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12星座のイマジネーション [R&B/JAZZ/etc]

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チリ出身のテナー・サックス奏者、メリッサ・アルダナの2019年作「Visions」は、その年のベストには選ばなかったけど、後引く作品で驚くほどよく聴いた。前作の後に、アルテミスという女性だけのグループに参加して、それがブルーノートからのリリースでした。その縁か彼女もブルーノートとサインしたと聞いていたので、ずっと新作を楽しみにしてたんです。

前作はジョエル・ロスをゲストに迎えていましたが、この新作「12 Stars」はノルウェー出身のギタリスト、ラーゲ・ルンドを迎えて、というか現行レギュラー・クインテットで録音されています。ラーゲはメリッサと共にプロデュースも担当して、本作の鍵とも言えます。クレジットにGizmosとあるんだけど、ギターに取り付けるエフェクターみたいなものなのかな。時折、電子音みたいな音が聞こえてくる。彼の貢献度は大です。

12星座のタロット・カードの象徴的なストーリーからインスピレーションを得たらしいんですが、ミステリアスで神秘的な雰囲気が漂い、また、コロナ禍によって、演奏活動から切り離されたことにより、自分を見つめなおす時間が多くあったせいか、内省的な作品になっています。

ジャズというのは結局のところ、そのプレイヤーのアーティキュレーションが好きかどうかで決まってしまうのだろうけど、そういう意味で僕はこの人のサックスの音色やフレーズに抗しがたい魅力を感じているのだろうと思う。

いつまでたっても収まらないコロナ禍によって、とりたてて鬱屈してるわけじゃないけれども、多くの人が抱く拭いきれないモヤモヤとした気分が、本作のいつまでも焦点を結ばず、聴き進むほどにほどけていくいくような音の連なりと重なり合う。相反する感情や肯定と否定を行ったり来たりするような中での曖昧な自分を、引き受けようとするようにもかわしていくようにも感じられる。

タロットというと占いですけど、テーブルの上に並べてカードをまとめて、これで占いは終わりと物語を閉じるような最後のタイトル曲がアルバムを味わい深くしています。

ジャケットはアルテミスで一緒だったシンガー、セシル・マクローリン・サルヴァントが手がげています。前作のジャケもでしたが、ヘタウマ?な独特の絵も、様々な感情が渦巻くような本作によく合っているように思う。
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