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インドネシアン・ネオ・ソウルの歌姫 [R&B/JAZZ/etc]

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こんな素晴らしい作品が2016年にリリースされていたとは知りませんでした。
インドネシアの歌手、エファ・セリアの1st「and so it begins」。
音楽的にはジャズ~R&Bのネオ・ソウル。
今一番流行りの音ですね。ちょっと前にそういったネオ・ソウルには今一つ乗り切れないといいましたが、この人にはすっかり魅了されてしまいました。

なんでだろう。
まずは声ですね。涼やかで軽やかなソウル・フィーリングを感じさせる。
それと全曲自作というソング・ライティング。
冒頭の曲のドラムはクリス・デイヴを思い出さずにはいられないし、ホーン・アレンジは正にイマドキのジャズらしいアンサンブル。参加ミュージシャン達が最近の新しいジャズに感化されているのは間違いない。

イマドキ感満載の音作りながら、エファ・セリア自身はあまりそういうこだわりはないんじゃないだろうか。もっとスタンダードなソングライターとしての良さが溢れていて、何かをなぞったり、狭いジャンルに閉じ込められない自由闊達さが感じられるから。

欧米の最近のネオ・ソウルにはなぞってる感を感じるのに、彼女には感じないのは、表面的にはインドネシアらしさを感じさせるところはないけど、この涼やか&のびやかなメロディにどこかクロンチョンやムラユー的なものが潜んでいるからかもしれない。というのは僕の夢想にすぎないだろうけど。

途中一曲のインタールードを挟む全8曲。34分と短いながらドラマを感じさせる構成は、無駄なところなど一分もなく密度高い音が溢れる逸品。
本作は全曲英語だけど、次作はインドネシア語で歌って欲しいな。

父親が鍵盤奏者で母親が女優で歌手。要はサラブレッドなわけで。本作のリリース記者会見では姉妹かと見まがうような美しい母親が寄り添っていた。
インスタグラムなどを除くとファッション・モデルとしても活動しているよう。ライブ映像を見ると自身でギターを持って演奏するミュージシャン・シップもあるのも良し。

ちなみに大阪のプランテーションから通販でこれを買ったけど、タワレコなどでも取り扱いはないようで、インドネシアってだけでロクに流通しないまま聴かれずにいられるなんて残念至極。まぁストリーミングで聴けるからいいのか。
混じりけなしの傑作です。

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