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豊かなキャリアを香ばしく焼き上げたケーキ [アフリカ]

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アンゴラ音楽が素晴らしいと話題になってきたのは一昨年くらいか。でも全然ゲットできなかったのが、今年に入ってバタバタとうちにやって来た。来るときは来る。こういうもんかな。
エディ・トゥッサはもちろん素晴らしかったし、先日届いたばかりのネロ・カルバーリョ2枚も呆れるくらいの傑作だったし、先日思いがけずエル・スールで遭遇したユリ・ダ・クーニャも最高だった。

でも届いてから毎日聴いてるパウロ・フローレスの新作「Boli De Aniversario」を何はなくとも紹介しよう。
この人の音楽の基本はセンバ。アンゴラにはセンバ以外にもキゾンバという音楽がありますが、そこらの違いがよくわからなかったんだけど、センバは多様なポルトガル系ダンス・ミュージックの総称で、キゾンバはもっと最近の音も取り入れたポップ系と解釈してます。

パウロ・フローレスはルアンダで生まれ子供の頃はリスボンでも過ごしたという。今もリスボンを中心に活動しているようだ。88年デビューだから、もうベテランですね。
アンゴラの国家プロジェクトであった2003年の「キンタール・ド・センバ」のプロデュースを受け持ったのも彼だったし、アンゴラ音楽の中心人物なんでしょう。エディ・トゥッサやユリ・ダ・クーニャも尊敬しているようだし。

本作はエディ・トゥッサやネロ・カルバーリョのような様々な音楽性を披露するというよりは、自信のルーツであるセンバを時間をかけて熟成し、経験によって裏付けられた豊かさが美しい作品。
前作はアンゴラの歴史を俯瞰したようなコンセプトがあったのか、スケールの大きい作品だったけど、こちらはもっとシンプルで気さくなポップ作品に仕上がっている。

冒頭ルンバ・コンゴレーズともマンデ系ともラテン系とも異なりながら、そのどれとも通じるギターに導かれて始まるセンバ。この曲に限らずどの曲もクレオール・ミュージックらしい洗練と野卑が同居していて、そこがなんとも魅力的。身に纏った洋服の下の肌には土や潮の香りが染み付いているみたいな。
おっと6曲目こ・これは・・・ソン・モントゥーノ?スローな曲だけど、ボレロというよりは。アルセニオ・ロドリゲスのトレスを思い出すギターが素晴らしい。

先祖返りしたセンバ?のようなアフロ色濃いラストのアルバム・タイトル曲は直訳すると「誕生日ケーキ」。まさに本作は豊かなキャリアを香ばしく焼き上げたケーキです。
味はもちろん絶品。迷わずご賞味あれ。


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クール&エレクトロニックなライト・ジュジュ [アフリカ]

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先日エル・スールで購入したうちの一枚、キング・サニー・アデ「Togetherness」。84年作。
数年前に82年の「Consience」をレコードで入手しましたが、アデがアイランドから世界デビューしてからの数年のアルバムということで、本作も同様にちょっと洗練された感じ。
この時期はアデの最盛期ですから、どのアルバムもハズレなしですけど、本作も素晴らしい。

それとこの時期ってちょっとこれ以前以降とも違った雰囲気がある気がするんですよね。
アイランドからの最終作「Aura」がそうだったようにちょっとエレクトロニックというかプログラミングされたビートに各種打楽器が絡んでいくという塩梅。こういう試みはこれ以降はあまりしてないので、この頃だけ味わえるグルーヴが新鮮だし、今聴いても新しい。

いつも通りメドレーが二つ。
いつも思うんだけど、曲目にはいくつか曲名が記されているんだけど、はっきり言ってここから新しい曲に入ったなとわかるようなとこがないんですよね。っていうかずっと同じ細かいギターリフが鳴っていたりするし、どうもこの曲のちがいというのは歌詞の違いだけなんじゃないかと思ってんですけど。どうなんでしょう?

