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君でもなくおまえでもない「あなた」 [ポップ/ロック]

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本日リリースの宇多田ヒカルのシングル「あなた」が素晴らしい。
今年リリースされた2曲のシングル「大空で抱きしめて」「Forevermore」も素晴らしかったけど、今回もまた素晴らしい。

前の2曲もタイアップだったけど、今回もソニーのワイヤレスイヤホンとのタイアップで、おそらく依頼されて曲を作る、という職人的な「こうこうこういう歌を」と乞われて作られた、靴とか家具とか、そういう職人が作った歌。という印象を受ける。

比較的自由に作らせてもらっているんだろうけど、アルバムじゃなく一曲依頼されて一曲作るというそういう風通しがいいというか軽やかさもあるのがいい。

ホーン・セクションがどことなくアーシーに感じられるからちょっとサザン・ソウルを思わせる、というのは多分僕の気のせいだと思うけど、ほんとソウル・ミュージックだし歌謡曲だなと思う。
こんな風に1曲1曲ぽつぽつと数か月おきにリリースしていって10曲揃ったらアルバムにまとめるという活動もありだな。

メイキング映像で話していた「あなた」というタイトルについての「「あなた」って英語で言うところのダーリンに近い意味があって、他人行儀というか距離を感じる表現でも、丁寧でもあるんですけど、それをあえて親しい人へ向けた時の「あなた」という言葉が持つ日本独特の奥ゆかしさとか、何かを大事だなと思っていることが伝わる言葉だなと、最初に出てきてほんと良かった」という言葉に、自分が日本語の歌を聴く喜びみたいなものを感じるツボってそういうところなんだよなと思いました。

外国語だとその国独特の表現とかニュアンスとかは当然わからない。
わからないという前提で外国の音楽を愛するわけですけど、自国の音楽だとこの「あなた」という言葉のニュアンスがわかりますよね。「君」でもなく「おまえ」でもない「あなた」。自分の国の言葉で歌われる「歌」というものの楽しみのひとつには、こういう言葉の選ばれ方とか響きを解するというのもあると思いますね。こんな風に感じるのは、普段外国語の歌を多く聴いてるからなんでしょうけど。

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