至極真っ当な過度期 [ポップ/ロック]
本日リリースのスキャンダルの新作「Kiss from the darkness」。
以前のような熱をもって追いかけることもなくなってしまいましたが、一応ダウンロード購入。昨年シングル「マスターピース/まばたき」を購入してたせいで、2曲分アルバムが安く購入できたのでね。
まだ2回しか聴いてないけど、レビューしておきましょう。
冒頭「Tonight」が新機軸。トラックメイカーとのコラボで、プログラミングとバンド演奏を掛け合わせた曲。ただ1+1=2以上のものにはなってない。というか2にもなってないかも。もう少しできるトラック・メイカーを起用してほしかったな。
続く「マスターピース」「Fuzzy」が王道のスキャンル印のロック・ナンバーだけに、余計にそう感じてしまう。4曲目「最終兵器、君」も新機軸。ヴォーカロイドかましたEDM仕様で、正直ダサい。カッコよければEDMだって良いんだけど、「Tonight」もそうだけど、着地点がロックじゃなくてJ-POPなところもいまひとつな理由。
続く「ランドリーランドリー」はトモミ作のアコースティック・ナンバー。以前もあった「LIFE IS A JOURNEY」タイプのホンワカのんびりとした曲。アルバムの中で良いアクセントというよりちょっと浮いちゃってるかも。良い曲ですけど。ただ彼女にはベースがうねるファンキー・ナンバーを期待してるんだけど、作ってくれないなぁ。
5曲目「NEON TOWN ESCAPE」はひさしぶりのハルナ作。ずばり本作の白眉です。90年代のR&B風というか90年代に続々とでてきた日本産R&Bの匂いがする。ホーン・セクションもはいったアレンジはちょっと前に記事にした佐藤千亜妃。良い仕事してます。
後半の「セラミックブルー」はマミ作、「記念日」「A.M.D.K.J.」はマミ&リナ・コンビの王道スキャンダル・ナンバー。
「まばたき」はこの一年最もよく聴いた曲だというのは昨年末にも記しましたね。
最後の「月」は「ちいさなほのお」を思い出させるしんみりとしたバラード。
CDにはボーナス・トラックがあるらしいけど、今どきCD買わないと聴けないとか姑息なことやめてほしいよ。
そんなわけで、新機軸がいまひとつな出来になっていて、王道ナンバーの方がさすがの完成度って感じなんですが。とはいえこれまで通りの王道ばっかりじゃたぶん僕の気持ちはより一層離れてしまったと思う。
彼女たちももういい年だし、変化を欲してほしいなと思ってたので、至極真っ当なバンドの過度期がきっちり捉えられた本作は、僕の彼女たちへの興味をなんとか繋ぎとめてくれて、作品の出来は別として好意的に受け止めてます。
次作で過度期を脱するのか、まだまだ紆余曲折あるのかわかりませんが、次作も楽しみに待ちたいと思います。ライブは行かないけど。
とりあえず、本作では「NEON TOWN ESCAPE」ばっかりリピートすることになりそうです。
アリアナからのクリスマス・プレゼント! [ポップ/ロック]
本日突如リリースされたアリアナ・グランデのライブ・アルバム「k bye for now (swt live)」。
10日くらい前にアナウンスがあったらしいんですが、全然知らなかった。
なんとなくYoutubeでアリアナを検索したら、ライブ音源がいっぱい上がってて、これなんだろ?と思ったらライブ・アルバムでした。
ついこないだまでやってたツアーのライブを丸ごと収録したものみたいですね。
フィジカル・リリースがあるのかまだわからないですけど、とりあえずダウンロード購入。2500円ってけっこう高いなと思ったら32曲も入ってる。CDなら2枚組だな。一時間半くらいなんだけど、32曲。ほとんど3分くらいの曲ばかりで半分くらいは2分台なんですよ。
短い曲がノンストップ・ミックスのように曲間なく畳みかけてくるのも好み。ダンス・ミュージックが好きなもんでね。こういうのはたまんないな。ポップでキュートで。文句付けるとこひとつも見つかんない。現行ポップの理想形です。
でもライブ・アルバムってのが良いよね。僕は映像付きより音だけの方が良い。
彼女は今どきライブDVDも出したことないんだって。めずらしいよね。
タイトルは「じゃぁ、またね」という意味らしい。 (swt live)というのはツアー・タイトルのSweetner liveってことですね。
