キューバの歌の女王 [ラテン]
ナットのあっさりフィーリン [ラテン]
ナット・キング・コールって長いあいだ自分の中では黒人的なフィーリングのないつまらない歌手の筆頭だった。
黒人音楽ってのはやっぱオーティス・レディングやOVライトこそが最高だと思ってたから。
昨年エル・スール・レーベルからリリースされた「フィーリンを感じて」に一曲収録されていた「パーフィディア」が気に入ってラテンの名曲を歌った3枚のアルバムを収録した本CDを購入。
CDにはライナーも何もついてないんだけど、アマゾンの説明によると「1958年、アルマンド・ロメウ楽団の伴奏で歌ったキューバ録音の「Cole Espanol」。1959年、ペイジ・キャバナウ楽団の伴奏で歌ったハリウッド録音の「A Mis Amigos」、1962年、ラルフ・カーマイケル楽団とペイジ・キャバナウ楽団の伴奏で歌ったメキシコ録音の「More Cole Espanol」(Capitol W-1749)から全30曲を収録」とのこと。
本場ラテンの歌手が歌えばもっと濃厚な情感が漂うのかもしれないけど、あっさり風味がいい感じ。あっさりだからフィーリン的なのか。
黒人だからって黒人的な音楽をやらなきゃいけないわけじゃない。
ようやくナット・キング・コールの音楽も楽しめるようになった。
ラテンのリズムの上をかるーくそよそよと吹く風のようにのっかる歌がジメジメとしたこの時期には心地いい。
バックの演奏も聴きこめば色々発見がありそう。
今月買ったCDはこれ一枚。
いまひとつ音楽を聴きたいという欲求がわいてこない。
たまにはそんな時もあります。
憧れのキューバン・ナイツ [ラテン]
またレコード買ってしまった。
ミゲリート・バルデスの「Cuban Nights」。
こちらの記事を見てからずーっと憧れにも近い想いをもっていたのです。
eBayには以前から何枚かこのレコードが出品されていたんだけど、結構高くて。
それなりの金額を出す用意はあったんだけれど、送料も含めると1万円近くなってしまうので、二の足をふんでいた。
今回ようやくお手頃価格の20ドルで発見。送料含めても日本円で三千円弱。
早々に届いて、この雰囲気たっぷりなジャケもよし。
レコードを取り出すとすごく厚い。
この頃のラテンのレコードがいい音がすると言われるのはこの厚みも影響しているからだろうか。
音の方も、うーん、いい音する!!
この中低音域のふくよかさはCDでは味わえないもの。
パーカッションは深くお腹にずしんとくるし、もちろんミゲリートの声も朗々と響く。
金管楽器もキンキンしない。ひとつひとつの音の堀の深さが音楽をより濃密にしてくれる。
憧れのレコードがようやく自分のものになってうれしい。
やっぱレコードっていいな。
姉御肌なフィーリンの凛々しさ [ラテン]
今朝は金環日食でしたね。
何も用意してなかったのでチラ見してたら、当然眩しくて何も見えず(←ただのバカ)、
どうしたもんかと思ったらネガフィルムがあったので無事綺麗な輪っかを見ることができました。
次が何百年後かしらないけど、朝からいいもの見たーと思いながらの一日の始まり。
ホセー・アントニオ・メンデスの「フィーリンの真実」に続いて、ホセーの入手可能な残り2枚をはやいとこ聴きたいと思いつつ、「フィーリンの真実」の味わいを薄れさせたくなくて今年はとりあえずいいかなと思ってた。
そんなところへ知ったプエルトリコ産フィーリン、ルーシー・ファベリー。
こっちは女性だしホセーとはちがうフィーリンを味わえるかなっと思い、ジャケの目ヂカラにもやられてさっそく購入。
55-57年のハバナ録音。
ジャケのイメージ通り失恋の悲しみをよしよしと慰めてくれるような姉御肌な歌い手さんです。
でも、いつまでもくよくよしてると「いい加減にしなさい!」と怒られそう。
自らの悲しみはたった一粒の涙に込めてしまうような歌い口が凛々しい。
彼女の歌に比べるとホセーの歌はなんとも女々しい(そこがいいんだけどね!)。
やはりいつの時代も女の方が強いということかな。
女々しいという形容詞は男に対してしか使わないものね。
ロマンティシズムの結晶 [ラテン]
雰囲気抜群の写真にシンプルなタイポグラフィー。いいジャケだなぁ。
しみじみ眺めてしまう。
ホセー・アントニオ・メンデスの「フィーリンの真実」。
仕事帰りの電車の中でなにげにエル・スールのHPを見たら、入荷の二文字!
