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ルーヴルの猫 [本]

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最近読んだマンガの話を。
図書館でマンガのコーナーを眺めていたら、松本大洋「ルーヴルの猫」を見つけました。松本大洋といえば「花男」しか読んだことありませんが、「ピンポン」は映画化もされましたね。
あれらの作品も90年代ですから、もうけっこうベテランですよね。でもこの人は絵柄も特徴的で、異才といった感じでしょうか。

この作品のことは全く知りませんでした。数年前の作品のようです。
これがすごく面白かった。絵もやっぱり魅力的だし、僕はセリフの多いマンガって好きじゃないんですよね。マンガはやっぱり絵で見せてくれないと。

絵の中に入り込んでしまう少女と猫というストーリーも面白いし、歴史あるルーブルだからこそ、そこに長年住みついた猫がいるってのもありそうだし、マンガならではの表現満載の傑作だと思います。他の作品も読みたくなっちゃった。
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宮沢賢治と学ぶ宇宙と地球の科学 [本]

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たまには最近読んだ本の話でも。
僕が普段読む本の8割がたは小説なんですが、月に数冊は違うジャンルの本も読みます。
最近読んで面白かったのが、「宮沢賢治と学ぶ宇宙と地球の科学」という本で、5冊シリーズで「第1巻 宇宙と天体」「第2巻 地球の活動」「第3巻 岩石と鉱物」「第4巻 地層と地史」「第5巻 気象と海洋」となっています。今回借りてきたのは第1巻。

学校の教科書みたいな感じなんですが、それぞれのテーマ別に地学教師でもあった宮沢賢治の作品の文章が引用されていて、それを導入部に学ぶといった構成になっています。
知ってるようであまり知らない宇宙や天体のことを、夏休みの研究をする気分で読みました。これから後の4冊も借りてきて読むつもりです。

本の体裁も素敵なので、5冊組で手元に置いておきたくなる本です。
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流れ蘭方 示現寛斎 [本]

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ここ数年、時代小説をよく読むようになって、ふと思い出したのが、芝木秀哉著「流れ蘭方 示現寛斎」という本のこと。この本や著者について知ってる人は、ほとんどいないでしょうね。

著者は僕が以前勤めていた会社の上司だった人なんです。
直属の上司じゃなくて部長さんだった人なので、親しく話したわけじゃないですけど。
奥付をみると2003年12月発行となっているので、もう17年も前なんだ。
確か兄弟がみんな医者で、著者は医者にはならなかったけど、江戸時代などの医療のことをサラリーマンをする傍ら研究してたようです。古い文献を会社で持っているのを見たことがあります。

でも病気になってしまって、もう定年間近だったと思うけど、亡くなってしまったんですね。病床でもこの本の校正をしていたと聞いています。亡くなった後、奥さんが出版社に持ち込んだらすぐ出版が決まったそうです。会社でもまとめて買って、僕も購入しました。でも言ってみりゃ義理で買ったみたいなもので、たいして興味もなかったので、読んでなかったんですよ。

上に書いたような江戸時代などの医療の研究を元にこの本は書かれています。
主人公は実在した蘭方医をモデルにして、医者を主人公にした時代小説といえば山本周五郎の「赤ひげ先生」が有名です。僕は読んだことないけど。

この本は著者の豊富な医療についての知識を元に当時の蘭方医がどのようにして手術や薬を作ったかなどを細かに描写しています。他にも例えば銚子を舞台にした場面では銚子という町がどのように発展したかなども詳細に語られる。細かすぎて本筋がさくさく進まないきらいもあるけど、これが著者のスタイルといえばそうとも言える。

主人公は金持ちからはたっぷりと金をとり、貧乏人はタダ。とはいえ今なら簡単に治せる病気も、当時はわからないことも多く、物語中、患者を死なせてしまい、医術を信じることができなくなり大酒をかっくらう主人公が魅力的です。

とても面白く読みました。普通に時代小説として面白いし、医療をテーマにしているとあって、個性的な時代小説です。
今なら柴木さんに色々訊ねてみたいこといっぱいあるなぁ。
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アコーディオン弾きの息子 [本]