この頃のアデのジュジュはライト・ファンクといういいか方があるけど、ライト・ジュジュって感じ。別に軽いってわけじゃなくて、エレクトロニックなクールなグルーヴってんですかね。

一つめのメドレーは両方のスピーカーから聴こえる細かなギターリフがクール&ファンキー。ミディアム・テンポのゆるやかなグルーヴにのってアデの手癖のようなお馴染みのギター・リフやホーン・ラインのようなシンセ音、キーボードが歌の合間を交互に埋めるように顔を出す。ジャム・バンドとかが好きな人が聴いたらもう狂喜するだろうな。
アデのリラックスした歌の半分位には不思議なコーラスがつく。このコーラスもたまんなく浮遊感たっぷりで気持ちいいったらない17分半。

二つめのメドレーはギターリフよりも軽やかに跳ねるベースラインが印象的。それにビブラフォンが涼しげで夏に聴きたい感じですね。前曲もそうだけど、この頃はギター以外の楽器の比率が結構高いです。新しいことをやるというよりはその時代のコンテンポラリー感みたいなものが反映されている気がします。アデの音楽が世界的に時代とシンクロしていたんじゃないでしょうか。
音質的にもちょっと垢抜けてるのは世界中をツアーして録音機材とかも最新のものを揃えたりとかあったのかもね。

まぁこの時期はやっぱりハズレなしですな。アフリカ的クールスネスも随所に感じられる最高に素晴らしいアルバム。広くおすすめしたい傑作です!
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ンバラ・クイーンの座は譲れない [アフリカ]

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色々ンバラの新作はあれどもやっぱりこれをチョイス!
ヴィヴィアンの5曲入りのミニ・アルバム「RETAAN」。同じ曲のアコースティック・バージョンが入ってたり、シングルみたいなもんだけど。
やっぱりヴィヴィアンが一番好き。こんな中途半端なミニ・アルバムじゃなくてフルでつくってくれればいいのに~。でもジャケの美人っぷりに許す。

バラードもしっかりンバラのリズムが底に脈打ってるのを感じたり、アップでの安定感のある歌いっぷりにンバラ・クイーンの座は譲れないってとこでしょうか。ちょい割高だけど楽しめます。
それにしてもフルアルバム聴きたいなぁ。

このMVのヴィヴィアンはちょっと妖艶ですねぇ。歌は1分過ぎから。

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近所の兄ちゃんが奏でるマンデ・ポップ [アフリカ]

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ジャケの帽子&カラフル・シャツで軽くジャンプする姿や名前に!マークが入ってたりするユーモア漂う雰囲気。これが2枚目らしいギネア出身のシンガー、モオ!クーヤテの「LOUND (UN JOUR)」。
でてくる音はごく普通のマンデ・ポップだけど、サリフやバコ・ダニョンのような重厚さや歴史を感じさせる重みみたいなのは無いかわりに、近所の兄ちゃんがすぐそこの街角でギター爪弾きながら歌っているような、フットワーク軽い歌声がこの人の魅力だな。

若いミュージシャンらしくギネアの自国のレジェンド、ベンベヤ・ジャズやオスマン・クーヤテなどからも多くのインスピレーションを得つつも、ロックやジャズなども取り入れグローカルに収束しない開かれた感性がこれからを期待させる。

「ある日」というタイトル。グリオの歌う古の物語でなく日常のスケッチのような歌が並んでいるのかもしれない。強烈な磁場を発する音楽ではないかもしれないが、ゆったりゆっくり空気を暖め自然と体を揺らせてくれる心地よさがある。何より本人の引く達者で小気味いいギターがいい。歌いながら弾く人らしい歌の「相の手」的な歌うギター。
気持ちのいいポップ・センスもあり、ヴァンサン・セガルのチェロをバックにピエルス・ファッシーニとデュエットする曲など二人の歌心が柔らかな木漏れ日のごとく広がっていく。

ライブはかなりよさそう。スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドあたりで呼んでくれないだろうか。

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ジャガジャガのために道をきれいに! [アフリカ]

フェラ・クティはすでに録音した曲はライブでは演奏しなかったらしい。
だから晩年に演奏していた曲はリリースされてない。
ミュージック・マガジンのフェラ追悼特集(98年10月号)で石田昌隆×各務美紀×酒井透3氏による座談会でフェラの晩年に演奏していた曲CRFJJ(Clear Road For Jaga Jaga)がすごかったという記事を読んで、長いこと録音が残されていないのは残念だなぁと思ってたんだけど、最近そのライブ音源がYoutubeにアップされているのを発見!ついに聴けた!
どこかに誰かがこっそり録音したのが残ってんじゃないかと思ってたんだよ。

これは確かにすごい。「ゾンビー」や「オポジット・ピープル」とか70年代の全盛期にも勝るとも劣らないすごさ。
90年代中頃だろうか。晩年はほとんどナイジェリアから出ずシュラインでしか演奏しなかったらしいから、これもそうなんだろう。
途中でブレイクしてホーンがなくなってギターのリフに打楽器だけになったり、長い曲の中で物語的な起伏がある。フェラの声も激しく叫んだり、飄々と女性コーラスと絡んだり。楽しい。カッコいい。

