2012ベスト10[音楽編] [雑記]
今年最後の更新はもちろん恒例のこのブログの肝である音楽ベスト10です。
12月近くになって今年ももう終わり、そろそろベスト10決めなくちゃなと思い始めたとき、今年はロックに振れていたり、トルコに振れていたり、R&Bに振れていたりと時期によって聴いている音楽が偏っていたので1年通してよく聴いたというよりはインパクトのあった順にしようかと思っていましたが、年末になってどーんと1位に選出するのはこれしかないというのを聴くことができました。
ではいってみましょう。
1位はハリス・アレクシーウ「I TRIPLA」。
ほとんど超人的にすごいダラーラスより、人としての弱さも顕わにするようなハリスの歌に胸が震えた。寂寥感漂う歌に自分の現在の心象風景が重なり何度も聴き返している。素晴らしいというより強く思い入れのある一枚になりました。
2位は同じくギリシャのヨルゴス・ダラーラス「TI THA PI ETSI INE」。
最初に聴いたときはほとんど巨人に踏み潰されるかのように圧倒されました。
デビュー時と変わらない、衰えを知らないその超人的な歌声にかえってハリスのような思い入れがもてないことで2位にしましたが、すごい作品には違いない。
最近はロック的な曲よりバラードに男の優しさが垣間見えて胸に沁みます。
3位はボブ・ディラン「テンペスト」。
重厚さよりはお茶目で軽快な新作。
古いトラディショナルやブルースをモザイクのように組み合わせたようなソングライティングは更に巧妙さを増して歌詞の面でも深く掘り下げれば掘り下げるほど面白く聴けるはずなのに、そうできないのがもどかしい。
ツアーメンバーを中心としたバックの演奏も王道のアメリカン・ロックのようでいてどこか違う。はずし加減が新鮮な他にない音楽。
4位はヴィヴィアン・ンドゥール「WUY YAAYOOY」。
ハリスやダラーラスを聴く前はこれを1位にしようかとも思ってた。
とにかく今年一番カッコいいと思った音楽でした。
他にかっこよかったのはアスマ・レムナワルのグナワ×ファンクとカーオティップ・ティダーディンのモーラム×ヒップホップでしたね。
5位は古内東子「パープル」。
今年出た新作じゃなくて2010年のこちらをよく聴いた。聴き終わった後にどこかスピリチュアルな透明感が残る作品。とてもクォリティの高いポップスだと思います。
旧作も何枚か購入したし邦楽は結局この人しか聴きませんでした。
6位はブルース・スプリングスティーン「レッキング・ボール」。
スプリンスティーン的クリシェに依存しない多彩な曲作りが功を奏した秀作。プロデューサーがいい仕事をしましたね。基本はフォークだと思う。
今年は長年聴いてきたベテランがこぞって新作をリリースしたのでロックをよく聴いたけど、ボニー・レイット、リトル・フィート、ZZ TOP、・ヴァン・モリソン、ポール・ブキャナン等も充実したという以上の作品でした。
7位はアスルハン・エルキシ「NEVESER : NEVESER KÖKDEŞ ŞARKILARI」。
今年前半はトルコ歌謡もよく聴いた。っていうほど買ってませんが。
シェヴァル・サムのほうが評価が高いみたいですが、個人的にはこちらの方が上。
シルクのような歌声が心地よかった。
8位はティナーシェ「REVERIE」。
今年一番妙な違和感を残してくれた音楽でした。心情的にはブランディを選出したかったんだけど。
来年リリースされるであろう新作に期待しています。
9位はイム・スティダー「Mai Koey Mai Kid Tueng」。
今年ははじめてタイ音楽を聴きましたが、カーオティップ・ティダーディンもよかったけどこちらを選出。
ごく普通のポップスだけどそこがしっとりとした歌声を際立たせ、胸に沁みるというより肌に浸透するような歌声でした。
10位はサリフ・ケイタ「TALE」。
ここ10年ほどのアコースティックな王道路線はどうも膝を正して聴かなきゃならないような息苦しさが不満だったけど、本作は適度にポップでよろしい。プロデュースがいまひとつ凡庸なので代表作でも何なんでもないだろうけど、ルーツ・マヌーヴァをゲストに迎えた曲など下世話で気に入ってます。
年末の数枚のCDのお陰でリイシュー枠としていた9~10位も新譜で埋まってしまったので次点として以下の2枚をあげておきます。