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1999年、カリフォルニアで死んだ男が書き残した「アコーディオン弾きの息子」という回想録。親友である作家は、バスク語で書かれたこの手記を元に、彼ら二人の物語を紡ぎはじめる。死んだ幼なじみが、家族にも読めない言葉で綴り、向きあおうとした過去とは何だったのか。故郷の美しい自然、朴訥で生気あふれる人びと、名士として知られた幼なじみの父のもう一つの顔…。スペイン内戦とフランコ独裁、そしてテロの時代へ。暴力の歴史にさらされた若者たちの震える魂、痛ましい記憶を力強く繊細に描きだす。多彩な人物が躍動する、バスク語現代文学の頂点。

今日は今年最初に読んだ本、スペインのバスク人作家、ベルナルド・アチャガ「アコーディオン弾きの息子」のことでも。
正月休みに読もうと思ってたのが、正月はのんびりしすぎて本など読まず、この1週間くらいで読みました。翻訳は昨年ですが、原書は2003年とのこと。その原書はバスク語で書かれている。

スペインのバスクというのは、ものすごくおおざっぱに言えば日本でいえばアイヌとか。
まぁ細かい説明は抜きにしましょう。

とにかく傑作でした。
主人公がスペイン内戦やバスクの抵抗運動やテロの時代をどのように生き抜き、自分の言葉=バスク語を失って生きていかざるを得なかったか。主人公の残した手記を元に語られる人生が、それが鮮やかに反転する後半には胸を突かれた。
母語を失うということはどういうことか上手く想像できないけれど。
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ザ・スタンド [本]

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ここしばらくせっせと読んでいたスティーブン・キングの「ザ・スタンド」をようやく読み終えました。文庫本5冊。一冊が500ページくらいあるので、長編5冊分だもんな。長かった。

でも面白かった。一級のエンターテインメント作品でした。
僕はスティーブン・キングって全然興味なかったんですけど、そもそもホラーとか怖いのは苦手なので。
映画はいくつか見たことありますけど。

4、5月の自粛期間中にこの本のことを知りまして。
致死率99.4%のウィルスが蔓延してアメリカが死に絶えるというストーリーってことで、今読むのにぴったり?自粛期間中は図書館が休みだったので、ようやく読むことができました。

最近は読みたい本が溜まってっちゃって先がつかえてるんですよね。
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日々の子どもたち: あるいは366篇の世界史 [本]

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ようやく図書館も再開して、本が借りられるようになった。
とはいえ、休館する前に予約してあった本が借りられるようになっただけなんだけど。

ウルグアイの作家エドゥアルド・ガレアーノの「日々の子どもたち: あるいは366篇の世界史」を読む。
うるう年も含めて1年間366日。今日はこんなことがあった日という小説。
主に人類の歴史上の戦争や差別における非道、広告業界などの虚飾などについて言及されている。
たまに良いことも取り上げられていはいるけど。

このブログらしく音楽に関する記述のある1日を引用してみよう。

二月三日 カーニバルは翼を広げる

一八九九年、リオデジャネイロの街路では、当地のカーニバルの歴史を創った音楽で人々は踊り狂っていた。
その日の音楽は「ウ・アプリ・アーラス(翼を広げる」と呼ばれるマシッシで、サロンの厳格な社交ダンスをあざ笑って発明されたブラジル音楽だった。
作者はシキーニャ・ゴンザーガといい、彼女は小さい頃から作曲をしていた。
十六歳で両親に結婚を強要され、カシーアス公爵が結婚立会人だった。
二十歳のとき、夫に家庭か音楽のどちらかを捨てるように言われた。
「音楽のない人生なんて理解できない」彼女はこう言って家を出た。
すると彼女の父は、一族の名誉が汚されたと宣言し、シキーニャが黒人だった祖母からその破滅気質を受け継いだのだと非難した。そしてシキーニャを死んだものとみなし、家では道を踏み外した彼女の名前を口にするのを禁じた。
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アニルの亡霊 [本]