すっ飛んで行って一番乗りでゲットしました。
実は一作目はそのうちと思いながら未購入のままだった。
先日、店内でかかっているのを聴いてすっかり惚れ込んでしまってリリースを心待ちにしてた。
店長渾身のライナーによれば一作目の成功の後57年の録音で全曲自作とのこと。
個人的には瀟洒なバックのオーケストレーションにも耳を奪われる。
でも何といってもホセー・アントニオのロマンティシズムの結晶の様なスモーキーな歌声。
これは女々しいというのとは違うよね。女性にはどう聴こえるのかわからないけど。
CD後半に収録された弾き語りはまるですぐそこでホセー・アントニオが歌っているような気分になるインティメイトな雰囲気にしっとりうっとり。
既に今年のベスト10入りは確実。一生の宝物です。
海外ではまともにリイシューされていないホセー・アントニオ・メンデスのCDが二枚も簡単に買えるなんて、なんて幸せなんだろう。一作目もなるべく早くゲットしよう。
ところで先日は1時間以上店内にいたのにもかかわらず1枚だけの購入で我慢したのに、今日はホセー・アントニオをゲットできた嬉しさでタガが外れてしまい、あれもこれもそれもまだ店頭に並んでないものまで出してもらって購入。今日一日で予算オーバーだ。
ま、そういう時もあります。でもいーいのゲットしましたよ。まだ聴いてないけど。
それはまた後日。
ペルー・クリオージャ音楽のCD4枚到着。 [ラテン]
帰宅すると、海外から小さい箱が届いていた。
過日ネット・オーダーしたCD4枚。
愛読ブログafter youで紹介され、MMでも取り上げられていたペルーのクリオージャ音楽のCD、ジャケット見ただけでこれは!と。
ネットで検索すると制作元のサヤリー・プロダクションのHPが見つかった。
音だけでなく映像や写真など、すごく充実してます。
http://www.sayariy.com/content/content.php?pID=51&pIDIdioma=2
先日CDをまとめて処分したので、そのお金はやっぱりCDに充てなくてはと自分に言い訳して、同プロダクションから出てる4枚思い切ってオーダー4回クリック。
とりあえず一枚ロス・グァルディアス・デ・ラ・ムシカ・クリオージャ「LA GRAN REUNION: CRISTAL HERIDO」を聴く。
19人のベテランが一曲ずつ歌い最後はみんなで。
カホーンとカスタネットによるリズムの横揺れ感が心地良い。リズミカルかつメランコリックなギターも美しい。ここで歌い演奏される歌がいつ頃から歌い継がれてきたのか、門外漢である僕にはまったく分からないけれど、市井の人々の暮らしの中で愛されてきた歌の数々だろうことはよく分かる。録音も良く、すぐそこで演奏されているよう。
僕が持ってるクリオージャ音楽のCDはアルトゥーロ・サンボ・カヴェーロの2枚だけ。それを初めて聴いたときにも思ったけど、どこかキューバのルンバに似てる気がした。
ラテン音楽の中ではブラジルのサンバよりもキューバのルンバのほうが好きだけど、それはたぶんパーカッション類が刻むリズムの横揺れ感というかポリリズミックな感じがルンバのほうが強く感じられるせいかも。サンバはかっちりとした2拍子的な感じが強いから。
スペイン語とポルトガル語の違いもリズムに影響してたりするんだろうか。
4枚とも装丁も丁寧で、うれしい。
ちなみに僕はこれをHPにリンクのあったCD Babyでオーダーしたのだけど、送料込みで75ドル程。ご存知のとおり円高ドル安なこともあってとても安く買えた。円高様様です。