一枚はエベネザー・オベイ「EDA TO MOSE OKUNKUN」。
今年はキング・サニー・アデの「Message」のオリジナル版レコードを入手したり、80年代前半のCDも数多くリイシューされましたが、マイ・ジュジュ・ブームの先鞭をつけたのはこの作品でした。ジュジュはアデだけじゃないことを教えてくれたのも大きかった。最高です。
もう一枚はホセー・アントニオ・メンデス「フィーリンの真実」。
ある意味ではこれこそ一位かもしれない。これから先もっとも何度も耳を傾けるのはこのCDかもしれないから。一生の宝です。オーケストラをバックにしたヴォーカルものにも改めて興味を持ちました。
以上が今年の私のベスト10+αです。
年頭に今年は歌をたくさん聴きたいと書いたとおり、たくさんの歌を聴け、充実したリスニング・ライフが送れました。あとやはり音楽雑誌などより愛読しているブログの記事などに触発されて聴いてみた音楽の方が多かったですね。みなさんありがとう。
また更新頻度がいまひとつなこのブログを読んでくださった皆さんもありがとうございました。
ではよいお年を。
12月近くになって今年ももう終わり、そろそろベスト10決めなくちゃなと思い始めたとき、今年はロックに振れていたり、トルコに振れていたり、R&Bに振れていたりと時期によって聴いている音楽が偏っていたので1年通してよく聴いたというよりはインパクトのあった順にしようかと思っていましたが、年末になってどーんと1位に選出するのはこれしかないというのを聴くことができました。
ではいってみましょう。
1位はハリス・アレクシーウ「I TRIPLA」。
ほとんど超人的にすごいダラーラスより、人としての弱さも顕わにするようなハリスの歌に胸が震えた。寂寥感漂う歌に自分の現在の心象風景が重なり何度も聴き返している。素晴らしいというより強く思い入れのある一枚になりました。
2位は同じくギリシャのヨルゴス・ダラーラス「TI THA PI ETSI INE」。
最初に聴いたときはほとんど巨人に踏み潰されるかのように圧倒されました。
デビュー時と変わらない、衰えを知らないその超人的な歌声にかえってハリスのような思い入れがもてないことで2位にしましたが、すごい作品には違いない。
最近はロック的な曲よりバラードに男の優しさが垣間見えて胸に沁みます。
3位はボブ・ディラン「テンペスト」。
重厚さよりはお茶目で軽快な新作。
古いトラディショナルやブルースをモザイクのように組み合わせたようなソングライティングは更に巧妙さを増して歌詞の面でも深く掘り下げれば掘り下げるほど面白く聴けるはずなのに、そうできないのがもどかしい。
ツアーメンバーを中心としたバックの演奏も王道のアメリカン・ロックのようでいてどこか違う。はずし加減が新鮮な他にない音楽。
4位はヴィヴィアン・ンドゥール「WUY YAAYOOY」。
ハリスやダラーラスを聴く前はこれを1位にしようかとも思ってた。
とにかく今年一番カッコいいと思った音楽でした。
他にかっこよかったのはアスマ・レムナワルのグナワ×ファンクとカーオティップ・ティダーディンのモーラム×ヒップホップでしたね。
5位は古内東子「パープル」。
今年出た新作じゃなくて2010年のこちらをよく聴いた。聴き終わった後にどこかスピリチュアルな透明感が残る作品。とてもクォリティの高いポップスだと思います。
旧作も何枚か購入したし邦楽は結局この人しか聴きませんでした。
6位はブルース・スプリングスティーン「レッキング・ボール」。
スプリンスティーン的クリシェに依存しない多彩な曲作りが功を奏した秀作。プロデューサーがいい仕事をしましたね。基本はフォークだと思う。
今年は長年聴いてきたベテランがこぞって新作をリリースしたのでロックをよく聴いたけど、ボニー・レイット、リトル・フィート、ZZ TOP、・ヴァン・モリソン、ポール・ブキャナン等も充実したという以上の作品でした。
7位はアスルハン・エルキシ「NEVESER : NEVESER KÖKDEŞ ŞARKILARI」。
今年前半はトルコ歌謡もよく聴いた。っていうほど買ってませんが。
シェヴァル・サムのほうが評価が高いみたいですが、個人的にはこちらの方が上。
シルクのような歌声が心地よかった。
8位はティナーシェ「REVERIE」。
