Apple Music Playlist 2018.04.20 [Astral's AM Playlist]
Apple Music Playlist 2018.04.19 [Astral's AM Playlist]
いつかの時代のロマンティシズム [ラテン]
ドイツから届いたでかいブツ。
プチプチに厳重に梱包されてるけど、なんだか雑だなー。
ここ数か月、アップル・ミュージックでネルソン・ゴンサルヴィスの50-60年代のアルバムを聴きまくってました。どれ聴いてももうぐぅのねも出ないくらい完璧なんですよ。
僕が持ってるネルソン・ゴンサルヴィスは74年作の一枚だけで、それもとりたてて良く聴いた覚えもない。実際あの朗々とした歌は若干馴染むには敷居が高かったのも事実。
でも今になってあの歌声の良さにビッタシ焦点があってしまいました。あのダンディズム溢れる歌声に嵌るともう抜け出せないわけですよ。
そうなればCDが欲しくなるのが人情。でも50-60年代のアルバムは20年ほど前にCD化されたきり。それももう入手困難で、そもそも日本にもほとんど入ってきてないと思われ、中古でも見つからない。どう考えてもこの先、再発される望みは薄い。日本ではあまり人気がないし、そもそもこういうサンバ歌謡は今は流行らないしね。
ゴンサルヴィスのような歌はもう70年代のMPB時代にはすでに時代遅れだったろうし。日本でいえばフランク永井とか?バーブ佐竹とか?当たらずとも遠からずのイメージだと思うんだけど、彼らの音楽が今や誰も聴かないのと同様、ゴンサルヴィスのサンバ歌謡はブラジル本国でさえ、広く聴かれているとは言い難いんじゃないだろうか。
いや知らないけど、実際オリジナル・アルバムなんてほとんど見当たらないし、ベスト盤ばかりだしね。
そんなわけで購入したのがが、ジャーン!
2002年にリリースされた3枚組のボックスです。
タイトルは「O MITO」。神話って意味です。
仕様はちょっと前に買ったオルランド・シルヴァと同じで縦長の箱でブックレットがついてます。
デビューの41年から90年まで、亡くなったのが98年だからキャリアのほぼ大半を網羅した、コンピレーションとしてはこれ以上ない仕事でしょう。ブックレットにディスコグラフィーがついてるかと思ったらなかった。それがちょっと残念。たぶんテキストの中に詳しく書かれてるんだろうけど。ポルトガル語だからな。
70年代以降のどのアルバムからも1曲は選曲されてるようで、素晴らしい箱です。デビューしたばかりの頃はまだ賑やかなサンバやマルシャもあるけど、やっぱりこの人の真骨頂は50年代に入ってからの哀愁漂うサンバ歌謡ですね。
このボックスの1枚目の後半あたりからはもう次から次へとそんな曲が流れてきて、胸がいっぱいになってしまう。
ゴンサルヴィスの音楽を聴いてると、その音楽を取り巻いていたであろう時代の雰囲気にどっぷりと浸かってしまう。もちろん自分の知らない時代ですから想像ですけど。こういう大人のダンディズムが有効だった時代に。とういかロマンティシズムですよね。そのロマンティシズムを体現していた歌声って気がしますね。
その歌声が今という時代に全くそぐわないのは仕方ない。どっちにしろ音楽の価値とは別の話だ。
ただこのダンディーな歌声に酔うだけ。
Apple Music Playlist 2018.04.17 [Astral's AM Playlist]
ランタンの灯の下のオルケス・ムラユー [アジア/インド]
鮮やかなブルーのカラフルなジャケに目を奪われる。
アパートの先につるされた洗濯物。その上に広がる青空。
エファ・セリアと一緒に購入したインドネシアのグループ、ランタン・オーケストラの2017年作。
この音楽はなんと形容したらいいんだろう。ラウンジーなクロンチョン?ジャジーなオルケス・ムラユー?
普段はジャズ・ミュージシャンとして活動する傍らかつてのオルケス・ムラユーをよみがえらせる試みらしい。といってムラユー音楽とジャズの融合とか堅苦しさは微塵もないのが良い。
クンダンの横揺れリズムが波音を運んでくる。全曲ノスタルジーを感じさせるオリジナルながらギターやサックスはジャズ・フュージョンを消化し、ホーン・アレンジには現代性を加味し、風通し良くコンテンポラリー。軽やかだけれど安っぽくならないのはミュージシャン・シップに基づいた演奏に品があるから。
ここで「本格」を持ち出すのは野暮というもの。軽やかな遊び心は耳をくすぐり心も身体も軽くする。
Lantunってのはランタンのこと?
