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怒り [本]

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殺人現場には、血文字「怒」が残されていた。事件から1年後の夏、物語は始まる。逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?

吉田修一「怒り」を読んだ。
映画化された「悪人」は見たのは映画だけだったか、本もパラパラと読んだ気もする。
世評ほどには評価できなかったような。

本作も同様にこのタイトルでかましたハッタリ感ほど面白くない。
サスペンス仕立てなので最後まで飽きずに読めたが、この内容でこのタイトルはちょっと違くないか。その「怒り」が最後まで描かれないので読み終わった後、「で、なんなの?」。理不尽な暴力による事件なんて沢山あるわけで、それを引き起こしたのが「怒り」であるなら、そこを突き詰めて書くのが作家の仕事ではないのか。
登場人物がいかにもで、その行動が直截的すぎるのもなんかテレビドラマ的。ついでに文章もあまり上手くない。飽きずに最後まで読ませたんだからエンターテイメントとしてはそれなりによくできてると思いましたが。もうこの作家の作品を読むことはないでしょう。
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