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父へ捧ぐラテン・ジャズ [ラテン・ジャズ]

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新作が物足りないので、ひさしぶりに引っ張り出してきたアルトゥーロ・オファリル・アンド・ザ・アフロ・ラテン・ジャズ・オーケストラの2008年作「Song for Chico」。
ちょうどラテン・ジャズにハマってた時にリリースされたアルバムだったので、めちゃくちゃ聴きました。タイトル通り、父チコ・オファリルに捧げたチコ所縁の曲を演奏したアルバムで、ラテン・ジャズ入門編としてもぴったりの内容だったんですよ。
このブログ始める前だったので、紹介したことなかった僕の2008年のナンバー・ワン盤です。2009年にグラミーもしっかり獲ってるんですよ。

一曲目はエリントンの「キャラバン」。
このエリントン・ナンバーはそもそもが西欧人のエキゾチシズムを刺激する曲想なんですが、ラテン・パーカッションが加わることにより、嘘が真になったかのような、でもやっぱり夢うつつの中、キャラバン隊が砂丘を越えていく絵が浮かんでくるような、そういう想像力を刺激する絶妙なアレンジで大好きなヴァージョンです。

二曲目はチコ作の「Such Love」。
スピーディなラテン・グルーヴに思わず腰が動く。終盤のティンバレス・ソロが煩くって最高。ティト・プエンテの「Picadilio」は冒頭からアルトゥーロがピアニストとしての力量見せつけるソロをとってオーケストラを引っ張る。

タイトル曲は自身が書いたんじゃなくて、本作には参加してませんが、ドラマー、ダフニス・プリエト作。チコ譲りのダイナミックな編曲が施されたアフロ・ラテン・ジャズです。
「Starry Nights」は星降る夜を見上げて誰かを想う、長尺のモード感溢れるベース・ソロが印象的なクール・ラテン。

父の代名詞的ナンバー「Cuban Blues」はサクッと短くストレートに。
続く「Humility」はトム・ハレル作。トム・ハレルってひそかに多くのミュージシャンの尊敬を集める人ですよね。フレッド・ハーシュと重なります。それはそうと、アルバム中最もドラマチックにアレンジされたこの曲もスピード感を失わずグルーヴするオーケストラの演奏が素晴らしい。

最後の自作「The Journey」は、それまでの熱気を冷ますスロー・ナンバー。ジム・シーリーのトランペットが朗々と響きます。

緻密でダイナミックなアレンジ、腕利き揃いのオーケストラ面々のソロも聴きごたえたっぷり、そしてそこここに街角の猥雑な熱気も残す、そんなラテン・ジャズの傑作です。新作に足りないものが全部ここにはある。ひさしぶりに聴いて大興奮しちゃいましたよ。
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ジェリー・ゴンザレス逝く [ラテン・ジャズ]

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あぁ~もうマジかよ・・・
ジェリー・ゴンザレスが亡くなってしまいました。
自宅の火事だって。

ゼロ年代以降の僕の最大のアイドルというかヒーローだった。
ショックです。
僕が彼のことを知るほんの少し前の2005年に来日したんですよね。
きっとまた来日してくれると思ってたのに・・・

今年は安室ちゃんは引退しちゃうし、ジェリー・ゴンザレスは死んじゃうし。心から惚れ込んだ音楽家を二人も失うなんて。なんて年だ!

火事で死んだのに、今日聴いたのは96年のライブ盤「Fire Dance」。裏ジャケにうつるメンバーのうち半分が鬼籍に入ってしまった。でも音楽は残る。最高のライブ盤です。
あぁほんとショックです。
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私好みのラテン・ジャズ2作を発掘 [ラテン・ジャズ]

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今年最後にわが家に届いたのはカーク・ライトシー・カルテット「FIRST AFFAIRS」(1986)。ジェリー・ゴンザレス繋がりでつい最近知ったピアニスト。
1937年生まれだから今年で80歳。それなりに名の知れた人だと思うけど、寡聞にして全く知りませんでした。チェット・ベイカーのサイドマンだったらしいが、チェットあまり聴いたことないので。