音はお世辞にも良いとは言い難いし、途中で切れてしまうし。
それでも40分もあって演奏のコアなところは十分堪能できる。
CD化はまぁ無理なんだろうなぁ・・・

この曲をアップしている人のチャンネルには他にも晩年の未発表曲がアップされてるみたい。どういう人なんだろう?当時シュラインに行ってこっそり録音したってことなのかな。
とりあえず全部じっくり聴いとこう。

追記2014/09/13
案の定すぐに削除されてしまいました。
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ぬるま湯グルーヴに浸かりながら [アフリカ]

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相変わらずトホホでドイヒーなCDだな。
印刷はともかく雨に濡れたのか何かこぼしたのか思いっきりシミになってるよ。ひどいなぁ。
ナイジェリア産のCDを買うたびに同じこと言ってますが。っていうかCDじゃなくてCD-ROMなんですけど。

見てくれはひどいですが中身は最高のナイジェリアン・ハイライフの草分けロイ・シカゴです。
ボビー・ベンソンのバンドから独立してリズム・ダンディーズを率いての60年代前半録音の何枚かあるうちなんとなーくVol.4を抜いてきました。

ひなびたブラスにのどかな気分になりつつ、しっかり底の方では太鼓が乱打されていく。曲後半のブレイク部分のトーキングドラムがカッコイー。ハイライフはどうもアフロビートと比べると軽く見られがち。実際グルーブもぬるま湯的にゆるーいんだけど、そのぬるま湯グルーヴにはまると抜け出せないんだなぁ。
ごきげんですな。驚くことにこれMP3ならアマゾンでも買えるんですねぇ。

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ルンバ・コンゴレーズの青の時代 [アフリカ]

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新年、最初に何を聴こうかと思い、取り出しのは聴かずに置いておいたグラン・カレのアンソロジー。
この二枚のCDに収められた音楽の素晴らしさをどう言葉にすればいいのだろう。

ここにあるのは生まれてまだ歩き出したばかりの初々しさだ。
後のフランコの音楽のような完成されたルンバ・コンゴレーズではなく、雑多な要素が入り混じり、粗野と洗練の間で揺れ動いている。
ギターのはじける様なきらびやかさはどうだ。ジャイブ風味のサックスの荒々しくも優しいブロウは。
あまりにまぶしく甘いハーモニーには思わず目を細めてしまいそうになる。

「ルンバ・コンゴレーズの青の時代」なんて言葉が思い浮かぶ。
ここにはっきりくっきり刻まれたはじめの一歩は永遠だ。
正月に聴くのにこれほどピッタリな音楽はないかもしれない。
我ながらジャストな選択に今年はいい年になるぞ!と思う年頭也。

Happy New “Groove” Year !
今年もよろしくどうぞ。
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世界で一旗揚げるべ! [アフリカ]

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聴きたい音楽って全然なくならない。
昔はたくさん音楽聴いてたのに今は全然聴かなくなった人ってよくいますけど。ああいうのはどういうことなんだろう。興味がなくなったってことなのかな。
僕は全然なくならない。ジャンル関係なくなんでも聴くっていうのもあるけど。
いつまでたっても興味のある音楽が次から次へとでてくる。ほんと止まらない。

聴きたいのはたーっぷりあったけど、ほとんど聴けなかった今年のワールド・ミュージック。
今12月5日までHMVの4点以上で35%OFFセールをやってるので、これはチャンス!聴きたいけど手が出なかったあのボックスとか買っちゃおっかなー、自分へのクリスマス・プレゼントもいいよなーってこういう風にあれこれ考えてるのが楽しい。5日まで熟考継続中。

そんなこと考えてたら届いたのが、とりあえずこれは今年中に聴いときたいと思っていたジュピテール&オクウェス・インターナショナルの2nd「ホテル・ユニヴァース」。アフリカものでは今年一番の話題作みたいです。
うーんこのスピード感。しびれる。
ブックレットのワルな感じとメンバー全員の好き勝手なさすがのこのファッションセンス。
リーダー、ジュピテールの田舎者丸出しな歌が最高です。
都会に出てきても方言丸出しでそれをまるで気にしてない風な。「これでいーのだ!」的な。
「野郎ども!都会に出て一旗揚げるベー!」
「オッシャ!いっちょやったるべー!」という会話が交されたというのも嘘じゃない(嘘です)。

