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ライブのエネルギーを注ぎ込んで [R&B/JAZZ/etc]

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まーた2か月もかかったしまった。
まとめ買いでオーダーすると、なかなか入荷しないのがあるんですよね。それで時間がかかっちゃう。今回も一枚結局入荷しませんでした。まだ出たばっかりなんだけどなぁ。
早速今日は、トロンボーン・ショーティの「Lifted」から聴こっかな。

僕はトロンボーン・ショーティってあんまり興味なかった。いや出るたびにちょろっと聴いてみたりしたんだけど、全然ピンと来なくて。でも今年初めにアルバムのジャケを見た時にビビッときましたね。一緒に公開された先行曲「Come Back」も良かったので、おぉ!これは良さそうだなっと。

その後も、ロッキン・ファンクなアルバム・タイトル曲、ローレン・デイグルと歌う正調クレセント・シティ・ソウル「ホワット・イット・テイクス」でアルバムへの期待を煽ってくれました。
もちろんこうして出たアルバムは最高の出来栄えですよ。昨年のダンプスタファンクに続いて今年もニューオリンズづいてますね。

以前、フジロックに出た時のライブの様子をYoutubeで見たことありますけど、もう激熱ノリノリのライブで、要は今まではライブのエネルギーをアルバムに刻み付けられなかったわけですね。そういう人いますよね。今回は細かい間違いは気にせず、スタジオ・ライブ形式で録音したんでしょうか。

ニュー・ブリード・ブラス・バンドをバックにしたいかにもニューオリンズな「エヴリバディ・イン・ザ・ワールド」はチューバがぶいぶい。「フォアギヴネス」はニュー・ソウルというより、世代的にカーティスまんまだったレニー・クラヴィッツの「イット・エイント・オーヴァー・ティル・イッツ・オーヴァー」を思わせる。実際レニ―のバンドでツアーもしたことあるらしい。あとトロンボーンだけじゃなくてトランペットもこの人吹くんですね。

ポジティブなヴァイブに溢れたバックの演奏に煽られるように歌声も逞しく、鬱屈した気分が拭い去れない昨今の空気をこれ聴いて吹き飛ばしたい。

それとこのジャケですけど、母親との写真だっていうから、お父さんが撮ったのかななんて思ってたんですよ。それにしちゃバックがぼけてて一眼レフで撮ったのは明らか。趣味がカメラの親戚でもいるのかとか。
でも違いました。トロンボーン・ショーティって神童として、子ども頃からステージに立っていたらしく、この写真もマイケル・P・スミスという高名な写真家の手によるものでした。そりゃそうか。こんなの普通の人に撮れるわけないか。ニューオリンズのジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルのライブ写真をいっぱい撮っている人だそうです。幼いトロンボーン・ショーティがバックステージでボ・ディドリーと写ってる写真もAfter Youで教えてもらいました。
これも微笑ましくも素敵な写真です。
https://www.requestaprint.net/thnoc/gallery_hr/2007.0103.2.276.jpg
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日々の塵や芥と一緒くた [R&B/JAZZ/etc]

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デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオの新作「 Cold As Weiss」が最高にゴキゲンなんですよ。
これで3枚目か。これまでも良かったけど、今回はよりファンキーにリズムが多彩で、オルガン・ジャズっていうかもうファンクだな。
ジミー・ジェイムスのギターは基本シンプルなリフを繰り返すだけながら、ソロではブルーズの臭みもたっぷり吸い込んだプレイでこれも堪んない。ダン・ウェイスのドラムはこれもリズム・キープをするだけかのようなおかずのないシンプルなドラミングでトリオの屋台骨を支える。

特別新しいことやってるわけじゃないんだけど、オーセンティックなままアップデートされたグルーヴには抗う術なし。ブルーズもゴスペルもモータウン・ヒットもその他、日々の塵や芥と一緒くたになったグルーヴに身体が揺れないわけない。
オリジナル中心ながらも、ジャクソン5の「I Wanna Be Where You Are」のような曲も取り上げて、捻らないベタな選曲が良いよね。

ちなみにこれもHMVのまとめ買いでリリース前からオーダーしてたのに、結局入荷せず。ガーン。しかたなくアマゾンへ。そっちもまだ届かない。円安にコロナにいろんな世界情勢も含めてこんなことになってるんでしょう。
GWは10連休しましたが、音楽聴いていてもなんか落ち着かない日々です。
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同じ痛みを感じながら [R&B/JAZZ/etc]

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真打登場。
メアリー・J・ブライジの5年ぶりの新作「Good Morning Gorgeous」。
僕は前作でようやく彼女にほんとに出会ったって感じなんですが、やっぱりアリサ・フランクリン亡き後、R&Bの女王はこの人なんだなという想いを新たにする新作です。