今年も残すところあと三ヶ月、この4枚ゆっくり大切に聴きたい。
コミュニティ・サンバの深い味わい [ラテン]
最近はすっかり休日しか更新してませんが、しばらくこんな感じでよろしくどうぞ。
なぜかサンバが聴くたくなったので、「MEMÓRIA DO SAMBA PAULISTA」というシリーズから2枚ほど購入。
一枚は「EMBAIXADA DO SAMBA PAULISTANO」。サンパウロのグループらしいです。
家にあるこういったコミュニティのサンバCDは一枚くらいしかない。
このCDはリード歌手が曲ごとに変わるので最後まで飽きずに聴ける。
アコーステックな各種打楽器と弦楽器をバックにリードが歌いサビはみんなで歌う。
こういうのがやっぱり僕は好きですね。
最後の曲だけそれまでの曲とはちょっと毛色が違って女性がリードでピアノなんかも入ってちょっと洗練された感じの10分弱の曲。いいアクセントになってる。
もう一枚は「Toniquinho Batuqueiro 」。
サンパウロの80歳になるサンビスタのCD。
こちらは前CD以上に素朴な歌と演奏。
朴訥としていながら人生の年輪が刻まれた声。うーん渋い。
ろくにサンバ聴いたことないのによく言うけどさ。
でも、誰が聴いてもそんな印象を受ける作品です。
あと、こっちは最後の曲だけというか曲が終わった後、延々10分くらい喋ってる。
なーに喋ってんだろ?言葉がわからないとちょっと・・・。
どちらか一枚というなら前者をお勧めします。
とはいえ両者共に深い味わいに満足。
なぜかサンバが聴くたくなったので、「MEMÓRIA DO SAMBA PAULISTA」というシリーズから2枚ほど購入。
一枚は「EMBAIXADA DO SAMBA PAULISTANO」。サンパウロのグループらしいです。
家にあるこういったコミュニティのサンバCDは一枚くらいしかない。
このCDはリード歌手が曲ごとに変わるので最後まで飽きずに聴ける。
アコーステックな各種打楽器と弦楽器をバックにリードが歌いサビはみんなで歌う。
こういうのがやっぱり僕は好きですね。
最後の曲だけそれまでの曲とはちょっと毛色が違って女性がリードでピアノなんかも入ってちょっと洗練された感じの10分弱の曲。いいアクセントになってる。
もう一枚は「Toniquinho Batuqueiro 」。
サンパウロの80歳になるサンビスタのCD。
こちらは前CD以上に素朴な歌と演奏。
朴訥としていながら人生の年輪が刻まれた声。うーん渋い。
ろくにサンバ聴いたことないのによく言うけどさ。
でも、誰が聴いてもそんな印象を受ける作品です。
あと、こっちは最後の曲だけというか曲が終わった後、延々10分くらい喋ってる。
なーに喋ってんだろ?言葉がわからないとちょっと・・・。
どちらか一枚というなら前者をお勧めします。
とはいえ両者共に深い味わいに満足。
ペルーの澄み切った叙情 [ラテン]
ハイメ・グァルディア「EL CHARANGO DEL PERU」。
ペルーのチャランゴ奏者のソロ作品集。
エル・スールで「何かお薦めありますか?」と聴いたら、薦められたのがこれ。
フォルクローレの世界ではユパンキと共に別格の人らしい。
全曲チャランゴによるソロ演奏。何曲かで本人の歌が入るだけ。
聴いてみて「澄み切った叙情」という言葉が頭をよぎりハッと思い出した。
MM1989年4月号「中村とうようが選ぶ世界の大衆音楽100選」に、この人のアルバムがあった。
