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最高にクールだけどIt Ain't Cool [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

デューリーが最後に残した3曲のうち続いて2曲目は「It Ain't Cool」。
これはタイトルに反して、最高にクールなジャズ・ファンク・ナンバーです。デューリー&ブロックヘッズによる究極のファンク・ナンバーだと思います。

全ての楽器が複合的に組み合わさったアレンジの妙味に聴くたびに魅了されてしまうんですよ。
シンプルなドラム・パターンの上にベースとエレピのユニゾンによるテーマ・リフ。左のギターは細かいカッティングで、右のギターは頭がどこかわからないようなフレーズをぐるぐる。このイントロだけでご飯三杯。

アメリカのファンク・バンドはやっぱり感覚的というか持って生まれたものがそのまま出てるって感じがします。ダンプスタファンクもね。でもブロックヘッズの場合、やっぱりイギリス人。後天的に身に着けたゆえの繊細さというか、アレンジとかね。それが良いんですよ。

例えば左のギターのカッティングはイントロではずっと聞こえるんですが、歌が始まると消える。2つめのヴァースから再登場。2コーラス目になるとデューリーの歌の構成が1コーラス目とは若干違うのに合わせてかはじめの2小節はなくて後の2小節にはでてくる。
多分これも何言ってんだかわからないと思いますけど、こういう細かい足し算引き算というかアレンジの妙味が聴いてて面白いんですよ。僕は。
ここでこうしてこうなってんだ。って感じで。

この曲の僕の唸りポイント全部挙げときましょう。
ブリッジでの右から聴こえるギター。たった一音をずっとベンディングとかでウィ~~~~ンと変化させていくフレーズ。これもアイデアだなぁと思う。

間奏のジャジーなピアノも最高にクール。
その後、サビがあってコーラスが何度も繰り返されます。
その後のドラム・ブレイク。ドラム・ソロってほどでもない。まったくどうってことないドラム・ブレイクですけど、ピアノをバックに畳みかけてゆくところがスリリング。

で、その後にホーン・セクションが入ってくるんですね。ここまで全く登場しなかったのに。
これはジラッド・アツモンが吹いてるんですが、前任のデイヴィ・ペインもそうでしたが、ライブとかではローランド・カークみたいに一度にサックス2本加えて吹いたりする人です。多分ここでも多重録音じゃなくて、2本くらい加えて演奏してそうです。ホーン・セクションっていってもサックスのユニゾンみたいなフレーズなので。

そして最後にエレピ・ソロが続きます。間奏もピアノでしたけど。っていうか間奏もエレピだと思いますけど、生ピアノに近い音で、エンディングの方はローズかウーライツァーかな。

演奏についてばっかりになっちゃいましたけど、デューリーの歌は王道のデューリー節。歌詞がまた皮肉たっぷりに辛辣で大好きなんですよ。

俺をダシにして皮肉を言うような道化者が
 イケてると思ってるだろ
俺に弁護もつかねえのに裁判するのが
 イケてると思ってるだろ
俺が口止めされてるのを知ってると
 味なことだと思ってるだろ
いたずらっ子であることが イケてると思ってるだろ
 でもお前のジョークは見当はずれ
イケてねえ
イケてねえ

自分の長所を数え上げる イケてねえ
やってもないことをやったと言う イケてねえ
自分の勝ち分を要求する イケてねえ
 初っぱなからヘタバって 他人の順番になってるってのに

リリース以来、時にちょっといい気になってる自分に冷や水を浴びせてくれる曲です。

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ロッキン・ステディなグルーヴのDance Little Rude Boy [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

91年のセッション3曲、前作の未発表2曲が終わったので、続いてアルバムのハイライトであるデューリーが最後に残した3曲にいきましょう。
この3曲はほんと素晴らしくて、彼の残した究極の3曲だと思います。

携帯音楽プレーヤーで音楽を聴くようになって、プレイリストを気軽に作れるようになると、この3曲はだいたいどのプレイリストにも入ってくるんですよね。だから僕が一番よく聴いたアルバムは「Mr LOVE PANTS」かもしれませんが、曲単位で言うとこの3曲になるかもしれません。