昨年のアルバム「Sweetner」と今年の「thank u, next」を中心としたライブで、僕はその2枚しか聴いてないし、その2枚でファンになったので、もう1曲目からニコニコ、ワクワク楽しくって仕方ないライブ・アルバムです。
近作以外の曲も代表曲を網羅してるんでしょう。まぁまだ5枚しかないからな。
デビュー時からのファンにとってもベスト盤みたいな感じで楽しめるのは間違いない。
ヒップホップ仕様の曲と王道のポップス仕様の曲と、アリアナの魅力がパッツンパッツンにつまった最高のライブ・アルバムですよ。
いやぁテンションあがるわ。
僕は何しろ今年のベスト1に「thank u, next」を挙げたくらいで、このライブ盤は、アリアナからの最高のクリスマス・プレゼントになりました。
「7 rings」にひっかけて「七輪」ってタトゥーいれてバッシングされちゃったけど、日本大好きなんだから、ぜひとも来年日本に来てくれないかなぁ。
旅してきた風景の記憶 [ポップ/ロック]
ブルース・コバーンがインスト・アルバム「Crowing Ignites」をリリースするというのは知ってたんですが、すっかり失念していました。
以前「スピーチレス」というインスト・アルバムがありましたが、あれが僕は大好きで。
あれはそれまでのキャリアの中で発表したインスト曲をまとめたというものでしたが、これは全曲書下ろし。
聴く前はフォーク・ジャズ的なものを想像してたんですが、本作ではそれプラス、フォルクローレというかワールド・ミュージック的というか摩訶不思議なインスト・アルバムに仕上がってます。
もちろん底の浅いエキゾチシズムなんかではなく、これまで旅してきた風景の記憶が曲の中でいくつも交錯する。そしてその旅自体がもう現実のものだったのか、想像上のものだったのかわからないそんな感じでしょうか。
プロデュースは盟友コリン・リンデン。
名人芸的なギターのほかダルシマーやカリンバなどなども操り、良い感じのコルネットが聴こえてきたなと思ったらロン・マイルス。繋がってるもんですね。
末永く付き合っていけるアルバムです。
ずばり傑作でしょう。す・ば・ら・し・い。
魂の旅は続くよ [ポップ/ロック]
ヴァン・モリソンの新作「Three Chords And The Truth」。ようやくCDが届いた。
2015年の「Duets: Re-working The Catalogue」で過去の作品と向き合って一区切りついたからというわけじゃないだろうけど、2016年には「Keep Me Singing」17年に「Roll With The Punches」「Versatile」2018年に「You're Driving Me Crazy」「The Prophet Speaks」をと、怒涛のリリースで半世紀を越えたキャリアの人とも思えない精力的な活動ぶりには長年のファンとしてはうれしいかぎり。
僕はファンとしてはちょっとヴァンには厳しめだと思う。特にヴォーカルに関しては90年代以降のヴァンはちょっと時におおざっぱすぎるかなと思ってる。
でもオリジナルをリラックスして歌えばやっぱり不器用な歌声にほだされるな。
いつも通り現在のバンド・メンバーと過去の仲間たちが参加したアルバムはまさに王道のヴァン・モリソン・ミュージックに仕上がっている。リリース前に公開されていた数曲を聴いて、まぁいつものヴァンだなと思ってたけど、こうして全部聴いてみれば思った以上に、良い。
アイリッシュ・ソウルあり、ブルースあり、ジャズありと、まぁいつものヴァン・モリソンだ。
いっつも同じなんだけどね。曲作りに関してはコード進行でいえば5パターンくらいしかなくて、同じようなコード進行の同じような曲がいっぱいある。ヴァンは典型的なシンガーソングライター気質の人でその時考えていることをすぐ歌にしちゃう人なんですよね。だから歌詞が違えば違う曲ってことなんだろう。
だからこの人はいっつも同じなんだけどマンネリには陥らないんですよね。新しい曲をいつも新鮮に歌えるってのはまぁ良いことですよね。出来た曲をすぐ録音してリリースしてっていう方が、長々とスタジオで完成度高めるより良いと思うんですよね。基本ライブ・ミュージシャンだから。
細かい違いを見てみれば今回は管アンサンブルが全く聴こえてこない。自身がサックスを数曲で吹くだけ。それとストリングス関係と女性コーラスとかもなし。すっきりとしたコンボ・スタイルで攻めてますね。