ドラムにエディ・グラッデン、ベースにサンティ・デブリアーノ、パーッカッションにジェリー・ゴンザレスというメンツ。
イントロのコンガの響きにゾクゾクしちゃう。このクールな感じ好みですねぇ。
そのポリリズミックにグルーヴするマイルスの「Eighty One」はじめ、ショーター、ハンコックなど所謂新主流派ジャズ の有名曲が並んでます。
全部が全部ラテン・テイスト濃い演奏ってわけじゃないけど、技術と情緒のどちにも傾かずニュートラルでパリパリとクリスプなテイストのピアノが気持ちよくスウィングしていて良いピアニストです。

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本作とほぼ同時期に同メンツで録音された姉妹盤「Everything Is Changed」(1987)も良いんですよ。前作ではパーッカッションのみだったジェリーがこちらではトランペットも吹いてるので1ホーン入りのカルテットってことになります。
本作もバリバリにラテンなのはなのはモンクの「エヴィデンス」くらいかな。それ以外はごく普通のモダン・ジャズ作ですが、こっちはバラードが良い。屋台骨を支えるリズム隊が辛口なので湿っぽくないのが良し。言葉少なに想いを伝えるようなピアノの音色が、窓から差し込む冬の日差しに溶けてゆく。

両方とも時折思い出したように取り出しても、いつも聴き手に満足感を与えてくれるような素敵な作品です。名盤ガイドに載らないようなこういう作品に出会うと、自分だけの音楽世界がまた少し広がるような気持ちがする。

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キューバの未来へ沸き立つ想いを胸に [ラテン・ジャズ]

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昨年のベスト10に選出した「Offense of the Drum」に続き早くもリリースされたアルトゥーロ・オファリル&ザ・アフロ・ラテン・ジャズ・オーケストラの新作「Cuba: The Conversation Continues」。タイトルからして今回のアメリカとの国交正常化のニュースに沸き立つ想いが感じられます。ここで奏される音楽もまた外に開かれている2枚組の大作。

今回はハバナ録音で、ゲストにルドレシュ・マハンサッパ、ミシェル・ローズウーマン、レニー・マニング、アレクシス・ボッシュらを迎えてます。
ダフニス・プリエト作の挨拶がわりの一曲のあと、「The Afro Latin Jazz Suite」が登場、アルトゥーロによるこの組曲は父チコの「Afro-Cuban Jazz Suite」への返歌ともいうべき大作。父の曲でアルトを吹いたのはチャーリー・パーカーだったけど、ここでは最近のアルト吹きではピカイチのルドレシュ・マハンサッパ。途中ほとんどアフロ・ビート化するなか力感あふれるソロを存分に聴かせてくれる。続く「Guajira Simple」ではキューバ人ピアニスト、アレクシス・ボッシュが哀感漂わせたピアノをつま弾き、ミシェル・ローズウーマン参加の「Alabanza」はヨルバ由来の太鼓バタも加えた横揺れのポリリズムに緻密なホーン・アレンジや幾何学的な?ピアノの音色が心地よい本作の白眉。この曲も10分くらいあるし、比較的長尺の曲が多い。

以降も前作に続き参加のDJロジック参加のヒップホップ的(というほどでもないか)な曲もあったり、ソンのフィーリングをたっぷりまぶした「El Bombón」。レニー・マニングが歌う「Second Lina Soca」はニューオーリンズ~キューバのミッシングリンクを探っていく。キューバ独立の英雄ホセ・マルティの名を冠した最終曲「There’s a Statue of Jose Martí in Central Park」はフリー・ジャズ×サンテリアなチャレンジングな楽曲。

前作はちょっと小難しく堅苦しい感じが無きにしも非ずだったんだけど、今回はもっとおおらかな開放感の方がまさってるな。大作ではあるけどリラックスして楽しめます。

ここ数年ずっと充実した活動をしているのに、このグループが注目されないのにはまっーたく不満です。ほんとにジャズは最近盛り上がってんでしょうか?こういうのは所謂JTNCには入らないってことかな。
まぁそんなことは関係ないく、引き続き絶好調を維持した二枚組の大作。オススメです。
ライブ見たいなぁ。そりゃもう強力だろうなぁ。

