ナチスに仕掛けたチェスゲーム [映画]
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1秒先の彼 [映画]
サンバの粋を宿して [ラテン]
セウ・ジョルジからジョルジ・ベンジョールですっかりサンバ・ソウルに目覚めた私ですが。そんなところに「After you」で紹介されたパウラ・リマに食指が動かないわけがありません。
サブスクであれこれ聴いてたちまち大好きになったんですが、中でも僕が一番気に入ったのは2008年のライブ作「Sambachic」です。ライブ盤好きってのもありまして、ヴィヴィッドな歌声とグルーヴにすっかりまいっちゃいましたよ。
本作はDVDでも出てて、Youtubeで見ましたが、そちらの方が曲数も多くイヴォニ・ララをゲストに迎えたシーンもあるんですが、CDでは収録時間の関係か14曲の収録となっています。
それでもこのライブは素晴らしい。
曲目はこれまでのスタジオ作から選ばれているのかな。セウ・ジョルジとのデュエット「Cuidar de Mim」もあるし(正直バラードを気取って歌うよりどファンキーにきめてほしかったけど)、ジョルジ・ベンジョールの「Jorge da Capadocia」やラストの「Meu Guarda-Chuva」も腰を動かさずにいられないサンバ・ソウル満載。先達の遺産をしっかり受け継いでいるところなど、レイラ・ハサウェイのライブ盤を思い出した。年齢的にも同世代だし。
バック・コーラス3人を含むバンドはこの頃のパーマネントなメンバーなんでしょうか。映像を見ても息の合ったアンサンブルが素晴らしい。もちろんそこにのるおおらかで陽性のヴァイブをみなぎらせたパウラ・リマの歌声がなにより聴き手の心を解放させるんですよ。
ブラジルらしいなと思ったのはドラムの他に打楽器奏者が2人もいて、多くの曲でドーンと低音のスルド?やパンデイロの音が響くところがサンバ・ソウルならでは。他にもトロンボーン奏者はマルチ楽器奏者でもあるらしくカバキーニョの音も多くの曲で聴かれる。タイトルどおりサンバの粋がそこここに脈打ってるんですよね。
彼女の一番良い時を刻み付けた快心のライブ盤なのは間違いなし。
内へ向かって飛び立つ [R&B/JAZZ/etc]
クレオ・ソルの新作「Heaven」が素晴らしい。
いつものようにCDを待ってなんてやってると、聴きたい時期を逸してしまうので、今回は珍しくとっととダウンロード購入しました。
60-70年代のシンガーソングライターに範を求めたような音楽にはもう全然興味が持てなくて、クレオ・ソルは70年代のキャロル・キングを思わせる雰囲気を感じさせながら、自然と似た雰囲気になったという感じで新鮮に響く。そもそもこのリズム感・グルーヴは2020年代を強く感じさせるものですよね。
前作は7-8分と長尺の曲もあって、全体的にちょーっと長い・・・かなと思ってたんですけど、今回は2-3分のコンパクトな曲が中心で、全体の尺も前作の半分にも満たない30分しかない。
前作「Mother」同様、インフロ―のプロデュースでフォーキー・ソウルな音楽性に大きく変化はないが、冒頭のベースのグルーヴに先導される「Self」に象徴されるように、よりソウル・フィーリングが濃厚に漂っている。タイトル曲の内に秘めたようなファンクネスも前作にはなかった。
「Miss Romantic 」のラップ的ともいえるトーキング調の歌もソウルフル。ジャジー・ソウルな「Nothing On Me 」は昨今のUKジャズとの親和性も示している。そしてラストの「Love Will Lead You 」の穏やかながらも確信に満ちた歌声は美しく力強い。
前作は母になった喜びや生活が反映されたやさしく穏やかな作品でしたが、新作ではその生活の中で思いめぐらせた思索が綴られているような。緩やかなグルーヴの中で、ゆっくりと深く内へ向かって、内向しつつも内省的ではない、胸の中で翼を広げて飛び立つような解放感も感じます。
相変わらず妙に生々しいパーカッションの音はじめ、録音も素晴らしく良く、プロデューサーとアーティストの幸福な邂逅といったものを感じさせます。
前作、前々作ともにフィジカルはCDとLPだったけど、今回は今のところLPだけ。
でも、なんと9月29日にもう一枚新作「Gold」を出すとのことで、楽しみに待ちたい。これは是非ともフィジカルで欲しいと思わせる作品なので、抱き合わせで1枚のCDでもいいから出して欲しいな。