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魂の旅は続くよ [ポップ/ロック]

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ヴァン・モリソンの新作「Three Chords And The Truth」。ようやくCDが届いた。
2015年の「Duets: Re-working The Catalogue」で過去の作品と向き合って一区切りついたからというわけじゃないだろうけど、2016年には「Keep Me Singing」17年に「Roll With The Punches」「Versatile」2018年に「You're Driving Me Crazy」「The Prophet Speaks」をと、怒涛のリリースで半世紀を越えたキャリアの人とも思えない精力的な活動ぶりには長年のファンとしてはうれしいかぎり。

僕はファンとしてはちょっとヴァンには厳しめだと思う。特にヴォーカルに関しては90年代以降のヴァンはちょっと時におおざっぱすぎるかなと思ってる。
でもオリジナルをリラックスして歌えばやっぱり不器用な歌声にほだされるな。

いつも通り現在のバンド・メンバーと過去の仲間たちが参加したアルバムはまさに王道のヴァン・モリソン・ミュージックに仕上がっている。リリース前に公開されていた数曲を聴いて、まぁいつものヴァンだなと思ってたけど、こうして全部聴いてみれば思った以上に、良い。

アイリッシュ・ソウルあり、ブルースあり、ジャズありと、まぁいつものヴァン・モリソンだ。
いっつも同じなんだけどね。曲作りに関してはコード進行でいえば5パターンくらいしかなくて、同じようなコード進行の同じような曲がいっぱいある。ヴァンは典型的なシンガーソングライター気質の人でその時考えていることをすぐ歌にしちゃう人なんですよね。だから歌詞が違えば違う曲ってことなんだろう。
だからこの人はいっつも同じなんだけどマンネリには陥らないんですよね。新しい曲をいつも新鮮に歌えるってのはまぁ良いことですよね。出来た曲をすぐ録音してリリースしてっていう方が、長々とスタジオで完成度高めるより良いと思うんですよね。基本ライブ・ミュージシャンだから。

細かい違いを見てみれば今回は管アンサンブルが全く聴こえてこない。自身がサックスを数曲で吹くだけ。それとストリングス関係と女性コーラスとかもなし。すっきりとしたコンボ・スタイルで攻めてますね。

古くは「アストラル・ウィークス」に参加していて、10年ほど前の「アストラル・ウィークス・ライヴ」に引っ張り出されて以来、時折ツアーにも参加していたジェイ・バーリナーのギターが冒頭の「March Winds In Feburary」はじめヴァンならではのリリカルなソウル風味を演出していて耳に残る。このサウンドはやっぱり得難い。
ちょっと前に「アンチェインド・メロディ」をカバーしたからか、ビル・メドレーを引っ張り出してきてデュエットする「FAME WILL EAT THE SOUL」やディランの「Ballad of a Thin Man」のフレーズを引用した「YOU DON’T UNDERSTAND」もあったりして楽しめる。

新しい言葉が見つからないけど、フレキシブルな演奏に気分よく歌いサックスを吹くヴァンの歌にこちらも気分よく揺れる快作です。

ちょっと気になったのがインナーに記された、
SPECIAL THANKS TO MAC, BILL MEDLEY, DON BLASK
の表記。
ビル・メドレーはデュエットで、ドン・ブラックは作詞で参加しているのでわかる。
最初に記されたMACなんですけど、クレジットにマックって人は見つからない。おそらくこれはマック・レベナック。ドクター・ジョンのことだと思う。
ニューオリンズでもレコーディングしているので、その折にひさしぶりに顔を合わせていたかもしれない。かつて一緒にアルバムを制作したこともある盟友へ「俺の魂の旅は続くよ」ってな想いも感じて、グッとくる。
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