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濃すぎるファンクでノックアウト [R&B/JAZZ/etc]

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昨年のベスト1に輝いたダンプスタファンク。
アルバムは三枚とも持ってたんですが、2007年のデビューEP「Listen Hear」だけ持ってなかったんですよね。
それを最近になってようやくゲットしました。
EPなので5曲しか入ってないんですけど、これが5曲だけで大満足のEPとなっています。

ギターが唸りを上げるファンク・ロックの「Livin Ina Worl Gone Mad」に始まり、ホーン入りのにぎやかにヘビーな「Turn This Thing Around」、インストの「Stinky」はギターと共にオルガンもグルーヴィ、いかにもニューオリンズらしいシンコペーションの効いた「Meanwhile...」に、締めののたうつヘビー・ファンクの「Shake It Off」。
濃すぎる5曲でノックアウトです。
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もうひとつのKind of Blue [R&B/JAZZ/etc]

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今日は先日、TOKYO GROOVE JYOSHIの「So what」を聴いて思い出した、コンラッド・ハーウィグの「Another Kind of Blue: Latin Side of Miles Davis」(2003)を取り上げようと思います。
前に「Latin Side of John Coltrane」を取り上げましたが、これはその名の通り、マイルズの「Kind of Blue」をラテン化したアルバムです。コルトレーン盤はスタジオ作でしたが、これはライブ盤です。

でも、改めて考えると僕はマイルズ盤をそんなに熱心に聴いた覚えがないんです。まぁそれなりに聴いてきたと思いますけど、マイルズのアルバムなら60-70年代の作品やギル・エヴァンスとのコラボ作の方を良く聴いてきました。

そんなわけで、改めてマイルズ盤をじっくり聴きなおして、本作を聴いてみました。
編成は3リズムにパーカッションを加え、バリトン、フルートを含むフロント5管の9人という大編成です。バリトンとフルートは全曲入ってるわけじゃないですけど。

全曲パーカッションがチャカポコラテン・リズムを刻んで、オリジナルと比べるとよりメリハリの効いたくっきりとした演奏になってます。オリジナルのクールさの代わりにエキサイティングな熱さが5割増って感じ。

「So What」はオリジナルのベースラインはベースだけじゃなくホーンでも補強して、テーマのメロデイにラテン・リズムがより深く絡むようになっています。
「Freddie Freeloader」はテーマの後に、オリジナルのマイルズのソロを譜面におこして、ホーン隊でまるごと合奏している。両者とも管のソロも熱い熱い。
「Blue in Green」はボレロ、「All Blues」はブーガールーに、オリジナルでは静かな「Flamenco Sketches」もイントロからルンバ調の打楽器ソロに導かれる。

この後に、もう1曲ボーナス・トラックとして「キリマンジャロの娘」収録の「Petits Machins」が演奏されます。

久しぶりに聴いたけど、これはやっぱりなかなかの力作だな。
前作コルトレーン・ラテン化盤はトレーンの音楽に内包するアフロ性を顕わにしようとする意図が随所に感じられましたが、本作にはそういうところはほとんどない。
あくまでもコルトレーンの後はマイルズだ!って感じ勢いでやったみたいな。それでも丁寧に原本を紐解きながらラテン化したのがよくわかります。

本作の姉妹盤に「スケッチ・オブ・スペイン」をラテン化した「Sketches of Spain Y Mas: Latin Side of Miles Davis」もあります。それもまたいずれ。

ストリーミングにはないのが残念ですが、マイルズ・トリビュート作としては最高の部類にはいる力作です。

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大都会の夜空に浮かぶ月蝕をひとり眺める [R&B/JAZZ/etc]

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あけましておめでとうございます。
年末年始によく聴いていたのは、またまたジェリー・ゴンザレスでした。フェイバリット音楽家は定期的に聴きたくなるもので、聴けばしばらくハマってしまうんですよ。

でもライブ盤「Fire Dance」を聴きながら、ここで演奏する6人のうち、5人はもうこの世にいないんだなぁと思って寂しくなっちゃった。ジョン・スタブルフィールドは2005年、スティーブ・ベリオスは2013年、ラリー・ウィリスは2019年、アンディ・ゴンザレスは2020年、ジェリー・ゴンザレスも2018年に亡くなってしまった。

ただ一人残ったのはジョー・フォードのみ。
最近はどんな活動してるんだろと思って調べてみたら、彼が93年に唯一のリーダー作「Today's Night」を発表していることを知りました。残念ながらストリーミングでは聴けないんだけど、Youtubeでタイトル曲を見つけました。この曲は先のジェリー・ゴンザレスの「Fire Dance」でも演奏してるんですけど、これがすごく良いんですよ。メロウでモーダルな曲で、僕好みなわけですよ。
早速正月3が日からCDを漁りに行って見つけてきましたよ。うれしい。