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役者が揃うとやっぱり違うラテン・ジャズ [ラテン・ジャズ]

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今日はひさしぶりにエル・スールに行きました。随分久しぶりだったような。
いつも行くとヴィンテージ・ラテンのコーナーをじっくり見るんですが、その中から今日はティト・プエンテの79年盤を抜き出しました。名義はラテン・ジャズ・パーカッション・アンサンブル。オリジナル・リリースのLatin Percussion Inc.はもともとパーカッションの教本を作ってる会社だったようで、どうりで打楽器が主役なアルバムなわけだ。

メンツはドラムに昨年亡くなってしまったスティーブ・ベリオス、コンガにパタート・ヴァルデス、ここに御大ティト・プエンテが加われば、そりゃもう最高のラテン・ジャズ・パーカッション・アンサンブルに違いない。
エディー・マルティナスの粒立ち鮮やかなピアノも耳に残るし、腕利きぞろいでこれで悪いわけないわけで実際最高にカッチョイー、ラテン・ジャズ盤に仕上がってます。

一曲目の「The Opener」からしてタイトル通りアルバムの幕開きにふさわしいスピード感あるピアノのリフに乗ってティトのティンバレスが全編はじけ飛ぶ。主役は俺だ!って感じですね。
打って変わってヴァイブの音もクールな二曲目は女性ヴォーカルも交えピアノもブルージーではすっぱなグルーヴに酔わされる。
ひたひたと熱を帯びていく演奏に手に汗握る「アフロ・ムード」。モーダルなベースラインに導かれてピアノがクールなソロをひとくさりとった後のパタート・ヴァルデスによる訥々と語りだすようなパーカッションの雄弁なこと。

時にクールに時にブルージーに洗練された音の隙間からアフロ的野生溢れる熱情が迸る。ラストはティトとパタートの打楽器乱れ打ち。夏の夜をクールに熱くさせてくれる極上盤に文句なし。


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Jerryの新作CDもやっと出たよ [ラテン・ジャズ]

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ジェリー・ゴンザレスの昨年末にでた新作。ダウンロードだけだったのが、ようやくCDもでた。
やっぱCDで欲しいので買っちゃった。
こういうのは自分にとっては定番のおかずというか、主食みたいなもんだから。

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ネットサーフィンしながら部屋で掛け流せば、何の変哲もなさそうでよく聴けば複雑怪奇な演奏にたまげる。そんな音楽。


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拡張するアフロ・ラテン・ジャズ [ラテン・ジャズ]

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昨年のライブ盤に続くアルトゥーロ・オファリル&ザ・アフロ・ラテン・ジャズ・オーケストラの新作「The Offense of the Drum」が早くも登場。
ライブ盤で一区切りつけたのか本作は攻めの一作になった。
っていうかまぁ新しいことやりたくなったんだろうな。

様々なゲストを迎えてアフロ・キューバン・ジャズを拡張させるような開放感が気持ちいい。
一曲目はコロンビアのアルパ奏者エドマール・カスタネーダを迎えてのコロンビア×ブラジル×アフロ・キューバン?な曲。アルパの音が時にコラのように聴こえる瞬間もあるようなないような。
続くのはChristopher “Chilo” Cajigas のポエトリー・リーディング/ラップにDJ Logicのスクラッチが絡む。
どの曲も比較的長尺で曲構成も凝ってるので、ちょっとまだるっこしかったりもする。

ベスト・トラックは現行ジャズ・シーンの最重要ピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーを迎えての「The Mad Hatter」でキマリ。この曲何回聴いても何拍子だかわからない。モーダルな雰囲気をまとったまま次第にクールに燃え上がる演奏がスリリング。
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タイトル曲には和太鼓まではいってるし(別に和風の曲になってるわけじゃないけど)、エリック・サティに最後はドナルド・ハリソンを迎えてのニューオーリンズ・クラシック「Iko Iko」。そこまでやるか?とも思うし、時に複雑に小難しくなりすぎてるきらいもなくはない。でも、どうせ新しいことやるなら多少勇み足気味のほうがいいし、とりあえず今やりたいことは全部やる!という気概を買おう。もちろん支持します!
どの曲も聴きごたえはたーっぷり。豪放磊落にして緻密。

アルトゥーロよくやった!いよいよ親父を越えてきたかもね!

