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ヨルバのパワーを求めて [R&B/JAZZ/etc]

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イギリスのアルト・サックス奏者ケヴィン・ヘインズ&グルーポ・エレグアの新作「Ajo Se Po」が面白い。
これが三枚目みたいだけど、この人はトリニダッド・トバゴにルーツを持つ人で、キューバでサンテリアなどヨルバ文化を勉強してきたそうです。モーゼス・ボイドと一緒にやったりしてる人です。僕もそのつながりで知りました。

ジャケにも写るバタ・ドラムが重要な役割を果たし、というか簡単に言えばサンテリアとジャズの語法を融合させた音楽を演奏しています。ほとんどの曲でチャントが、コラの音が聞こえてくる曲もあります。

曲のタイトルもすべてヨルバ語でしょうか。
ヨルバの文化やサンテリアに宿る霊的な力というかプリミティブなパワーを音楽に植え付けようとしているような意図が感じられます。60-70年代のブラック・ジャズ、スピリチュアル・ジャズの系譜ですね。
またポリリズミックな伴奏に乗って英雄的に朗々と鳴り響くヘインズのサックスに、UKジャズの先輩であるスティーヴ・ウィリアムソンを思いだしたりも。
最長14分超の2曲目「Oshogbo」は、サンテリア的なリズムで始まり、途中からコラが響き始めチャントが加わると、曲想がするりとマンディングっぽくなったりするところはハッとさせられた。

アルバム後半になるとジャズ的な趣はほとんどなくなって、マンディング的なチャントとコラが印象的な「Hebwa Baba」に、バタとチャントのみの「Apotura」はサンテリアそのまんまで、最後はパーカッションのみの演奏。サックスもピアノも聴こえない。

アルバム全体としてみると、正直リズムにもうひと工夫あると良いんだけどな。イマドキのUKジャズの多くのようにアフロビートやヒップホップ~クラブ・ミュージックなどと呼応するわけじゃなく、ただただ生真面目にヨルバ的なものを追及してるみたいで、ちょっと物足りなさも感じます。

ここからどう変化/深化していくのか期待させる秀作ではありますね。
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