ジョー・フォードは47年生まれ、若い頃は教鞭をとっていたみたいですが、70年代半場からマッコイ・タイナーと活動するようになり、80年代後半からはジェリー・ゴンザレスのフォート・アパッチ・バンドに参加します。70代になりましたが、最近も活発に演奏しているようでなにより。

本作はベースにチャールズ・ファンブロー、ドラムにジェフ・テイン・ワッツ、ピアノにケニー・カークランドというウィントン・マルサリスと縁の深いミュージシャンが脇を固めていることからわかる通り、メインストリームのコンテンポラリー・ジャズです。
フォードのオリジナルを中心にハービー・ハンコックの曲もやってます。タイトル曲はじめオリジナルがフックの聴いた曲作りで良いんですよ。時折タガが外れたように吹きまくるシーツ・オブ・サウンドを聴けば、最も影響を受けたのはコルトレーンなんだろう。
サイドメンではやっぱりケニー・カークランドが目立ってます。粒立ち鮮やかな鍵盤さばきに、やっぱり抜きんでたミュージシャンだったと再認識。この人もリーダー作を1枚しか残さなかった。

フォードはアルトのほかに、ソプラノも演奏します。タイトル曲がそうですね。ジャケのイメージぴったりの大都会の夜空に浮かぶ月蝕をひとり眺める。そんな孤独感とメランコリーがメロウにスウィングする。トリオで演奏される「Izit」の一心不乱に歌う様にも惹きつけられる。

昨日買ってきてからもう何回もリピートしてる。本作のおかげで気分の良い年明けになった。
同時代的にはたぶんほとんど話題にもならなかっただろうし、こらからも誰も話題にはしないだろうから、ここで僕が言っておきましょう。隠れた名盤です。

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ライブが見たいぜ! [R&B/JAZZ/etc]

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ダンプスタファンクの新作は今年のお気に入りの一枚で、Youtubeに上がっているライブなんかも一時期よく聴いたりしてました。でもYoutubeだと勝手が悪いので、ネットで見つけたフェスかなんかの音源なのかな「Live at the 2019 Dark Star Jubilee」というのをダウンロード購入しました。
さすがにこういうのはストリーミングとかではないので。同じようなジャケでマーカス・キング・バンドとかもあります。

2019年のライブだけれど、演奏曲の大半は新作からで、ご機嫌です。アール・キングのカバー「Street Parade」は正調ニューオリンズ・ファンクで頬も緩む。最後は新作から「United Nation Stomp」で締めてくれて文句なしです。
音のレベルが低いのでヴォリュームを思いっきり上げないといけないし、音圧も低くて残念なんですけど、まぁ簡易なものなので仕方ないか。
あぁライブが見たいぜ!
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日常の延長線上のドラマ [R&B/JAZZ/etc]

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サマー・ウォーカーという人はシングルは耳にしてはいたんけど、昨年の1st「Over It」は聴きそびれてた。そしてリリースされたこの2枚目「Still Over It」。前作と繋がりを感じさせるタイトルですけど、これがなんとも妙に引っかかるアルバムなんですよ。

最初聴いた時はミディアム~スローな曲が続きすぎてちょっとダレるかなと思ってたんですが、妙に後を引く感じで、毎日思い出したように聴いてしまう。そして聴くたびちょっとダレル感じなんですが。とはいえH.E.R.の新作もそういうとこが無きにしも非ずなわけで。
1時間ほどのアルバムながら3分前後の曲が20曲。

何度か聴く中で、個人的にはH.E.R.~ジェネイ・アイコ~ケラーニの連なりに位置する歌声だなと。
となれば好みの歌手ってわけかと若干納得。

上のジャケはCDのもので、ストリーミングだとパパラッチかなんかに手をかざしている写真になってます。
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子供を抱っこして朝食を作っているジャケといい、音楽自体も日常の延長線上のドラマを感じさせるようなダラッとしたリアリティが妙に癖になる要因なのか。日々の労働や家事。日常のささいな愚痴や楽しみ。
どこに惹かれているのかよくわからないまま何度もリピートしていますが、2020年代らしい趣に溢れたR&B作品だと思います。
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ディープ・ソウルは苦く [R&B/JAZZ/etc]

