SSブログ

祝福と呪いを豊饒なグルーヴに [アフリカ]

7AF57843-7E0D-48BA-BB08-641F2A0226F0.jpeg

あけましておめでとうございます。
年末にちょろっと行った小旅行についても備忘録として記しておきたいんですが、とりあえずそれは置いといて。

パウロ・フローレスがプロディジオというラッパーとの共同プロジェクト、エスペランサ名義で「A Bênção e a Maldição」を昨年11月にリリースしてました。ジャケットとタイトル「祝福と呪い」からも伺われるとおり、シリアスなメッセージ性の強い作品になっています。社会における貧富の差なんかをテーマにしているようです。

無伴奏で歌いだされる1曲目「História」から、意味は分からなくとも言葉に耳を傾けさせる音作りで、アコースティック・ギターにベースとドラムだけの簡素な演奏をバックに沈鬱に歌われるメロディ、プロディジオのラップはラップというよりポエトリー・リーディング的で、それもやはり聴き手を言葉にフォーカスさせる要因になっています。後半、ホーンが入ってくるとよりアジテーションのような様相を帯びる。

シリアスなメッセージを中和するように2曲目の「Nzambi」はレゲエのニュアンスのある豊饒なグルーヴに、パウロ・フローレスの音楽家としての懐の深さを感じずにいられません。

以降も比較的シンプルなアンサンブルながら、哀愁漂うメロディに乗せて言葉を慈しむように歌うパウロ・フレーレスと思いのたけが溢れるようなプロディジオのラップが対照的ながら、豊かなアンゴラの音楽的土壌に想いを馳せさせる作品になっています。

「Viola」や「A Vida É Curta」なんか、センバがサンバの語源だということに深く頷いてしまう美しい詩情に溢れていますよ。王道のセンバ「Kafrique」は訴求力抜群のパウロ・フレーレスの歌にほれぼれと聴き入ってしまう。
全8曲32分と短いんですが、懐深い素晴らしい作品だと思いますよ。
nice!(0)  コメント(0)