朝起きて不安や孤独を抱えながら、それでも鏡に向かって自分を励ますように「おはよう素敵な私」と声をかける。彼女が支持される理由はやはり、自分と同じ場所に立ち、同じ痛みを感じながら歌ってくれるという信頼感なんだと思う。それは自分は一人じゃないという励ましでもあるでしょう。

本作はH.E.R.が参加していることも話題ですが、DJキャレド、アンダーソン・パークなど、今が旬の制作陣迎えて、俎板の鯉になりながらも、全てがメアリー・J印のR&Bになっています。

アッパーな曲はなく、ミディアム・ナンバーが続くけど、苦みを内に秘めた歌声が胸に響きまくりで、「Love Without The Heartbreak」なんて言葉通り、痛みのない愛を感じたいだけなのに、癒えない痛みを抱えて、それでも自分らしく生きてゆくという強靭な意志が漲る。
年を重なるごとにゴージャズになっていくメアリー・J・ブライジに惚れ惚れする新たな傑作です。
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ソウル・ミュージックは共有財産 [R&B/JAZZ/etc]

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ジョス・ストーンってあまり興味なかった。
黒人ばりに歌う白人シンガー。90年代あたりだとまだ黒人ばりというのは所謂アリサ・フランクリンのような熱唱型で、そもそも僕はアリサを苦手としてきたもんで。
たまたま耳にしたアルバムの先行曲「Never Forget My Love」が良かったんですよね。ぐっと抑えた歌唱に胸を振るわされました。

アルバム冒頭の「Breaking Each Other's Hearts」も曲自体が良い。イギリス人だからかダスティ・スプリングフィールドを思いだします。やっぱりこういう現行R&Bとは違う、60-70年代のソウル・ミュージックを範とした音楽ってアメリカだとちょっとレトロっぽく響きますけど、イギリス産だとリアルタイム感が出る気がするのは気のせいか。

まぁこういうのはもう黒人白人関係ないソウル・ミュージックという共有財産なんだろうな。ここ10年ほどでジャズにしてもR&Bにしても人種関係ない音楽フォーマットみたいになってきましたよね。

デイブ・スチュワートが曲作りに関わっていて、以前も一緒にアルバムを作ったことがあるみたいですけど、結構幅広い引き出しのあるミュージシャンなんですね。
曲ごとの参加ミュージシャンを見ると見事に人力演奏で、ほとんどの曲で管や弦も交えて20人くらいが演奏しています。なかなか最近見ない人数ですよ。最近のR&Bはほとんどプログラミングする人だけでできてますから。

熱唱型が苦手の僕でも、引きも覚えたジョス・ストーンの歌声に心地よく身をゆだねられる好盤です。
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肉感的になったムーンチャイルド [R&B/JAZZ/etc]

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先行曲を聴いて、あれぇ?ムーンチャイルドってこんな感じだったっけ?と思いつつ、心惹かれて新作「Starfruit」も購入。ふわふわとした夢幻的なサウンドにウィスパー・ヴォイスというこれまでの作品は僕の好みじゃなかったので、新作もまったくの興味の範囲外だったんですけど、この新作にはハマりました。

前作、前々作も一応チラッと改めてチェックしたんですけど、やっぱり本作はこれまでとは音像がちょっと違いますね。すっごく肉感的だもん。
でも一般的にはこれまでの延長線上ということみたいなんですけど、改めて人によって感想は様々なんだなぁ。僕にはすごく大きな変化に感じられました。

簡単に言えばR&B~ヒップホップにこれまで以上に振れた作品で、ゲストも多数参加してます。
歌もアンバー・ナヴランだけだと辛いかもしれないけど、レイラ・ハサウェイやラプソディーなどゲストのシンガーやラッパーの声がちょくちょく聴こえてきて味変され、適度な刺激と共に最後まで心地よいグルーヴに身を任せられます。気持ちいいだけじゃなくってゴツゴツッとしたところが好みです。

それとメンバー3人がマルチ・プレイヤーってことで、ホーンなんかも本職じゃないから上手くはないけど、その手作り感がすごく良いんですよ。何度も聴けばこのグループの強みである音の足し引きの上手さに唸らされることしきり。一曲目のウクレレとか上手いよね。ものすごく高品質というより、温もりある手作り感が売りの工房の家具って感じ。仲良しが集まってああしようこうしようと楽しんで作ってるのが伝わってくる。

遅ればせながらムーンチャイルドの魅力に目を見開かされた意欲作です。
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それでも日々は続く [R&B/JAZZ/etc]