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こんなディープ・ソウルは久しぶりに聴いた気がする。
ディープでビターな味わいのアンソニー・ハミルトンの新作「LOVE IS THE NEW BLACK」は70年代ニュー・ソウルを思い出す。冒頭のタイトル曲のストリングスの感じとかモロにカーティスなんかが手掛けたブラック・ムービーのサントラに収められていたような曲想です。

これで何枚目か知りませんが、この人もネオ・ソウルとかそういう括りの中で頭角を現してきた人だったかな。ただ音作りというよりもシンガーとしての佇まいが、古き良きソウル・ミュージックの時代を感じさせる人だったような。そんなに聴いてないからはっきりとは言えませんが。ボビー・ウーマックとか思い出させる歌声ですよね。
だからネオ・ソウルのようななぞってる感はあまり感じなくて、昔気質の職人さんみたいなシンガーという印象でした。

本作はプロデュースにはジャーメイン・デュプリなんかも関わっていて、コンテンポラリーな音作りでありつつ、シンガーの個性を活かすお膳立てがなされていて、2曲目のリック・ロスのラップですら、ヴィンテージな味わいを醸してます。

デラニー&ボニーの「スーパースター」はカーペンターズの曲として有名ですが、R&B方面でも人気です。ここではルーサー・ヴァンドロスを範にしたようなアレンジで聴かせます。相手役がジェニファー・ハドンソンというのもはまり役。この曲だけが6分半でその他はほぼ3分代の曲ばかりなのが、14曲ディープではあるけど、意外にすっきり聴きとおせる要因ですかね。どれもほとんどイントロもなくすぐに歌いだすあたりも古き良きソウル・ミュージックを思わせます。

地に足の着いた大人の男の歌を堪能できます。
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多様な音楽性を広く開陳 [R&B/JAZZ/etc]

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昨今のジャズは百花繚乱で、聴くのが追いつきません。
楽しみにしていたネイト・スミスの新作「Kinfolk 2: See The Birds」がリリースされました。
タイトルからうかがえるように、前作の続編みたいです。

昨年の「Light and Shadow」はストリング編成も用いたコンポーザーとしての側面を強く打ち出したEPでしたが、今回はさらに自身の多様な音楽性を広く開陳したかのような作品に仕上がってます。
ジョエル・ロスやレジーナ・カーターのようなジャズ畑からだけでなく、ストークリーやブリタニー・ハワードをヴォーカルに迎えた曲もあって、コンセプトに沿って物語るような映像的な曲想は作曲家としての力量を存分に振るってます。

スキャット・ヴォーカルをフィーチャーした「Altituude」はジョエル・ロスのヴァイブも加え、ちょっとブラジルっぽい?先行公開されていたラップも交えた変拍子ファンク「Square Wheel」は悶絶級にカッコいいし、メドレーのように続くフリースタイル・ラップ・ナンバー「Band Room」もネイト・スミスの爽快なドラムが堪能できます。
自分はロック畑でなくR&B畑で育ったから、チャック・ベリーもジミヘンも知らなかったというが、ヴァーノン・リードがギターを弾く「Rambo:the vigirante」は切迫感に圧倒されるジャズ・ロック。

おおっという驚きはないけど、バラエティに富んださすがの安定感ある力作です。
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現代UKジャズとポエトリー・リーディング [R&B/JAZZ/etc]

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スポティファイのジャズのプレイリストに出てきたアンソニー・ジョセフ。
えーっと誰だっけ?この人。サックス奏者とか?と思ってたら。
そうだ思い出した。イギリスのポエトリー・リーディングの人だった。前作が自身のルーツのトリニダードの音楽に向き合ったとかで評価高かった。聴きそびれてたんですけど。

それでこの新作「The Rich Are Only Defeated When Running for Their Lives」。
ジャズのプレイリストに入ってることからわかる通り、シャバカ・ハッチングスなどUKジャズの音楽家が参加しています。前作のプロデューサーだったジェイソン・ヤードが本作でもアレンジを担当していて、本作を一回聴いた後に、前作を聴いてみたんですけど、リズムも多彩でカラフルな音楽性は華やかで、正直前作の方がはるかに親しみやすいです。

こちらはよりシリアスな雰囲気。でも、ゆっくりと進むグルーヴの中、古典的ともいえるポエトリー・リーディングを聴かせる「Kamau」をオープニングに、70年代のブラック・ジャズに通じる演奏と時に演劇的ともアジテーションとも聞こえる朗読は、若干敷居を高くしているかもしれないが、全体としては充実した活動を印象付ける新作です。