今日はまずアルバムのオープニング曲「Dance Little Rude Boy」を。
タイトルにルード・ボーイとあるようにこの曲はレゲエというかロックステディでしょうかね。こんな風にロックとレゲエのリズムが絶妙に混交した曲を僕は他に知りません。パンク以降レゲエをやる人が多くなりましたけど、クラッシュにしろスペシャルズにしろミックスするよりそのまんまレゲエをやってましたよね。

肩で風を切るようなこのリズムがルード・ボーイが粋がってる感じを表してるようです。でも曲はそんな若者に苦言を呈するような感じなんですけど。

小粋な身なりに いかしたドレッド
ふんぞり返ったダゲナム歩き
舌先三寸 キューバンヒール
日和見野郎の面構え

甘いコロンに 携帯電話
身振り手振りは ならず者
やくざのカッターで風を切る
虚勢の過剰摂取で

歌いだしの1小節で2度続けて韻を踏んでいくところが歌の方でもグルーヴを出していて思わず口ずさんじゃう。デューリーならではの歌って感じがします。もとがそうだからか訳詞もなんだか語呂が良くってニヤリ。

ブロックヘッズのメンツがドラムがディラン・ハウにサックスがジラド・アツモンに変わってます。演奏もこれぞグルーヴィって感じで最高。もっとみんな演奏家として評価されていいんですけどね。間奏のジョニー・ターンブルのギターもフレーズといい構成といい見事。

エンディングもビシッと終わるところがまたカッコ良し。最高のロッキン・ステディです。

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バンドの演奏力光るHappy Hippy [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

前作「MR LOVE PANTS」から漏れたうちの2曲目は「Happy Hippy」。
これも大好きな曲です。これこそデューリー&ブロックヘッズでしか味わえない曲ですね。

コード構成はテンション・コード満載のジャズ・ファンク的な曲なんですけど、それを思いっきりパンキッシュにかっ飛ばしてくれます。こういのは他ではありえないからなぁ。だいたいがオシャレなスティーリー・ダン風味になっちゃいますから。この曲はチャズじゃなくてリズ・ジョーンズとの共作ですね。

タイトルにあるヒッピーの時代に引っ掛けて、ドラムは右チャンネルに配されてます。ついでに後半にはシタールがビヨ~ンと鳴り響く小ネタもバッチリ。歌詞は韻をこれでもかってほど踏んでいて内容がわからなくとも音だけで楽しい。

コール&レスポンスのようにはいるギターが目立ってますけど、ミッキー・ギャラガーのオルガンも素晴しく特にエンディングのグルーヴィ極まるプレイは名演と言ってしまいたい。間奏のヴァイブはキーボードでやってるのかな。続くフルート・ソロもグッド。

とにかくブロックヘッズの高い演奏力が存分に発揮された曲です。

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ハチャメチャ時代への挽歌 Ballad of the Sulphate Strangler [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

それでは91年のセッションの3曲が終わったので、次は前作「MR LOVE PANTS」から漏れた2曲を紹介しましょう。アルバムか漏れたとはいえ、それは出来が悪いからというわけじゃなく、曲数やバランスを考慮して外されたようです。なにしろアルバム収録曲となんらクオリティの差のない素晴らしいがっきょくですから。

まずは「Ballad of the Sulphate Strangler」から。
ロッカ・バラードではじまり途中からロックンロールに変わるという構成は、ファンなら名曲「Sweet Gene Vincent」を思いだしてニヤリとしてしまいます。
賑やかなロックンンロール・パートでもギターはパワーコードでガシャガシャ押すようなことはせずカッコいいギターリフを交えてさすがの腕っこきバンド。デューリーの曲はブリッジ部ではしゃべり口調の歌が聴けるのが多いですけど、この曲のブリッジは明確にラップっぽいと思うんだけど。

歌詞はかつてデューリー&ブロックヘッズのローディーだった男の破天荒な人生を歌ったもの。

一緒にツアーにでかけたな ブロックヘッズとローディーと
ヤクを1服 ウォッカを1滴 極上ビールを1本ばかり
スペインをめぐってシスコまで
 ファンキーな足跡 つけていき
檻から奴を出しとくために 金積むハメにもなっていた
やがてニューヨークに着いたらば
 クビにせざるを得なかった
楽屋で起こるドラマの方が ステージより派手ときちゃあ

