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流れ蘭方 示現寛斎 [本]

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ここ数年、時代小説をよく読むようになって、ふと思い出したのが、芝木秀哉著「流れ蘭方 示現寛斎」という本のこと。この本や著者について知ってる人は、ほとんどいないでしょうね。

著者は僕が以前勤めていた会社の上司だった人なんです。
直属の上司じゃなくて部長さんだった人なので、親しく話したわけじゃないですけど。
奥付をみると2003年12月発行となっているので、もう17年も前なんだ。
確か兄弟がみんな医者で、著者は医者にはならなかったけど、江戸時代などの医療のことをサラリーマンをする傍ら研究してたようです。古い文献を会社で持っているのを見たことがあります。

でも病気になってしまって、もう定年間近だったと思うけど、亡くなってしまったんですね。病床でもこの本の校正をしていたと聞いています。亡くなった後、奥さんが出版社に持ち込んだらすぐ出版が決まったそうです。会社でもまとめて買って、僕も購入しました。でも言ってみりゃ義理で買ったみたいなもので、たいして興味もなかったので、読んでなかったんですよ。

上に書いたような江戸時代などの医療の研究を元にこの本は書かれています。
主人公は実在した蘭方医をモデルにして、医者を主人公にした時代小説といえば山本周五郎の「赤ひげ先生」が有名です。僕は読んだことないけど。

この本は著者の豊富な医療についての知識を元に当時の蘭方医がどのようにして手術や薬を作ったかなどを細かに描写しています。他にも例えば銚子を舞台にした場面では銚子という町がどのように発展したかなども詳細に語られる。細かすぎて本筋がさくさく進まないきらいもあるけど、これが著者のスタイルといえばそうとも言える。

主人公は金持ちからはたっぷりと金をとり、貧乏人はタダ。とはいえ今なら簡単に治せる病気も、当時はわからないことも多く、物語中、患者を死なせてしまい、医術を信じることができなくなり大酒をかっくらう主人公が魅力的です。

とても面白く読みました。普通に時代小説として面白いし、医療をテーマにしているとあって、個性的な時代小説です。
今なら柴木さんに色々訊ねてみたいこといっぱいあるなぁ。
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