今年一番妙な違和感を残してくれた音楽でした。心情的にはブランディを選出したかったんだけど。
来年リリースされるであろう新作に期待しています。
9位はイム・スティダー「Mai Koey Mai Kid Tueng」。
今年ははじめてタイ音楽を聴きましたが、カーオティップ・ティダーディンもよかったけどこちらを選出。
ごく普通のポップスだけどそこがしっとりとした歌声を際立たせ、胸に沁みるというより肌に浸透するような歌声でした。
10位はサリフ・ケイタ「TALE」。
ここ10年ほどのアコースティックな王道路線はどうも膝を正して聴かなきゃならないような息苦しさが不満だったけど、本作は適度にポップでよろしい。プロデュースがいまひとつ凡庸なので代表作でも何なんでもないだろうけど、ルーツ・マヌーヴァをゲストに迎えた曲など下世話で気に入ってます。
年末の数枚のCDのお陰でリイシュー枠としていた9~10位も新譜で埋まってしまったので次点として以下の2枚をあげておきます。
一枚はエベネザー・オベイ「EDA TO MOSE OKUNKUN」。
今年はキング・サニー・アデの「Message」のオリジナル版レコードを入手したり、80年代前半のCDも数多くリイシューされましたが、マイ・ジュジュ・ブームの先鞭をつけたのはこの作品でした。ジュジュはアデだけじゃないことを教えてくれたのも大きかった。最高です。
もう一枚はホセー・アントニオ・メンデス「フィーリンの真実」。
ある意味ではこれこそ一位かもしれない。これから先もっとも何度も耳を傾けるのはこのCDかもしれないから。一生の宝です。オーケストラをバックにしたヴォーカルものにも改めて興味を持ちました。
以上が今年の私のベスト10+αです。
年頭に今年は歌をたくさん聴きたいと書いたとおり、たくさんの歌を聴け、充実したリスニング・ライフが送れました。あとやはり音楽雑誌などより愛読しているブログの記事などに触発されて聴いてみた音楽の方が多かったですね。みなさんありがとう。
また更新頻度がいまひとつなこのブログを読んでくださった皆さんもありがとうございました。
ではよいお年を。
2012-12-31 00:30
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コメント(14)
こんにちは。
この年末はギリシャ情報の記事のおかげで、素晴らしいハリスの新作に出会えました。「弱さを顕わにする・・・」なんか同感です。ここまでもう一歩踏み込んだ表現世界があるとは驚きました。
ダラーラスは追加注文したので、年明けのお年玉になりそうです。
ディランはPVがユニークでしたね。いまだ食わず嫌いなんですが、ボスと同様、どこで縁があるかわかりませんね。サリフ・ケイタはムベンバの後ご無沙汰です。ほんとキリがないですね。
よいお年を!
by シャケ (2012-12-31 14:38)
シャケさん
こんにちは。
ハリスの新作には歌い手としての覚悟や凄みを感じます。ようするに「情熱」や「気」に胸震わせているのでしょう。
ダラーラスは「祈りをこめて」と聞き比べるのも面白いかもしれません。
出会うべく音楽はほっといても出会うものですよね。今年ボスに出会ったようにいつかディランにも出会うときが来るかもしれませんね。
年明けしばらくはシャケさん同様ハリスの旧作を聞き返そうかと思っています。
よいお年を。
by Astral (2012-12-31 14:54)
例年ヴァリエーションに富んでいて且つ渋いベスト、今年も参考にさせてもらいます。
Astralさんの思い入れも深いというアレクシーウは、ワールド離れが進む僕にとっても俄然気になりました。聴かなくちゃ。いや、ダラーラスもティナーシェもサリフもディランもボスもヴィヴィアンも気になる…ダメだ、1月も予算オーバーです(涙)。
Astralさんの仰るように、音楽雑誌よりこうしたみなさんのブログ記事の方が信頼できるというのは同感です。
今年もお世話になりました。よいお年を!
by questao (2012-12-31 14:56)
questaoさん
今年は歌をたくさん聴けたいい年でした。
まだ渋いですかね?たしかに半数は60過ぎの人たちだもんなぁ。
そうだ!来年はもう少し若い人の音楽も聴こう!
