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ブルースをモチーフにした9曲目:Heavy Living [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

9曲目の「Heavy Living」はスライド・ギターがギュイーンとうなるブルースをモチーフにした曲。
デューリーの曲ではそれまであまりなかったタイプの曲ですね。
でもいわゆるブルース・ロックみたいにならないのがこの人らしいところ。
サックスがブヒブヒいってるところは、フリー・ジャズ・グループがブルースをやってるみたいにも聞こえます。

それにしてもこの曲ではジョニー・ターンブルのギターが大活躍、ミッキー・ギャラガーのオルガンも名脇役なプレイ、他の曲でもやはりブロックヘッズのどんな曲にでも自在に対応する演奏力に改めて感心してしまいます。

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Bed o' Roses No.9の歌詞について [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

昨夜「Bed o' Roses No.9」の歌詞対訳を見て、そうだった歌詞について記しとくのを忘れてた。
この曲の歌詞も好きなんですよね。だって、

できればやりたくなかったことを
 たくさんやってきた
もう絶対やりたくないことは 他にもある

なんて始まるんだから。よーくわかるよ。
こんな気分になったことは誰にもあるでしょう。

できれば見たくなかったことを
 たくさん見てきた
もう絶対見たくないことは 他にもある
でも 生き残ってる奴には 言い表せない
君を知ってからの俺がやらかした
 このごちゃごちゃを

僕はこの曲以外の「Bed of Roses」を寡聞にして知らないんだけど、たぶん甘く美しいラブ・ソング的な曲が多いんだと思いますが、この曲はそんなイメージとはかけ離れた曲ですね。
サビはこんな感じです。

バラのベッドのような
 楽な暮らしになるはずもないとわかっていた
愛が負わせる血まみれの重荷を
 何度も見てきた
でも ドアが閉まり
 もう片方のドアも閉じられ
今はもう 釘だらけの血まみれのベッドの上だ

とまぁ言ってみりゃ血まみれの・ラブ・ソングですかね。

歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。
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曲構成が微妙に変則的で好きな8曲目:Bed o' Roses No.9 [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

8曲目の「Bed o' Roses No.9」。
No.9というのは、「Bed o' Roses」というタイトルの曲は過去に8曲あったから、この曲は9番目ということらしいです。インタビューで言ってた。

イントロのピアノのフレーズはちょっとオリエンタル風。チャズは過去にも「Wake Up and Make Love with Me」のイントロでもこういうフレーズを入れてましたが、何なんでしょうね。曲に独特の雰囲気を与えてますけど。

ピアノが裏で刻むので、レゲエのニュアンスがあります。
曲構成が微妙に変則的で好きなんですよ。
8小節建てのバースは4小節のAメロを2回繰り返しすんですが、次にもう一度その8小節のパートが繰り返されると思いきや2回目のAメロの最初の2小説は下降するようなコードが配されたメロディに変わっていて、後の2小説はそれまで通り。

そのすぐ後にサビがあるんですが、そのサビの部分がその前のバースの下降するようなコード感のところと呼応してるんですよね。たぶんこれ読んだだけだと何言ってるかわからないと思うけど。

この下降するようなコード感のところが曲のアウトロでも雪崩を打つように繰り返されてカッコいいんですよ。このアウトロではミッキー・ギャラガーのピアノも聴きもの。
ステディに刻むシャープなスティーヴ・モンティもドラムも良いけど、やっぱりこの曲もノーマン・ワットロイのベースが地味ながら最高にグルーヴィです。
トランペットの音が聞こえるけど、クレジットにはないのはシンセとかで代用してるのか。普通に生のトランペットに聴こえますけど、どうなんでしょう。

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ラップでもトースティングでもなく7曲目:Cacka Boom [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

まだまだ続きますこのシリーズ。
7曲目の「Cacka Boom」は一曲目の「Jack Shit George」と同じくリズ・ジョーンズとの共作。
この曲も大好きなんですよ。やっぱり他では得難い味わいというかグルーヴがあるんですよね。

ウネウネと地を這うベース・ラインに方やカッティング、方やアドリブ的に自在に絡んでゆく2本のギターが小気味よいファンキーなグルーヴ。サビでリズムが立ち上がった時は片方がワウをかますとこも、なんてことないけど痒いとこに手が届いた技です。
それに何よりデューリーのラップでもトースティングでもない独特のヴォーカルが乗ることによって生まれる味わい。言葉の乗せ方が面白いんですよね。上手く説明できないですけど。

相変わらず韻を踏みまくった歌詞もユーモアと辛辣さがないまぜになってこの人らしい。

罪を負ったなら 一発かませ
ただの冗談でやったこと そう言うんだ
眠いのなら こういう手だてもある
おもえらみんな説教臭い そう言ってやれ

そしてサビになると相変わらず鋭い

もし それにとりくもうとしないなら
もうすでに それに失敗してるんだ
もし それをやろうとしないなら
ただ それを後悔することになるよ

あとこの曲フェイド・インで始まるんですけど、考えてみるとフェイド・インで始まる曲ってあまりないですよね。フェイド・アウトはいっぱいあるけど。


歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。
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ヴォードビルなラブ・ソング 6曲目:Geraldine [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