あの記事で取り上げられた作品はコメントを含めてかなり頭に刷り込まれてる。
あの記事を見て世界にはほんと、いろんな音楽があるんだなぁと思ったから。
引っ張り出してみるとやっぱり。ジャケは違うけど、同じタイトル。
でも、CDのほうは80年代の録音だから内容は違うと思うけど。
(ミュージック・マガジン1989年4月号66頁)
20年かかってやっと聴けてうれしい。店長さん、薦めてくれてありがとう。
ジャケの写真のように空が高くなる秋にかけてゆっくり聴こう。
英国人DJ/プロデューサーによるラテン音楽 [ラテン]
MMで2009年度ラテン部門1位だったクアンティック「Tradition in Transition」。
クアンティック=ウィル・ホランドという人を僕はよく知らない。
所謂DJなのかと思っていたのだけど、Amazonの情報によると「イギリス人プロデューサー/ミュージシャンであり、熱心なレコード・コレクターとしても知られる」とのこと。ファンク・バンドを主宰していたり、色々なプロジェクトを並行してやっているから、まぁDJ的な人なんでしょう。
本作は、彼がラテン音楽にとりつかれ、コロンビアの都市カリに移住して現地のミュージシャンと製作したもの。とてもよくできていると思うし、楽しんで聴けた。
でも、僕はこういったDJ的な音楽を聴くといつもちょっと引っかかってしまう。
ラテン音楽が好きで現地に移り住み現地のミュージシャンと一緒に音楽をつくる。それは決して悪いことではないけど、どこか自分の好きなパーツを組み合わせて作ったような匿名感が漂っている気がする。ピアノのアルフレッド・リナレス等現地のミュージシャンの顔は見える。でも肝心のウィル・ホランドの顔が見えてこない。彼自身全曲でギターを弾いているのだけど。
全曲彼の自作。曲によってはノーザン・ソウルみたいなメロディの曲もある。でもそれも影響を受けたというよりも膨大な量のレコードを聴いてきたであろう彼が、その知識の中から選びぬいたパーツを組み合わせて作った感じがしてしまう。
そんなわけで僕はまだこの音楽に、心から身をゆだねることができないでいる。
考えすぎだろうか?
ラテン・ソウルのアニキ! [ラテン]
愛読ブログであるサユールイトシロ・エキスプレスさんの記事を参考に、ジョー・バターンの75年作「Afrofilipino」を購入。
僕が彼の名前を知ったのは、先日紹介した高橋健太郎氏の著作だったと思う。でも、CDを買って聴くまでにはいたらなかった。もちろん、ラジオや最近はYoutubeなどで少しはチェックしてはいたのだけど。
先ごろ最初で最後の来日?をはたしそのライブも素晴らしかったようで、もうちょっと早く聴いてればなぁ、いつもタイミングが悪いんですよね、僕は。
このCDは、ブーガルーというより完全にラテンソウルですね。
まず、このCDを買おう決めた理由は「Ordinary Guy」がかっこよかったのと、前半のNY録音にゴードン・エドワーズ、リチャード・ティー、コーネル・デュプリー、デビット・サンボーン等が参加しているってことにビビッときたから。
この人の一番大きな魅力はなんといっても歌声。けっしてうまいというわけではないけど、耳を傾けずにはおれない魅力がある。男女問わず「アニキ!」と慕われる雰囲気にあふれてる。
他に較べる人のいない独自の音楽性については、数回聴いただけではうまく説明できないけれど、じっくり耳を傾けて解き明かしたくなるマジックがある。
次は初期の「Subway Joe 」あたりを攻めてみよう。