ほんと僕も年明け早々予算オーバーですよ。
でもティナーシェはフリーダウンロードなんで気軽にクリックしてあげてください。
今年ももう秋田でしょうか。
食道楽で暖かくお過ごしください。
よいお年を。
by Astral (2012-12-31 15:14)
オイラは、アスルハン・エルキシのアルバムはシェヴァル・サムより好きですね。ただ、歌手(いろんな意味で)としてはシェヴァル・サムが上でした。ダラーラスはオイラにはプログレでした。全曲未聴です。ここ最近初めてです。ハリスはもう少し聴かないと。ヴィヴィアン、サリフは未蝶です。今度エロ・スールの飲み会に来てください。お待ちしてます。来年もよろしく!
by レコ・オヤジ (2012-12-31 20:16)
レコ・オヤジさん
アスルハン・エルキシは自分を一番魅力的に見せる術をよく知ってる人って感じですよね。その雰囲気づくりも含めて酔わされました。
ダラーラスもハリスも新作は、僕はロックとして聴いてるんだと思います。
先日、ハリスとアレッティを会計してる時、ちょうどレコオヤジさんのその2枚の取置きの電話があったんですよ。来年はきっとお会いできるでしょう。良いお年を。
by Astral (2012-12-31 21:35)
アスルハン・エルキシはAstralさんやレコオヤジさんの好評を見て買いました。トルコものは久しぶりでしたが、こういうのは僕好きですね。雰囲気!これがよかったのかな。
ロックは、結局聴けていないのですけど確かに面白そうなものが多かったですね。中でもZZ TOPは良さそうです。やっぱりテキサスものは間違いない!
by サユール (2012-12-31 23:02)
サユールさん
アスルハン・エルキシは演出込みですよね。歌い手としては本格派じゃないかもしれないけど華もあるし。
テキサス方面の人はルーツに結構無自覚なとこが面白いのかも?なんて最近思ってます。今年のロックはベテランの吹っ切れ具合が印象的でしたね。来年もよろしくどうぞ。
by Astral (2012-12-31 23:29)
あけましておめでとうございます!昨年はAstralさんの旅日記を大いに楽しませていただきました。ええ、やっぱり男は旅をせねばなぁ、と改めて気づかされた想いです。拙書『喫茶ユニヴァース』も読んでいただき、更にはガツンとくる感想、これには本当に励まされました。より良いものを書けるように精進致します。上記ベスト、1位2位のギリシャの重鎮は、歳末ギリギリに入手しましたが、本当に素晴らしいですね。間違いなく今年の上半期アルバイ10に食い込んでくると思います。リイシュー枠にも、至極、納得。僕自身もこの2枚を最も聴いていたような気がします。良い音楽と共に旅を続ける2013年にしたいですね。今年もよろしくお願い致します。
by アルバイテン (2013-01-01 12:06)
アルバイテンさん
おめでとさんです。
そうです。旅をすることによって男は一回りも二回りも大きくなるのです。なんて。旅の空の下、聴くMUSICもいいもんです。
そういえば『喫茶ユニヴァース』は昨年もっとも妙な違和感を残した本でしたねぇ。更なる精進を期待します。
今年もよろしく。
by Astral (2013-01-01 13:48)
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します!
このベストの中ではイムちゃんしか聞いておりませんが、1、4、7等興味津々のブツが多々あります。Astalさんのベスト盤が楽しみでなりません♪
by ころん (2013-01-01 23:09)
ころんさん
あけましておめでとうございます!
すでにベスト盤の選曲はほぼ終わっております。
2012年(に限りませんが)の自分の嗜好/志向が如実に表れた盤になりました。お楽しみに。
今年もよろしくどうぞ。
by Astral (2013-01-01 23:22)
Astralさんのベスト盤もあるんですか?
僕も希望します。よろしいですか?
…あ、あけましておめでとうございます。
by questao (2013-01-02 08:06)
questaoさん
そうなんです。
遅ればせながらあの企画に私も参加することにしました。
私もquestaoさんのベスト盤希望します。
ぜひ交換しましょう。のちほどメールしときます。
今年もよろしくどうぞ。
by Astral (2013-01-02 15:17)