デューリー自身も含めたハチャメチャ時代への挽歌でしょうか。後半のサックス・ソロは連夜の饗宴をフラッシュ・バックさせるようです。

歌詞対訳は邦盤(対訳:丹 美継)から引用しました。
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カリプソのリズムでOne Love [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

91年のセッションを元にした3曲の最後は「One Love」。
このタイトルだとボブ・マーリーの曲が有名ですけど、こちらはカバーじゃなくてデユーリー/ジャンケルによるオリジナルです。

この曲は聴けばすぐにわかる通り、カリプソですね。これまでにもデューリーの曲にはカリプソ風味な曲がありました。っていうかレゲエとかも含めてやはりカリブからの移民が多いだけに、普段からそういう音楽を耳にする機会が多いせいなんでしょうね。イギリスのミュージシャンはレゲエやカリプソな曲を作ることが多い気がします。

スティール・パンを模したピアノがさすがの芸達者です。
この曲の技ありポイントは間奏のギター。右から聴こえてくるリードも良いですが、左から聴こえるミューとした気の利いたフレーズを連発するギターに、いつも聴くたびに旨いなぁと思っちゃうわけですよ。どっちがジョニー・ターンブルでどっちがチャズかわからないんですけど。

エンディングでのホーンとギターの掛け合いも気分を盛り上げる。
ライブで聴きたかったなぁ切に思う多幸感溢れる隠れた名曲です。

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カントリーをネタにしたCowboys [Ten More Turnips from the Tip]  [イアン・デューリー]

91年のセッションから取り上げる次の曲は4曲目の「Cowboys」。
タイトルにちなんだのかこの曲は珍しくカントリーをネタにした曲です。バンジョーの音も聞こえます。
ブロックヘッズが妙に生真面目に?カントリー風に演奏してるのが、冗談みたいで笑えてきます。スティール・ギターを模したギターも芸達者ですな。

名声を得ることによる落とし穴について歌ってるみたいです。

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王道のデューリー&ブロックヘッズ印のファンク:I Believe [Ten More Turnips from the Tip] [イアン・デューリー]

では「Ten More Turnips from the Tip」の全曲レビューを始めましょう。
曲順ではなくて、録音時期の古いセッションごとにいきます。まずは91年のセッションによる録音を元にデューリーのヴォーカル以外は新たにレコーディングし直した3曲から。
このセッションのオリジナル音源は後に「The Bus Driver's Prayer & Other Stories」のボーナス・トラックとしてリリースされました。

ここではバックの演奏は新録音なんですが、前作「Mr LOVE PANTS」からドラムがディラン・ハウに、サックスがジラド・アツモンに変わってます。
今日は2曲目の「I Believe」を取り上げます。
この曲はミッキー・ギャラガーとの共作で典型的なデューリー&ブロックヘッズ印のファンク・ナンバーですね。イントロに配されたカリンバやゴキゴキいってるクラヴィネット?、ギター・リフもセンス良し。ブリッジの後のギターのキメにその後のフルートを配した間奏など、アレンジも旨すぎる!

歌詞もシンプルに「I Beleive~」と繰り返すなんとも素朴なユーモアにほのぼのする。

信じているのは 空き瓶ポスト 中から出てくる美しさ
信じているのは お礼の挨拶 肌で感じる涼やかさ
信じているのは すこやか散歩 足に与える強壮剤
信じているのは まじめな話 食えればそれで万々歳

そういうことを信じてる 素朴な感じはするけれど
信じてるよ サンタクロース 与えることは受け取ること
そういうことを信じてる


歌詞対訳は邦盤(対訳:丹 美継)から引用しました。
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マイ・フェイヴァリットNo.2かも? [イアン・デューリー]

TenMoreTurnipsfromtheTip.jpg

「MR LOVE PANTS」の全曲のレヴューが済んで、とりあえずあのアルバムに関しては思いのたけはすべて吐き出したので、続いて、2002年のアルバム「Ten More Turnips From The Tip」についても記しておきましょう。
「MR LOVE PANTS」がマイ・フェイヴァリットNo.1とするなら、こちらはNo.2かもしれません。1~2フィニッシュでイアン・デューリーなんですよね。