街角のランタンの灯の下に佇むオルケス・ムラユー。風に運ばれてくるちょっと懐かしいような音楽。そんな想像も的外れじゃない。
ラストのエレガントなピアノをバックにしたムラユー歌謡は、きっとこの夏の暑さに疲れた時のやさしい子守歌になってくれるでしょう。
傑作なんて言葉は似合わない。お気に入りのグラスで飲む麦茶のように愛でたい素敵な作品です。
五木田智央「PEEKABOO」@東京オペラシティ アートギャラリー [イベント]
本日はオペラシティにて画家、五木田智央「PEEKABOO」」を見てきた。
モノクロのドローイングばかり。かなり大きいのもあった。全然知らない人ですけど、時々ボケっと絵を見る時間ってのも必要なんですよ。
どちらかといえば常設展示の相笠昌義の絵の方が面白かったかな。
ガランとした展示室で学芸員と楽しそうに話しているおじいちゃん。「79歳の自画像」という絵と同じ顔。相笠昌義本人でした。
写真撮影OKだった五木田智央の絵。たしかタイトルは「Easy Mambo」。
そんなわけで今日はこれを聴く。
Orquesta Akokán:Orquesta Akokán
これはサイコーじゃーん!これこそ俺の好きなキューバ音楽。キューバの若手ベテラン一緒くたのグループ。レーベルのダップトーンはジェイムス・ハンターを出したとこ。ハンター同様、温故知新とかじゃなくて、これが今だろ!って感じのコンテンポラリー感がうれしい。いきなりマンボで始まりベニー・モレーを思い出し、でもレトロ感微塵もなし。どの曲もコンガがいい音で鳴ってる。先日のかねーらといい、キューバも最近ティンバ以外にも色々あって変わってきてるのかな。
インドネシアン・ネオ・ソウルの歌姫 [R&B/JAZZ/etc]
こんな素晴らしい作品が2016年にリリースされていたとは知りませんでした。
インドネシアの歌手、エファ・セリアの1st「and so it begins」。
音楽的にはジャズ~R&Bのネオ・ソウル。
今一番流行りの音ですね。ちょっと前にそういったネオ・ソウルには今一つ乗り切れないといいましたが、この人にはすっかり魅了されてしまいました。
なんでだろう。
まずは声ですね。涼やかで軽やかなソウル・フィーリングを感じさせる。
それと全曲自作というソング・ライティング。
冒頭の曲のドラムはクリス・デイヴを思い出さずにはいられないし、ホーン・アレンジは正にイマドキのジャズらしいアンサンブル。参加ミュージシャン達が最近の新しいジャズに感化されているのは間違いない。
イマドキ感満載の音作りながら、エファ・セリア自身はあまりそういうこだわりはないんじゃないだろうか。もっとスタンダードなソングライターとしての良さが溢れていて、何かをなぞったり、狭いジャンルに閉じ込められない自由闊達さが感じられるから。
欧米の最近のネオ・ソウルにはなぞってる感を感じるのに、彼女には感じないのは、表面的にはインドネシアらしさを感じさせるところはないけど、この涼やか&のびやかなメロディにどこかクロンチョンやムラユー的なものが潜んでいるからかもしれない。というのは僕の夢想にすぎないだろうけど。
途中一曲のインタールードを挟む全8曲。34分と短いながらドラマを感じさせる構成は、無駄なところなど一分もなく密度高い音が溢れる逸品。
本作は全曲英語だけど、次作はインドネシア語で歌って欲しいな。
父親が鍵盤奏者で母親が女優で歌手。要はサラブレッドなわけで。本作のリリース記者会見では姉妹かと見まがうような美しい母親が寄り添っていた。
インスタグラムなどを除くとファッション・モデルとしても活動しているよう。ライブ映像を見ると自身でギターを持って演奏するミュージシャン・シップもあるのも良し。
ちなみに大阪のプランテーションから通販でこれを買ったけど、タワレコなどでも取り扱いはないようで、インドネシアってだけでロクに流通しないまま聴かれずにいられるなんて残念至極。まぁストリーミングで聴けるからいいのか。
混じりけなしの傑作です。