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アニルの亡霊 [本]

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この連休は、走る。音楽を聴く。本を読む。
くらいしかすることがない。だから図書館がやってないのが一番困るよ。

マイケル・オンダーチェ「アニルの亡霊」を読む。
映画にもなった「イギリス人の患者」が有名な作家です。

主人公の女性法医学者アニルが、民族紛争による混迷のさなかのスリランカに派遣され、遺跡から発見された骨が、民族間のテロの被害者のものだと証明しようとする。すこしミステリー風味もする物語。

とはいえ謎解きが主眼に置かれたものではなくて、その骨も数え切れないテロの被害者の一つというだけ、何の解決もなく、闇に葬られる真実を見出すだけ。主人公を取り巻く人々が出口のない暗闇の中で、どう生きたかというのが静かに語られる。

読んでる途中で少しスリランカの歴史を調べてしまった。この本が刊行された2000年のスリランカはまだ内戦状態で、内戦が終わってからもまだ10年ほどしかたってないんですね。

読み終わった後、胸がしんとする。
詩的な文章の美しさも印象的な作品でした。

余談ですが、主人公がヴァン・モリソンの「スリム・スロウ・スライダー」を口ずさむ場面が突然出てきてちょっとびっくりしました。
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