもしてくれよ

子供の頃に小児麻痺を患い半身不随になり、これまでの偏見や苦難をファンキーなリズムに乗せてグルーヴィに笑い飛ばす。そんな姿勢に僕はいつも励まされるんですよ。いやそれが歌詞じゃなくて音楽全体から迸ってるんですよね。

一曲だけでこんなに長くなってしまった。言いたいこといっぱいあるんでね。
歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。

nice!(0)  コメント(0) 

2020年8月世界で一番聴かれてる曲は [ひとりごと]

スポティファイのチャートを見ると今一番聴かれてるのはカーディBとミーガン・ジ・スタリオンの「WAP」だそうで。
まぁ下品極まりない曲ですけど、英語を直接解さないのでそんなのはどうでもよし。そもそも言葉遊びですよね。カーディB節といっていいまことに今なラップですね。

MVもほんとエロいとうよりわるのり過ぎて笑える。
聴き慣れると妙に癖になるんですよね。

nice!(0)  コメント(0)