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この連休は、走る。音楽を聴く。本を読む。
くらいしかすることがない。だから図書館がやってないのが一番困るよ。

マイケル・オンダーチェ「アニルの亡霊」を読む。
映画にもなった「イギリス人の患者」が有名な作家です。

主人公の女性法医学者アニルが、民族紛争による混迷のさなかのスリランカに派遣され、遺跡から発見された骨が、民族間のテロの被害者のものだと証明しようとする。すこしミステリー風味もする物語。

とはいえ謎解きが主眼に置かれたものではなくて、その骨も数え切れないテロの被害者の一つというだけ、何の解決もなく、闇に葬られる真実を見出すだけ。主人公を取り巻く人々が出口のない暗闇の中で、どう生きたかというのが静かに語られる。

読んでる途中で少しスリランカの歴史を調べてしまった。この本が刊行された2000年のスリランカはまだ内戦状態で、内戦が終わってからもまだ10年ほどしかたってないんですね。

読み終わった後、胸がしんとする。
詩的な文章の美しさも印象的な作品でした。

余談ですが、主人公がヴァン・モリソンの「スリム・スロウ・スライダー」を口ずさむ場面が突然出てきてちょっとびっくりしました。
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幸福の遺伝子 [本]

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非常事態なので図書館も閉まってしまって困ったなぁ。
本が借りられないので、買ったまま積読状態だった本の中から、リチャード・パワーズ「幸福の遺伝子」を読みました。

現代米文学を代表する作家ながら読むのは初めて。これがなんで積読状態にしてたのか、俺ってバカな面白い作品でしたよ。

幸福の遺伝子を持った女性をテレビのゲノム学者や精神カウンセラーやワイドショーやを巻き込んだ騒動を描いた物語で、現代の遺伝子工学などの知識を交え風刺とも予知的とも言える語り口は、ユーモアに富んでいながら詩的でもあり、最初は難しいと思いつつ、物語が転がしてからは一気に読みました。

最初はなんとなく村上龍っぽい?と思いつつ最後はなんとなく村上春樹っぽい?なんて思ったのは僕の読解力のなさのせいでしょうけど。
昨年の最新刊「オーバーストーリー」はずっと前に図書館で予約してあるので、早く図書館再開しないかなぁ。
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西への出口 [本]

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パキスタン出身の英語作家モーシン・ハミッドの「西への出口」を読む。

中東と思われる国の恋人同士が戦闘状態に陥った街から、「扉」を抜けて西へ西へと逃げてゆく物語。まぁどこでもドアみたいな扉を抜けていくんですね。
最初はギリシャのミコノス島、次はロンドンと通り抜けてゆくんですが、通り抜けた先には難民が溢れていて、排外主義による暴力にさらされてしまう。

僕が一番面白かったのは、この小説ではスマホが重要な役割を果たすんですが、通信費を抑えるために主人公たちはストリーミングではなく違法ダウンロードで音楽を聴いたりします。
小説の中で音楽ストリーミングが登場するのを読むのは初めて、そういう時代なんだなと改めて思いました。

現代の難民の状況を映し出した興味深い小説でしたね。
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 [本]

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今年に入ってから、朝井まかてばっかり読んでたんですが、ひさしぶりに翻訳小説を読みました。スコットランド出身で今はカナダに住んでるのかな。エリック・マコーマックという作家の「雲」という作品。もう80歳くらいらしいけど、初めて読む人です。

なんだか奇妙な小説でしたね。
登場人物が微妙にずれているというか、ストーリー自体は読者を煙に巻くようなことはないんだけど、突然グロい奇妙なエピソードがでてきたり、それが何を意味するのか、何かのメタファーなのか、最後にそれが回収されるかというとそういうこともなく。

愛や人生の不可解さ。
人は他者や物事を自身の見たいようにしか見ない。
とか色々、読み終わった後に、誰かと語り合いたくなるような小説でした。
面白かったから、そのうち他の作品も読んでみようかな。
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