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ダブ・テクノをジャズの手法で変異 [R&B/JAZZ/etc]

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テクノをはじめとするクラブ・ミュージックにハマったのはもう20年近くに前になるが、その頃もちろんベーシック・チャンネルも耳にした。僕が好きだったデトロイト・テクノとは違った、真っ暗闇の中で、得体のしれないものが静かに蠢いてるような音楽は、当時の僕にはよくわからないものだった。URみたいなわかりやすいダンサブルさもなかったし。
よくわからいというか上手く反応できなかったと言った方が良いか。音楽自体にほとんど変化がないものだったしね。あのダビーなグルーヴというのはやはりクラブで聴いてこそかなとも。

そのベーシック・チャンネルの首謀者であるモーリッツ・フォン・オズワルド・トリオの新作「DISSENT」にここ数日惹きつけられるように耳を傾けている。
トリオ名義で数作リリースしているようだけど、メンツは違うようで、本作ではジャズ・ドラマーとアメリカのエレクトロ・アーティストとのコラボ。

ジャム・セッションにより作り上げられた作品で、まるでエレクトリック・マイルズをダブ・テクノ・リミックスしたような音楽は覚醒と鎮静作用を同時に施されるよう。
ジャズ的な手法を大きく取り入れた作品だと言えるけど、たぶんジャズ・ファンからすると退屈してしまうかも。楽器のソロがあるわけじゃなし、基本的にずっと同じだから。

とはいえこのハインリヒ・ケベルリングの淡々としていながらニュアンス豊かなグルーヴの中で、少しずつ背景の色やグラデーションが変化していく。それはかすかな星の光しか見えない夜空を見つめるようで、時間を忘れて聴き入ってしまう。音像を楽しむためにヘッドフォンで聴きたくもなる音楽です。

ベーシック・チャンネル時代からのダブ・テクノをジャズの手法で変異させたのか、逆にジャズを変異させたのか。ともあれ、ひとつの到達点のように思える。
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