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重鎮健在のラテン・ジャズ2曲 [ラテン・ジャズ]

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エディ・パルミエリが手掛けた映画(草バスケットボールのドキュメンタリー?)のサントラ「Eddie Palmieri Is Doin' It in the Park The EP」。

アマゾンで試聴したらEPなので11曲中7曲はSE(というか劇中の話声とか)の類で楽曲は4曲のみ。うち2曲はルンバ的なパーカッションだけの曲みたいなので、残りの2曲だけダウンロード購入。クーポンがあったのでしめて百円也。

「Coast to Coast」はロニー・キューバーのバリトン・サックスがブリブリっとハードに鳴り響く。でもそれより後半のルイス・キンテーロのティンバレス・ソロに悶絶。クラクラする~。ラテン・ジャズ・ファンは必聴!

もう一曲の「Locked In」はジョー・ロックのヴィブラフォンがクールにキメる中、パルミエリがピアノ弾きながら唸り吠える声がやかましい。パーカッションの三人も叩きまくるのでクールさを越えてゴリゴリ熱い!しかしほんとパルミエリのうなり声はうるせーなー。笑うよ。

重鎮健在のラテン・ジャズ2曲、おすすめです。

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父の遺産を受け継いで [ラテン・ジャズ]

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アルトゥーロ・オファリル&ザ・チコ・オファリル・アフロ・キューバン・ジャズ・オーケストラのライヴ盤「Final Night at Birdland」。父チコが生前ずっと自己のグループを率いてバードランドで定期的に行っていたライブを、父の死後は息子アルトゥーロが受け継ぎずっと活動していた。
タイトル通りバードランドでの最後のステージを収録したライブ盤。演奏曲目は父やマリオ・バウサの曲などお馴染みのキューバン・ジャズ曲。なのに聴いてて熱くなる。
たとえば今ハード・バップをやられてもかなり予定調和的な空気が漂ってしまうのに、ここでの演奏にはそういうところが全くない。やっぱりラテン・ジャズというのはダンス・ミュージックとしての矜持を持ち続けているからなのかな。ジャズ的にアートに振れそうになるところをラテンのリズムがダンスに振り戻してしまうというか。

一聴すれば昔ながらのビッグ・バンド・ラテン・ジャズなれど、よく聴けばちゃんと新しいアイデアや意匠が丁寧に組み込まれ、アップデートされている。おそらく父の残したスコアをじっくり読み込みながら自分なりの解釈やアイデアを取り入れてるのだろう。真摯に伝統を受け継ぎながらもちゃんとそれを前に進めていこうという気概が感じられて清々しい。

親と同じ道を歩むって難しいけど、正攻法に遺産を受け継ぎ発展させていこうとするアルトゥーロはもっと高く評価されていい。充実のライブ盤ですよ。


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夏の終わりの夕暮れ時、海岸線をドライブ [ラテン・ジャズ]

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ひさしぶりに買ったラテン・ジャズ。
パーカッショニスト、サミー・フィゲロア&ヒズ・ラテン・ジャズ・エクスプロージョンの11年作「アーバン・ネイチャー」。よく知らない人ですが、ジャズだけでなくロック・ポップス・R&Bなどいろんな人のレコーディングに参加してきた人みたい。

本作はジャケのイメージどおり、夏の終わりの夕暮れ時、海岸線をドライブって感じのシチュエーションにぴったりはまる洗練されたラテン・ジャズ作に仕上がってます。
言ってみれば中庸なわけですが、その中庸さ加減がいいわけですよ。

バンドは2管編成で、パーカッショニストがリーダーといってもリーダーは黒子に徹しているのが成功のもと。
曲はピアノとベースが手がけ、センスのいい曲が揃ってます。
タイトル曲をどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=SHijy-IFIog&feature=related
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