エチオ・ジャズなホーン・ラインの「Calling England Home」も、ほの暗くも艶っぽい演奏が磁力を放ち、耳を引きつけられます。混沌を孕んだ10分を越える「Language (Poem for Anthony Mcneil)」での熱のこもった演奏は、問題意識までも共有するからこそのグルーヴに胸を衝かれます。それも前作で、しっかりと自身のルーツを見つめなおしたからこその懐の深さゆえなんじゃないでしょうか。

6曲42分と比較的短くまとめられているのも、このテンションでこれ以上は聴く方も疲れちゃいそうですもんね。真っ向勝負の力作です。
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グルーヴに多くの言葉を費やして [R&B/JAZZ/etc]

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前作も聴いた気がするけど、ほとんど覚えてないリトル・シムズの新作「Sometimes I Might Be Introvert」。最近、カニエ・ウェストの新作を聴いて、ちょっと前にはタイラー・ザ・クリエイターとか、ドレイクの新作もチラッと聴いたけど、やっぱりピンとこず。相変わらずラップは自分には敷居高いかなと思ってるところで。

でもこれはかなり気に入った。
理由はUKだし、リズムが多彩で、サンプリングもスモーキー・ロビンソンとかキャッチーでわかりやすく楽しめるし、歌メロも結構いっぱいあるからね。
結局のところ、僕にとってはグルーヴというかダンス・ミュージックとして聴きやすさが決め手になるんですね。クレオ・ソルも参加していて、彼女の新作と同じプロデューサー、インフローの手腕が光るってことなんでしょうか。

オープニングから壮大な感じで、大仰なところは苦手だし、19曲もあって半分でいいんだけど。でももしかしたら容易く受け入れやすいクレオ・ソルより、ひっかかりのありすぎるこっちの方が自分の中に後々長く残っていくのかも。長いなと思いつつ最後まできいて、H.E.R.の新作に似た印象も持つ。タイトルのニュアンスも似てる。内向的であってもエモーションが溢れてアクティブなとこも。
ちっちゃく取り上げようと思ったら長くなってしまった。

生演奏がめちゃカッコいい。
でもこのグルーヴで歌うんじゃなくて、多くの言葉を費やして訴えなければいけないことがたくさんある。そういう今の社会・世界にも思い至ります。

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リビング・ルームから見えるコロナの日常 [R&B/JAZZ/etc]

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父はジャマイカ、母がスペインとセルビアからの血をひくというイギリスのシンガー、クレオ・ソルのアルバム「Mother」をここ数日よく聴いている。
2017年にデビュー、これが2枚目。デビュー当初はもっと王道のR&Bみたいだったけど、本作はシンガーソングライター風。最近はもうこの手のシンガー・ソングライター的な音楽にはあまり惹かれないんですが、本作にはちょっと引っかかるものがありました。

「Music」「Rhymes&Reasons」のニュー・ソウルに感化されていた頃のキャロル・キングを思い出す。奇しくも本作にも「Music」とう曲があるし。リンダ・ルイスを思い出させる瞬間もある歌声は、アルバム・タイトル通り母性を感じさせる。ジャケを見て分かるとおり、母になったんですね。

本作はアコースティックで、オーガニックなグルーヴに包まれ、簡素なプロダクションを基本にしながら、時にゴスペル・コーラスやストリングスが施されている音像からは、ジャケに写るリビング・ルームで宅録的に録音した音をやり取りしながら、リモートで作り上げたような、そうコロナの時代を映し出す日常が垣間見えてくる。

僕が惹かれたのはこの音像なんですよね。妙にドラムが近くで聴こえて、ドラムを叩きながら歌ってるようなライブ感と楽器やコーラスの微妙な距離感。どんな風に録音されたのか気になります。

そしてそんな音楽は、リビング・ルームから見えるコロナの日常に憂いながらも、生まれたばかりのもしくはお腹の中の我が子を慈しみ、子を持ったからこその、愛や希望を抱いて未来を歩みたいという素朴な願いが溢れていて、聴き手への率直な訴求力をもたらしている。

いまどき全12曲で64分というのはちょっと長いかなとも思う。
深く鳴り響くベース音は如実に2020年代を感じさせ、1曲目からしていったん曲が終わった後、ドアひとつ向こうから聴こえてくるようなエンディングが続いて、「Music」や「One Day」も途中でアレンジが変わるというより、トラックが変わるように曲調が変化したり、ちょっと冗長なところも含めて、ストリーミング時代ならではのダラダラと曲が続いていく感じ?ストリーミングってひとつのアルバムが終わってもそのまま関連曲が続いて流れてきますよね。
そんな日常の生活音のような響きも含めて、コロナの時代を感じさせる音楽です。
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