古くは「アストラル・ウィークス」に参加していて、10年ほど前の「アストラル・ウィークス・ライヴ」に引っ張り出されて以来、時折ツアーにも参加していたジェイ・バーリナーのギターが冒頭の「March Winds In Feburary」はじめヴァンならではのリリカルなソウル風味を演出していて耳に残る。このサウンドはやっぱり得難い。
ちょっと前に「アンチェインド・メロディ」をカバーしたからか、ビル・メドレーを引っ張り出してきてデュエットする「FAME WILL EAT THE SOUL」やディランの「Ballad of a Thin Man」のフレーズを引用した「YOU DON’T UNDERSTAND」もあったりして楽しめる。
新しい言葉が見つからないけど、フレキシブルな演奏に気分よく歌いサックスを吹くヴァンの歌にこちらも気分よく揺れる快作です。
ちょっと気になったのがインナーに記された、
SPECIAL THANKS TO MAC, BILL MEDLEY, DON BLASK
の表記。
ビル・メドレーはデュエットで、ドン・ブラックは作詞で参加しているのでわかる。
最初に記されたMACなんですけど、クレジットにマックって人は見つからない。おそらくこれはマック・レベナック。ドクター・ジョンのことだと思う。
ニューオリンズでもレコーディングしているので、その折にひさしぶりに顔を合わせていたかもしれない。かつて一緒にアルバムを制作したこともある盟友へ「俺の魂の旅は続くよ」ってな想いも感じて、グッとくる。
iriのライブ後遺症で [ポップ/ロック]
夏の終わりに [ポップ/ロック]
まがい物っぽさと瓢箪から駒な本物感 [ポップ/ロック]
スポティファイで聴いた時はとにかくエネルギー全開でお腹いっぱい。ついでにうるさいなぁ。って感じで買う気はなかったんだけど、アマゾンのマケプレで600円位で売ってたので、思わず買っちゃった。
買えばそれなりに繰り返し聴くわけで。
やっぱいいわ。元気いっぱいで、70過ぎのじいさんがこんなにゴリゴリに元気だといよいよ若いもんは太刀打ちできなくなっちゃうよなぁ。ブリブリなベースにグルーヴィなオルガンも良い。
多分スタジオ一発どりみたいなライブ感で、奥方のシンディ・ブラックマンのドラムも押せ押せです。アフリカっつっても普段アフリカ音楽を色々聴いてればこれ聴いて特別アフリカって感じなんかしないよな。どっからどう聴いてもサンタナのラテン・ロック。
そもそもサンタナの音楽はいつもなんちゃってな感じが漂うというか、ラテンでさえそう。多分学究的に追求するんじゃなく感覚的に対象に向かっていくからなんだろう。
まがい物っぽさと瓢箪から駒な本物感が同居するところが魅力なのかもしれない。
ってのは今思いついた。
ちょっと驚くのは作曲のクレジットにラシッド・タハやシェイク・ローの名前があること。
とりたててそれが音に大きな影響を及ぼしてりとも思えないけど。
ほとんどの曲がワン・モチーフ、ワン・ジャムって作りで、歌は入っても起承転結のある歌じゃなくて、ブイカが即効的に歌をのせたって感じ。そのライブ感が良い。
いい汗かかせてくれる力作です。好きだな。
「まばたき」が名曲すぎるので [ポップ/ロック]
J-POPの新譜は水曜日リリースが多いんですよね。
なので今日は色々聴きたのがあるんですけどー。
でもでもでも。
今日はSCANDALのニューシングル「マスターピース / まばたき」について。
いやそれはこないだレビューしたろ!って話なんですが。
ラジオで聴いただけだった「まばたき」があまりに名曲過ぎるので、この一曲のためにまたやります。
いやぁ今朝さっそくダウンロードして今日はこれと昨夜の「PRISM」ばっかりリピートしちゃうな。
「まばたき」はドラムのリナの作詞作曲の80’sポップな曲です。トモミとハルナのダブル・ヴォーカルでね。やっぱトモミのヴォーカルにすっかりやられてしまっています。最初はこのアニメ声苦手だったんだけどなぁ。
片思いの曲ですね。
揺られたり 焦がれたり たまに夢でふたり
このまま醒めないで 夜の意地悪
この「♬夜のいじわるぅ♬」で身をよじっている私はバカ?いやだってキュートすぎるもん。
ハルナのヴォーカルのおかげでキュートな中にもクールさも漂う他では得難い名曲です。
曲自体はとてもシンプルなのに、ドラムパターンがやたらとテクニカルでリナのドラミングには毎度毎度痺れます。サビから間奏に続くあたりすっごいなぁ。こんなクールにドラム叩いて、こんなキュートでポップな曲も作るなんて才能あるぅ。