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ようやくHMVでまとめ買いしたCDが届きましたよ。
何から聴こうかなと思い、まずはiriの2年ぶりの4thアルバム「NEON」から。
ちょうど一年前のEP「はじまりの日」からも2曲を収録してますね。

コロナ禍が反映されるように、茫漠とした世界の中でどこかに辿りついた「はずでした」。リアルな感触が希薄になる日常の「渦」の中で、「泡」と消えるような代わり映えのない日々。安穏でもあり、退屈でもある日常。

心なしこれまでよりエコー成分の少ないミックスのせいか歌声が生々しい。
喜びや不安、憂いや幸福も、答えのない問いも、理由のない焦燥も、穏やかな歌声の中に忍ばせ、グルーヴの中で揺れている。それでも日々は続くというように。

音楽的にはこれまでと大きな変化はなく、Yaffleをはじめとする気ごころ知れたメンツとより密になったコラボレーションにより、楽曲がこれまで以上に歌声にフィットしている。
よれたリズム・トラックの「目覚め」はこの時代の定番感を醸し、プログラミングと生演奏が絶妙に組み合わされた「Waver」は2020年代のシティ・ポップか。2年前の「はじまりの日」も同じくコロナ禍だったせいか、アルバムの中で無理なく収まっている。
徒労感を引き受けながら希望を求める「baton」、最後はラフなヒップホップ・ビートとシンセ・ポップを組み合わせたような「The Game」。

大きな変化はなくとも、着実に表現を深化させていることを感じさせる、いつも通りこれまでの最高傑作になりました。
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12星座のイマジネーション [R&B/JAZZ/etc]

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チリ出身のテナー・サックス奏者、メリッサ・アルダナの2019年作「Visions」は、その年のベストには選ばなかったけど、後引く作品で驚くほどよく聴いた。前作の後に、アルテミスという女性だけのグループに参加して、それがブルーノートからのリリースでした。その縁か彼女もブルーノートとサインしたと聞いていたので、ずっと新作を楽しみにしてたんです。

前作はジョエル・ロスをゲストに迎えていましたが、この新作「12 Stars」はノルウェー出身のギタリスト、ラーゲ・ルンドを迎えて、というか現行レギュラー・クインテットで録音されています。ラーゲはメリッサと共にプロデュースも担当して、本作の鍵とも言えます。クレジットにGizmosとあるんだけど、ギターに取り付けるエフェクターみたいなものなのかな。時折、電子音みたいな音が聞こえてくる。彼の貢献度は大です。

12星座のタロット・カードの象徴的なストーリーからインスピレーションを得たらしいんですが、ミステリアスで神秘的な雰囲気が漂い、また、コロナ禍によって、演奏活動から切り離されたことにより、自分を見つめなおす時間が多くあったせいか、内省的な作品になっています。

ジャズというのは結局のところ、そのプレイヤーのアーティキュレーションが好きかどうかで決まってしまうのだろうけど、そういう意味で僕はこの人のサックスの音色やフレーズに抗しがたい魅力を感じているのだろうと思う。

いつまでたっても収まらないコロナ禍によって、とりたてて鬱屈してるわけじゃないけれども、多くの人が抱く拭いきれないモヤモヤとした気分が、本作のいつまでも焦点を結ばず、聴き進むほどにほどけていくいくような音の連なりと重なり合う。相反する感情や肯定と否定を行ったり来たりするような中での曖昧な自分を、引き受けようとするようにもかわしていくようにも感じられる。

タロットというと占いですけど、テーブルの上に並べてカードをまとめて、これで占いは終わりと物語を閉じるような最後のタイトル曲がアルバムを味わい深くしています。

ジャケットはアルテミスで一緒だったシンガー、セシル・マクローリン・サルヴァントが手がげています。前作のジャケもでしたが、ヘタウマ?な独特の絵も、様々な感情が渦巻くような本作によく合っているように思う。
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ブラジリアン・ジャズの充実を目の当たりにする [R&B/JAZZ/etc]

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続けてブラジルからロドリゴ・ジゴーン・ブラースというドラマーのリーダー作「Isolamento Musicado」。ヴァルテール・ピニエイロとは違って、こちらはストレートはコンテンポラリー・ジャズです。
特別新しいことやってるわけじゃないんですけど、こんなに爽快なジャズはひさしぶりに聴いた気がする。

