ブラジリアン・ジャズの充実を目の当たりにする [R&B/JAZZ/etc]
続けてブラジルからロドリゴ・ジゴーン・ブラースというドラマーのリーダー作「Isolamento Musicado」。ヴァルテール・ピニエイロとは違って、こちらはストレートはコンテンポラリー・ジャズです。
特別新しいことやってるわけじゃないんですけど、こんなに爽快なジャズはひさしぶりに聴いた気がする。
力で押すのではなく、しなやかなドラミングが印象的で、とりたててブラジル色を強調するわけじゃないんだけど、そのリズムのニュアンスの豊かさははやはりブラジルだなぁとも思います。
しなやかさがスピード感を一層加味する冒頭から9分超で、ポリリズミックな細かいリズムの刻み方はいかにも現代ジャズ的です。
前半に比較的長尺な曲を集めていて、ジャズ的なスリルに満ちた演奏は12分超えの4曲目「Jongo」で最高潮に達します。3リズムにトランペット、フルート、ギターを加えたセクステット編成で、突っかかりのあるリズムをバックに楽器同士の丁々発止のやりとりにドキドキします。ドラムが煽りまくり。
真ん中に置かれた「A Certo e a Esquerdo」はドラムだけの曲なんだけど、ドラム・ソロを聴かせるのでなく、ちゃんと曲として構成された打楽器曲になってますね。5分もあるけど、音色豊かで飽きさせません。
それに続いてスマホのヴォイス・メモで録音したのか、女性の頓狂な鼻歌?がヴォーカリーズ的なメロディを持ったジャズ・ソングに切り替わる「Reforma Áurea」も、緊張感をほぐすような息抜きになっていて面白い。
後半は比較的コンパクトな曲で纏めていて、ニュアンス豊かにスウィングするリズムに乗って、ピアノやサックスも軽やかに舞う。ドラムだけに耳を澄ましていてもほんと楽しいんですよ。
最後の清々しいメロディを持った「Eli Ferreira dos Santos」を聴くころには、春近い陽気に誘われたかの如く晴れ晴れとした気分になります。
飾り気のないポートレートにシンプルなタイポグラフィーのジャケを見ただけで、こいつ出来るなと思いましたよ。その目に狂いはなかった。考えてみればBlaxtreamはルデーリなんかも出してるレーベルですもんね。
ブラジリアン・ジャズの充実を目の当たりにする鮮烈作です。
2022-03-09 19:26
nice!(0)
コメント(2)
これにも参加しているサロモン・スアレスもぼく好みのピアニスト。南米随一のジャズどころサン・パウロらしいアルバムだと思います。
by 戸嶋 久 (2022-03-09 19:48)
としまさん
ピアノいいですよね。
サックスもギターもですけど。
by Astral (2022-03-09 20:25)