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孤独な魂を慰撫する歌声 [ポップ/ロック]

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シャケさんの記事を読んで吉田美奈子のCDを初めて買った。それなりに知ってはいたけど、アルバム一枚ちゃんと聴くのは初めて。どこかとっつきにくいとうか一見さんお断り的な雰囲気を感じて敬遠してました。

97年作「SPELL」。
ブラック・ミュージックを完全に消化し、これほど独自のソウル・ミュージックに昇華している人もそうはいないだろう。どの曲が良いとか言うのも憚られるほど全曲すごい完成度。そこらの歌手ではこれだけヘビーな演奏をバックに歌うのも無理だろうな。

届いてから数日経つが毎日惹きつけられるように聴いている。
でも冒頭の「LUNAR ECLIPSE」「RADIANCE」「CROW」はダークでシャープなグルーヴが好みなのだが、荘厳な「PRECIOUS」でさえ、どこか聴き手に緊張も強いる。
だから、ユーモラスな表情も覗かせるスロー・ファンク「GOTHAM GOTHIC」(オルガンはバーニー・ウォレルだろうか)、タイトル通り波のように緩やかな「WAVE」あたりでようやく息がつけるような状態ではある。
拭い難い痛みや悲しみを抱えたまま歩道に立ちつくす「10月の夕闇」。難波弘之によるゴスペルタッチのピアノが歌に寄り添う最後の「TRIBUTE」。ようやくここにきて孤独な魂を慰撫するような歌声に素直に向き合える。

以前から感じていたとおりに近寄りがたさみたいなものはまだあるし、多くの曲で聴ける分厚い多重コーラスのせいもあり、時に彼女の歌が饒舌すぎると感じてしまう瞬間もある。
ちょっと聴いた初期の「モノクローム」というアルバムの曲はこれほどではなかったから、いずれそっちも聴いてみたい。
でも聴き応えがありすぎるので、次にいくのには少し時間がかかりそう。彼女の歌声にゆったり身を任せられるようになったら他の作品に進むことにしようか。

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コメント 2

シャケ

夜分失礼します。
彼女は恐れをなす個性と巧さなので、きっかけがなければ縁が無かったことでしょう。僕は、達郎や大瀧さんなどアメリカン・ポップスマニアの同級生からの影響ですね。
ドラムの打ち込み主体となった走りのアルバムが『ダーククリスタル』だと記憶していますが、この盤よりもとっつきがいいかもしれません。「プレシャス…」に似た「凪」という名曲が聴けます。

初期アルバムを追って入手中ですが、触れられている通り『モノクローム』は音の隙間があり心地良いです。当時売れっ子のビブラフォン奏者マイク・マイニエリ参加です。他アルバムは懐かしいサンボーン参加とか当時の先端行ってて、さすが一筋縄じゃないです。
by シャケ (2015-04-17 00:47) 

Astral

シャケさん

邦楽をそれほど熱心に聴いてこなかったので、達郎周辺の評価の高いミュージシャンも名前は知りつつ、実際の音とはほぼ無縁に過ごしてきました。「ダーククリスタル」は確かひさしぶりの作品としてリアルタイムでインタビューなどは読んだんですが・・・

彼女のアルバムは海外の著名ミュージシャンが参加したのものもかなりありますね。そういう知識はあったりするんですよねぇ。
あまりどれにしようか思案していると長々と聴かずじまいになりそうなので、目についたところからボチボチ行こうかと思ってます。

ブラック・ミュージックの要素が多いのに、彼女の歌声からは意外と日本的な情感が漂ってきます。言葉の選ばれ方も面白くていろんな意味で本作は聴き応え十分ですね。
by Astral (2015-04-17 20:30) 

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