デューリーは2000年3月27日に癌で亡くなりました。
その2年後にブロックヘッズによって完成されたのがこのアルバムです。
本作に収録された曲は4つに分けることができます。録音の古い順に言うと

1.91年のセッションによる録音を元にデューリーのヴォーカル以外は新たにレコーディングし直したもの(3曲)
2.前作「MR LOVE PANTS」から漏れた曲(2曲)
3.デューリーが生前最後に残した曲(3曲)
4.デューリーが残したものの録音は叶わなかった曲(2曲)

この4種です。
録音時期はバラバラながらひとつのアルバムとしてのまとまりもしっかりあって、遺作の定義は基本的には生前最後の作品なんでしょうが、本作は亡くなって2年後にリリースされた作品ながら、遺作と呼ぶにふさわしい素晴らしいアルバムだと思います。

タイトルはターニップはカブの事ですが、慣用句みたいなものなんでしょうか。「ごみの中からガラクタを10個」と、ブロックヘッズの面々が考えたんでしょうが、デューリーらしいユーモアのあるタイトルです。

本作も何回聴いたかわからないくらいの大好きな作品なので、これからじっくり語っていきたいと思います。
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「Mr LOVE PANTS」全曲レビューを終えて [イアン・デューリー]

そんなわけで、「Mr LOVE PANTS」全曲レビューを終えて、改めて俺ってこのアルバムほんと好きだなぁと思いましたね。世界でこのアルバムを一番聴いてるのは間違いなく自分だと自負しています。

そうそうここまで毎日の食事や日用品のごとく生活に密着している音楽ってのもないなと思います。歯を磨いたり、服を着たり食事をしたりといった行為と同様に聴いてるわけですから。よっぽど自分にフィットする音楽なんでしょうね。そういう音楽に出会えたことをほんと幸運に思いますよ。

曲以外の事についても記しておこう。
このジャケット。いいですよね。
犬がパンツはいてる。このふざけた感じ好きです。
それにブックレットもいい感じのアートワークで、ほんと文句の付けどころのない完璧なアルバムです。

僕はリマスターとかあまり興味がないので、ほとんど買い直すことってないんですけど、2015年にリマスター盤が出て、それは買いました。といってもようやく昨年ですけど。アナログも数年前に出たんですけど、これを機にそっちも買おっかなぁと思ってます。

97年のアルバムなのでリマスターしてもそれほど変わりません。
プラケースだったのがブック形式になりました。新たにライナーノートが追加されてるんですけど、全然読んでなかったけど、拾い読みしてみると制作時のこととか書いてあるので、今度ちゃんと読んでみよう。

1曲「Mash It Up Harry」のリミックス・ヴァージョンがはいってます。
97年当時シングル・リリースされて、そこに収録されていたレゲエにファンク風味が加えられてます。まぁまぁです。

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カラリとしたレゲエな10曲目:Mash It Up Harry [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

さてついにたどり着きましたラスト・ナンバーは「Mash It Up Harry」。
この曲は何の変哲もないレゲエで、カラリとライトな風味が気持ち良い。

歌詞はなんのことを歌ってるのかよくわかりません。

あいつは チンケなYシャツに
 チンケなベスト着て
髪にチンケな分け目をつけている
チンケなズボンに チンケな靴
で 例のところに
 ウェンブリーが少し欲しいんだと

何か・誰かを揶揄してるかもしれないけど、よくわかりません。
最後はバンド・メンバーみんなで

今まさに みんなでウェンブリーに行くところ

と歌って大合唱で大団円。

曲がフェイド・アウトしてしばらくすると、犬の鳴き声が聞こえて、これはなんなんでしょう。犬の鳴き声のあいまにデューリーが
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とか言ってます。ジャケに引っ掛けたシャレでしょうか。
そして、犬をあやして、お座りとか言って、最後に小さな声で
Thank You
これを聴くといつもこんな最高なアルバムを作ってくれて、こっちがサンキューだよ!と思う私なのでした。

歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。
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