6曲目「Geraldine」はキーボードのミッキー・ギャラガーとの共作によるホンワカとしたラブ・ソング。あまり言葉はいらないかな。ミッキーと作る曲は比較的メロディアスなのが多い気がするな。

ちょっとヴォードビルっぽい?穏やかに語りかけるようなデューリーの歌は、かつてとは違う包容力に満ちていて、聴いてるこちらもやさしい気持ちになります。

「ジェ・ジェ・ジェ・ジェ・ジェッ・ジェ~ラディ~ン」と思わず口ずさんでしまう。

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めずらしく8ビートのロックンロールな5曲目:Itinerant Child [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

5曲目の「Itinerant Child」はストレートな8ビートのロックンロール。
デューリーの曲はファンキーな曲が多いので、こういうタイプは珍しいんですよ。
ノーマン・ワットロイのベースラインが印象的ですけど、ワウを効かせたギターなんかはファンク風味な感じがありますね。
こんなロックな曲なのに間奏のピアノがジャジーなところがこのバンドらしいところ。名曲「Sex & Drugs & Rock & Roll」もそうでした。アウトロでデイヴィ・ペインのサックスがぶひ~っと長めにフィーチャーされるところもうれしい。
CDだけど、A面のラスト曲って感じがするんですけど、どうでしょう。

この曲、僕が見た95年のライブでやったんですよね。
当時まだデューリーのアルバムを全部聴いてたわけじゃなかったので、この曲かっこいいなぁどのアルバムに入ってるのかなぁなんて思いながら聴いてた。新曲だったんですね。

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これぞこの人の真骨頂4曲目:Honeysuckle Highway [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

それでは4曲目「Honeysuckle Highway」にいきましょうか。
これぞデューリーの真骨頂というべき曲。
リズムがまた変わっていて、変拍子じゃないですけど、アクセントが変なとこにあって叩くの難しそう。ラテンというかカリブ風というか、どことも言えない南の島へ誘われるようなグルーヴがもう最高です。
途中からはいってくるバックの「カ~ム・ウィズ・ミ~~」というコーラスもそれを冗長するわけで。
この曲に限らないけど、韻を踏みまくった言葉遊びな歌詞がグルーヴを纏っていくのがこの人らしい。

アルバムのハイライトのひとつです。


当時のライブ・ヴァージョンがまた良い。
イントロで「この曲はめちゃ難しいんだ。集中してくれよ」なんて言ってます。
スタジオ・ヴァージョンはゆったりとしたリズムのままフェイド・アウトしていきますけど、ライブでは後半ファンキーになるのが、かっこいい!

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捉えどころない3曲目:You're My Baby [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

アルバム3曲目の「You're My Baby」はアルバム中一番地味な曲。
でも、なんとも捉えどころのない曲なんですよね。デューリーの曲はというかチャズ・ジャンケルは複雑なコードを使うので、この曲もたぶん微妙なテンション・コードが使われてそうです。
アルバムのコード譜とかあったら見てみたいんだけど。

歌メロと対になるような浮遊感のあるギターのオブリガードにひらひらとフルートが舞う。
ラブ・ソングといえばそうなんですが、この時期デューリーは再婚して、子供が生まればっかりだったんですね。だからここでBabyというのは、言葉通り赤ちゃんのこと。

毎日毎日 君をみつめる
すると毎日なにかを 君の中にみつける
もう ありあまるほどの愛を手にして
君なしでは おうどこへも行かない

小さな子供って日々変化成長していて見ていて飽きることがないですもんね。そんな驚きや愛しさが穏やかに湛えられた曲です。

歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。
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ニューオリンズ風味?2曲目:The Passing Show [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

続いて2曲目「The Passing Show」について。
イントロで右のスピーカーから聴こえてくるギターが刻むのはセカンド・ラインのあのリズム。すぐにドラムがはいってくるけど、かなりオフ気味で左のスピーカーからしか聞こえないので、基本的にギターだけをバックにしてデューリーが歌いだす感じ。

「The Passing Show」というのはいろんな出しものがある移動式の楽団みたいなものらしい。アメリカにはメディシン・ショウってのがあったので、それのイギリス版みたいなもなかな。歌詞はそういうことを歌ってるわけじゃないけど。

ワン・コーラス、サビも含めて歌い終わると、一気にすべての楽器がオンになってなだれ込んでくる。歌の合いの手のようなピアノのフレーズはもちろんニューオリンズ風味。でもその薫りもロンドンのパブの片隅でタバコとビールの匂いに燻されてしまった風に響くのがブロックヘッズらしいところ。

なんだかヤケクソ気味に騒いでるような、から騒ぎっぽい賑やかさや諦観めいたものを感じるのは、こんな歌詞のせいかもしれない。

横をすぎゆくショウに
つきあわなきゃならないけど
だからといって
俺らがなにもやらなかった というわけじゃない
でも 俺らがほんとに知ってると
思ってるようなことは
ただのカケラでしかないんだ
そうだったかもしれない ということの