このリナのドラムとトモミの「♬好きな~のに~♬」を聴くためだけに次のライブに行きたいです。
歌詞を検索するつもりがMVが出てきた。そうかこのシングル両方ともメインだったっけ。このMVもめちゃいい。今更だけどジャケも良いしCDで買うべきだったなぁ。いやいずれ買うけど。
日本語のままのフロウ [ポップ/ロック]
新作が気に入ったのでiriの昨年のシングル「Only One」をダウンロード購入。といっても新作に半分は入ってるので、「Stroll」「Come Away」の2曲だけね。
これまで彼女がリリースしたアルバム2枚とEPをひととおり聴いてみたんだけど、2ndまではまだバックトラックと歌やラップがまだそぐわないというか、気鋭のトラックメイカーによる音と彼女の声が相乗効果を生み出してない。グルーヴしてない感じがしたんですね。
最新のファッションに身を包んだはいいけど、どこか着せられてる感がありありって感じで。
でも昨年のシングル「Only One」から体にびしっとフィットしてバックトラックを上手く乗りこなすことができるようになった。カッコいいんですよ。
あと新作でも感じたんですが、彼女の歌詞はそれほど言語感覚としてはそれほど新しい感じはなくて、すごくスタイリッシュな言葉遣いをするところもあって。でも日本語が日本語のままで普通に現代的なR&Bやヒップホップの音にのっかっていることに、改めて驚きました。メロディに言葉をのせるじゃなくてリズムの乗っける。まさにフロウ。
iriが特別ってわけじゃなく、若い世代にはそれが普通にできるってことに、90年代あたりのJ-POPと比べてももう隔世の感がありますね。
浮遊するレゲエ・ビートにトースティングなラップをのせる「Stroll」、歌とラップがシームレスにつながるハウスな「Come Away」。共に素晴らしくグルーヴィ。
タイトルに偽りなしなマスターピース! [ポップ/ロック]
CDは来週リリースのスキャンダルのシングル「マスターピース / まばたき」。
「マスターピース」の方は配信が今日から始まったので、早速ダウンロード購入しました。
いやぁカーッコイイねぇ。基本バッキバキのロックしかスキャンダルには求めてないので、これだよこれですよ!
なんの変哲もないロックンロール。新しいところんなてひとつもない。なのになぜにこんなに新鮮なのか。謎です。言ってみりゃツェッペリン風のギター・リフをもったロックで、こういうロックを聴くと十中八九どころか十中十、一体何番煎じだよ!と退屈でうんざりしてしまうのに、スキャンダルだけは、新鮮に響くんですよ。ほんと自分でも謎です。
多分こういうロックをやる人たちはだいたいが、過去のそういうロックをが好きでいっぱい聴いてるので、なぞってる感がでちゃうというか、見本が透けて見えちゃうんですよね。
でもスキャンダルの場合は、前にも言いましたけど、そもそもがそんなにロック・ファンってわけじゃない。多分ツェッペリンとかあんまり聴いてないよね。だからなぞってる感が全然ないんじゃないかな。
それにしてもカッコいい曲だな。多分マミ&リナのコンビかな。ギターリフが良いよね。微妙にリズム・チェンジがあるところがカッコいい。相変わらずリナのタイト&シャープなドラムが素晴らしい。痺れます。ついでに相変わらず曲構成が微妙に変ですよね。2番のサビの前に変なブリッジに突入したりして。前作あたりから、ハルナのギターがパワーコードを鳴らすだけでなく、マミとのアンサンブルを意識したものになったのもポイント高い。トモミのベースもぶっとくグルーヴィ。ギターソロもなく辛口な仕上げも潔し。最高です。今これ以上かっこいいロックはありません。
もう1曲「まばたき」の配信はまだですが、ラジオで聴きました。
こっちの方が聴いた時はテンション上がったかも。だってここしばらく絶えて久しかったハルナとトモミのダブル・ヴォーカルだったから。曲の方はリナの単独曲らしく、前に合った「I Want You」と同じく80’sポップなキュートな曲で、これがまた「マスターピース」とは打って変わって良いんですよ。改めてバンド全員曲を作れて歌えるって強いよね。バンドとして抽斗がいっぱいあるんだもん。アルバムは秋口かな。期待して待ちたい。ツアーがあるんだっけ?見たいな。
そんなわけでタイトルに偽りなしなマスターピースなシングルです!