でもこのジュピテール・バゴンジがただの田舎者じゃないことはその音楽を聴けばじわじわ分かる。
じわじわ分かるという微妙な言い回しになってしまうのは一聴アフロビート、一聴アフロ・ファンクみたいだから。でも聴いているうちに、あれ?なんか違う?なんだこれ?という違和感にも似た新鮮さが耳の奥に積りたまっていく。
コンゴの伝統的なリズムと既成のアフロビートやロックやファンクを結びつけるという、ありそでなかったそのやり口。切れ者ですな。こいつは。この眼つき自体ただ者じゃない。
どの曲も逡巡する間を与えずにターゲットを打ち抜いていく。時にはメンバーに歌わせて自分はしれっと太鼓叩いてるだけだったり、なんかジョージ・クリントンに通じるクールさも感じます。まぁ20年以上コンゴのキンシャサで音楽活動をしてきたってんだから、ポッと出の若造じゃないんだから当たり前か。

こういうローカルなところからグローバルな舞台へ飛び出す瞬間の音楽ってほんと魅力的だ。
ボブ・マーリーとかキング・サニー・アデとかサリフ・ケイタとか。
そんな瞬間に立ち会えた幸福に感謝。
今年一番カッコいい音楽なのは間違いなし!
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アフリカン・イン・メンフィス・テネシー [アフリカ]

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今年はワールド系は全然聴けてない。予算も時間も足りません。
このロキア・トラオレの新作も半年くらい前に買ったのに、安室ちゃん旋風まっただ中だったのでほとんど聴いてなかった。今頃聴いてます。レビューも途中でほっぽりだしたままだった。
いいジャケ。このジャケに惹かれて買ったようなものかも。

前作も評価高かったけど、どうも内省的すぎる感じだったのでパスしましたが、今回は躍動感というほどでもないけど、外向的でよし。ドラム、ベース、ギターというロック・バンド編成ながらも、このなんともガシャガシャとしたブルース/ブギー~アフリカな感じにかなりそそられる。
どうせならもっとガッツリいってくれるともっとよかったのに。振り切り方がもの足りないから聴き終わった後の印象がぼやけがち。基本真面目で物静かな女性なのかな。

しかしこのアフリカン・イン・メンフィス・テネシーって感じのジャケはいいな。
このタイポグラフィーと着こなしも。
ロキアさんはフォトジェニックですね。
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王様のレコードもう一枚 [アフリカ]

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アメリカから届いた大きくFragileと書かれた荷物。
届くのを楽しみにしていたけど、オーダーしてから一週間程度で着いた。
中身はレコード。海外からレコードを買ったのは2度目かな。
最初はウディ・ショウのレコードだった。
今回届いたのはこれ。

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キング・サニー・アデの82年作「Conscience」!!!
eBayで見つけた。11ドル。安いけど同じくらい送料もかかったけど。
でもそれでも十分安い。うれしい。
これ聴きたかったんだ。
酔人婆爺さんとこで紹介されてて。無機質なビートさえナイジェリア薬籠中の物としたってどんなんだろう?と聴きたくてしょうがなかった。
youtubeでA面だけ見つけて聴いたらもうかっこよくってさぁ。
eBayであっさり見つけて。便利な世の中だよなほんと。

この打ち込みビートさえ正にナイジェリア薬籠中の物としたこのグルーヴ。最高です。
ジュジュはハウスとかクラブ・ミュージックとの類似性も指摘されたりするけど、この作品は正にそれを裏付けるようなクールな覚醒感みたいなグルーヴが満載。
明らかに打ち込みわかるビートの隙間をトーキング・ドラムが横揺れビートを追加していく。細かく刻むギターのリフ。まったく古さを感じさせない。スッゲー。紛れもない傑作。
アイランドの最終作である「Aura」はどうも評価が低いみたいなので聴いてなかったんだけど、この作品の延長線に位置するみたいで一緒にそっちもオーダーした。

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これもカッコイーなぁ。勝手に評価が低いからなんて決め付けちゃいけませんね。
「Consciebnceよりいっそうハイブリッド感ある音像はやっぱインターナショナル盤って感じ。
ハイッテック・ジュジュ。くせになるグルーヴだな。
2枚あわせて聴いて解き明かす謎がいっぱいある。
ジュジュの道はこのように奥が深いのです。
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