ミッキー・ギャラガーの達者なピアノも良いし、ノーマン・ワットロイのベースは弦のしなりが見えるよう。グルーヴィこの上なし。歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。

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挨拶代わりの1曲目:Jack Shit George [Mr LOVE PANTS] [イアン・デューリー]

さてさて前置きが長すぎましたが、アルバム「Mr LOVE PANTS」の中身について書いていきましょう。
本作は前回書いた通り、チャズ・ジャンケルがバンドに復帰したってことで、ほとんどの曲をチャズとデューリーのコンビで書いています。

ご存知ない方のために言っておくと、デューリーは歌詞しか書きません。その時々で曲を書いてくれるパートナーがいます。でもこれは後々僕自身も認識したことなんですが、デューリーは歌詞しか書かないといっても、音楽的に何もしてないってことではないんですよね。音楽的なイニシアチブもかなりとっています。それはデューリーが亡くなって、ブロックヘッズが単独で活動するようになって、わかったことです。そのことについてはまたいずれ書くことにしましょう。

このアルバムの曲は10曲中7曲がデューリー/ジャンケルのコンビで書かれています。他は1曲をキーボードのミッキー・ギャラガーと、2曲をリズ・ジョーンズとのコンビで書かれています。
で、今日はまず一曲目の「Jack Shit George」について。
この曲はリズ・ジョーンズとの曲で、この人は本作には参加してませんが、デューリーとは84年の「4,000 Weeks Holiday」からの付き合いです。

スネアのタンッ!の音に弾かれるように流れ出すイントロのファンキーなリズムはヒット曲「Hit Me with Your Rhythm Stick」を彷彿とさせるもので、これだけでおぉ!ひさしぶりのアルバムは気合が入ってるぜ!と思わずにいられないものでした。

なにしろ前作「Bus Drivers Prayer & Other Stories」はくすんだ色調の渋いアルバムでしたからねぇ。ファンとしてはひさしぶりに出してくれただけでうれしくて、前作みたいな渋い枯れた感じでも全然問題なかったんですが。

このイントロだけでおぉぉ!となりましたよ。
そのファンキーなイントロに続いて現れるデューリーのヴォーカルはもうなんといっていいか歌というより浪曲師か講談師のような名調子。後にも先にもこんな風に歌う人はいませんからね。レゲエのトースティングとポエトリー・リーディングとラップが渾然一体となったようなまさに名調子です。

シャープなドラムにうねるベースライン、左右のアクセントを異にしたギターなどチャズのアレンジの筆が冴えわたっています。ブリッジの後の短い間奏のアイデアや最後のサビの後の短いベース・ソロ、そして最後にデイヴィ・ペインのサックスが登場と、もう完璧です。

この曲はバックとの掛け合いがまたユーモラスで面白いんですよ。
歌詞なんて普段は気にしませんけど、

今日、学校で何を習った?
 ジャックのクソだ
先生が目を離したすきにか
 そういうこと
とても興味をそそられたことはある?
 ぜんぜんない
退屈は 精神的な疲労の兆候か?
 そんなでもない
クラスのトップに立ったことは?
 一度もない
ケツ蹴られてほっぽりだされた後は?
 うすらバカになるだけ
うまいことやっていく見込みは?
 もう小さいのなんの
で終わりのベルが鳴ったら?
 クソ食らえ

とまぁこんな感じでファンキーで楽しいってだけじゃなくて、こういうユーモアにあふれてるところが何より魅力的なんですよ。
でもそうやって笑わせといて、サビでは鋭く切れ込んできます。

他人の美しさなど 我慢できない
 優雅なんざ マネできない
他人の謎など 盗めない
 他人の場所には 居すわれない
他人の務めなど やれっこないし
他人の歴史の中に
 特別な場所など とれっこない
奴らの歴史が
 跡も残さず消えちまったときには

デューリーの歌詞には「市井の知」といったものを感じるんですよね。文学的な気取りのない、日々の生活の中で培われてきた文学性というか。韻を踏みまくって言葉遊びみたいなとこも、意味が分からないくても響きだけ聴いてても面白いですよね。
後半のブリッジではこんな風に歌われます。

世間様から見れば 俺は二流の人間
これは 俺が自分でぜひ知っておくべきこと
不平不満を言うなんざ 俺の務めじゃないけれど
でも 幸せか俺? いやぜんぜん
若いときにチャンスを逃して
今は はしごの下にも届かない
俺がこの世に生まれてきたのは 自分の居場所を見つけるため
神さま 俺を成金にでもしてくれよ

子供の頃に小児麻痺を患い半身不随になり、これまでの偏見や苦難をファンキーなリズムに乗せてグルーヴィに笑い飛ばす。そんな姿勢に僕はいつも励まされるんですよ。いやそれが歌詞じゃなくて音楽全体から迸ってるんですよね。

一曲だけでこんなに長くなってしまった。言いたいこといっぱいあるんでね。
歌詞対訳は邦盤(訳:丹 美継)から引用しました。

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