見知らぬ土地をあてもなく [ポップ/ロック]
この連休はどこにも出かけられないし、しばらく聴いてないのを聴こうかなと思い、先日のウィンウッドつながりで、この94年のトラフックの再結成盤「Far From Home」を。
そうえいば60-70年代から活動している人たちの作品では、リアル・タイムで聴いたこともあって、過去の名盤よりこうした90年代以降のアルバムにより思い入れがある。それはリアル・タイムで聴いたってこともあるだろうけど、実際作品として素晴らしいものいっぱいあるんですよ。
トラフィックのようなバンドはどうしても70年代の作品ばっかり取り上げられるんだけど。
実際トラフィックのアルバムの中ではもしかしたら一番聴いたかも。そもそもトラフィックにはあまり思い入れもないし、全部聴いたわけでもないんだけど。
本作も再結成ったって、ドラムのジム・キャパルディとの二人だけなんですよね。ドラム以外は基本ぜーんぶウィンウッドっがやっちゃってるわけで。再結成も何もないんですけど。
でも一曲目のうねりのあるグルーヴィ・ソウル「Riding High」、ブリティッシュ・ブルージーな「Here Comes A Man」、いかにもトラフィックらしい長尺のタイトル曲「Far From Home」と曲は粒ぞろいだし、イーリアン・パイプにデイヴィ・スピレーンを迎えたブリティッシュ・ゴスペル「Holy Ground」やエスニックなインスト「Mozambique」も流石の完成度。
地味っちゃ地味ですけど、そもそもかつてだってそういうバンドだったし。インスト・パートも鋭いソロの応酬というより、見知らぬ土地をあてもなく辿っていくような。このじわじわと青白く燃え上がっていく演奏がトラフィックってバンドの魅力だと思ってる。
個人的には文句付けるところのないお見事な名盤なんですよ。