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トレーン・ラテン化計画 [R&B/JAZZ/etc]

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コンラッド・ハーウィグというトロンボーン奏者は風貌も名前もラテン系とも思えないんだけど、ラテン・ジャズ界隈では結構有名な人です。
この人のアルバムにモダン・ジャズの曲を音楽家単位でラテン化した作品があります。

そのシリーズの最初の作品がコルトレーンの曲を取り上げた96年の「the latin side of john coltrane」。ずっと聴きたかったんだけど、プレ値が付いていて手が出なかったんですよね。最近ようやく普通の中古値でゲットしました。
まぁストリーミングで聴けるんですけどね。聴いたらやっぱりCD欲しくなっちゃって。CDにはソロイストの順番も書いてあって、ブックレットもかっこいいデザインでうれしい。

主だったメンツを挙げとくと、トランペットにブライン・リンチ、アレックス・シピアジン、レイ・ベガ、フルートにデイブ・ヴァレンティン、バリトン・サックスに、ロニー・キューバー、ピアノは御大エディー・パルミエリにリッチー・バイラーク、エドワード・サイモン、ベースはジョン・ベニテスにアンディ・ゴンザレスも。ドラムはアダム・クルツ、パーカッションにはリッチー・フローレスにミルトン・カルドーナなどなどという錚々たるメンツです。

冒頭これは単にトレーンの曲をラテン・アレンジで演るんじゃないぜってことを宣言するように、ミルトン・カルドーナのサンテリアのチャントで始まる。
取り上げられるは「A Love Supreme 」「Blue Train」「Naima 」「After the Rain」「Impressions 」などなど、有名曲をがっつりゴリゴリのラテン・グルーヴで聴かせてくれます。相変わらずエディー・パルミエリは、思いっきり唸りまくってうるさいったらありゃしない。
このシリーズの最初の作品だけに後に続く作品以上に気合が入ってる気がするな。

個人的にトレーンの曲として馴染みのある曲もない曲もありますけど、多くは曲想として大きく変わった感じはしない。多分普段からラテン音楽を聴かない人には、違和感があるだろうけど。多くはパーカッションなどによってリズムが強化されてるだけのようにも感じる。
その打楽器によって強化されたトレーンの音楽に接してみれば、以外にも70年代マイルスの音楽とトレーンの音楽はそう遠くないところにあったのかもしれないなぁと思った。
マイルスの音楽はトリビュート盤などもあったり、新たに捉えなおされてるようなので、ここらでトレーンの音楽も新たな視点をもって聴かれるようになるといいなと、トレーンの音楽から遠ざかっていた僕も思うのでした。

白眉は「Africa」かな。トレーンの頭の中のアフリカをアフロ・キューバン・ビートを介在させて具現化したようで、あくまで創造のアフリカながらゾクゾクします。
主役たるコンラッド・ハーウィグのことをほとんど触れてませんが、これだけのメンツを集めてのプロジェクトを成功させるために黒子に徹したような職人技が光る。と言っておきましょう。この人の代表作であり名盤だと思います。
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