力で押すのではなく、しなやかなドラミングが印象的で、とりたててブラジル色を強調するわけじゃないんだけど、そのリズムのニュアンスの豊かさははやはりブラジルだなぁとも思います。
しなやかさがスピード感を一層加味する冒頭から9分超で、ポリリズミックな細かいリズムの刻み方はいかにも現代ジャズ的です。
前半に比較的長尺な曲を集めていて、ジャズ的なスリルに満ちた演奏は12分超えの4曲目「Jongo」で最高潮に達します。3リズムにトランペット、フルート、ギターを加えたセクステット編成で、突っかかりのあるリズムをバックに楽器同士の丁々発止のやりとりにドキドキします。ドラムが煽りまくり。

真ん中に置かれた「A Certo e a Esquerdo」はドラムだけの曲なんだけど、ドラム・ソロを聴かせるのでなく、ちゃんと曲として構成された打楽器曲になってますね。5分もあるけど、音色豊かで飽きさせません。
それに続いてスマホのヴォイス・メモで録音したのか、女性の頓狂な鼻歌?がヴォーカリーズ的なメロディを持ったジャズ・ソングに切り替わる「Reforma Áurea」も、緊張感をほぐすような息抜きになっていて面白い。
後半は比較的コンパクトな曲で纏めていて、ニュアンス豊かにスウィングするリズムに乗って、ピアノやサックスも軽やかに舞う。ドラムだけに耳を澄ましていてもほんと楽しいんですよ。
最後の清々しいメロディを持った「Eli Ferreira dos Santos」を聴くころには、春近い陽気に誘われたかの如く晴れ晴れとした気分になります。

飾り気のないポートレートにシンプルなタイポグラフィーのジャケを見ただけで、こいつ出来るなと思いましたよ。その目に狂いはなかった。考えてみればBlaxtreamはルデーリなんかも出してるレーベルですもんね。
ブラジリアン・ジャズの充実を目の当たりにする鮮烈作です。
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ガッツンゴッツンとピアノを弾き倒して [R&B/JAZZ/etc]

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昨年暮れに大西順子が新作「Grand Voyage」発表していたことを最近知りました。
93年のデビュー作「WOW」しか持ってないし、熱心に追いかけてたわけでもないけど、引退するとかしないとかあって以降の彼女の作品は、さすがと思わせるところもありつつ、遠慮が見えたり、ラッパーをいれたり、そんなことしなきゃいいのにってこともあって、いまひとつだったんですよね。もっと唯我独尊でいいのにって。

本作はここ数年のレギュラー・トリオに大儀見元のパーカッションを加えたカルテット編成。これだけでそそられちゃいますよ。このリズム強化が吉と出たか、強力なグルーヴをバックに今回はガッツンゴッツンとピアノを弾き倒してますよ。これですよこれ。これを待ってたんです。
取り立ててラテンの陽気さを身に纏った曲があるわけでもないのだけど、下支えする井上陽介のベース、吉良創太のドラムでダイナミックなピアノを受け止めながら、パーカッションが軽やかさを加えさらにグルーヴも強化して開放的で爽快。

そうなれば、今回は物語的なコンセプトを意識したらしい、ドラマチックなオリジナル曲もよく生きます。
ジュリ・アレンやダラー・ブランドの曲もアルバムの構成の中で物語のパートをしっかりと担って上手く収まっていし、大儀見元をフィーチャーした打楽器主体の「Tridacna Talk」も場面転換の役割を果たし、アルバム真ん中に置かれた小野リサのヴォーカル曲「オーガンジーの花」はひととき旅程に疲れた旅人を癒す子守歌。

なぜかライナーノートを村上春樹が書いていて、それによると「村上RADIO」という番組での大儀見元や小野リサとの共演がきっかけとなって本作が制作されたのだそう。

とにかくガンゴーンと遠慮会釈なく響き渡るピアノの音色にワクワク。だからこそ最後のダラー・ブランドの「Kippy」が胸に沁みる。聴きながら大きな風景が目の前に広がっていくような快心作だと思います。
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濃すぎるファンクでノックアウト [R&B/JAZZ/etc]

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昨年のベスト1に輝いたダンプスタファンク。
アルバムは三枚とも持ってたんですが、2007年のデビューEP「Listen Hear」だけ持ってなかったんですよね。
それを最近になってようやくゲットしました。
EPなので5曲しか入ってないんですけど、これが5曲だけで大満足のEPとなっています。

ギターが唸りを上げるファンク・ロックの「Livin Ina Worl Gone Mad」に始まり、ホーン入りのにぎやかにヘビーな「Turn This Thing Around」、インストの「Stinky」はギターと共にオルガンもグルーヴィ、いかにもニューオリンズらしいシンコペーションの効いた「Meanwhile...」に、締めののたうつヘビー・ファンクの「Shake It Off」。
濃すぎる5曲でノックアウトです。
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