Today's choice 2023.04.20 [Today's choice]
今夜はブルース・スプリングスティーンの2005年作「Devils & Dust」。
ボスのアコースティック作は「ネブラスカ」が評価が高いけど、僕は好きじゃない。メロディの起伏の少ない曲をぼそぼそと歌うだけで全然魅力を感じない。
そもそもボスはロックンロールがルーツなので、フォーク・ソングを全然わかってない。後に「シーガー・セッションズ」として発表されるピート・シーガー所縁の曲をたくさん聴いたことで、トラディショナルな曲のメロディの豊かさや音楽としての豊饒さを知る。それが本作の充実にも表れているように思う。
そうなるとストーリーテラーとしての良さがより明らかになる。以降のアルバムの音楽的豊かさにも繋がってゆく秀作。
ひさしぶりに引っ張り出したら、このCD片面がDVDなんですよね。この頃はこういうのたまにありました。DVDは確かボスの弾き語りが入っていたいような気がする。ちょっと見てみようか。
Today's choice 2023.04.19 [Today's choice]
図書館ってなんか変なCDが結構置いてある。
なんでこんなの?っていうようなのが。誰が借りるんだろうみたいな。まぁ僕みたいなのが借りるわけですが。
今日借りてきたのがキャロン・ウィーラーの「リミックス・オンリー・ジャパン」。
「UK ブラック」収録曲のリミックス・ヴァージョンを集めた日本独自編集盤。
どの曲も聴き慣れたアルバム・ヴァージョンとは違う肌合いで、カッコいい。中にはオリジナルより耳を惹くものも。この頃からただのリミックスじゃなくリプロダクション的なものが増えていったこともわかる。
以前はタダの別ヴァージョンという認識しかなかったけど、最近リミックスって面白いなとようやく気づいた。多分最近の僕の趣向がよりダンサブルな音楽に傾いているせいだと思うけど。
こういうリミックスってサブスクではあまり聴けないんですよね。っていうかスポティファイみたら「UKブラック」がないじゃん。これは遺憾です。
Apple Music Playlist 2023.04.18 [Astral's AM Playlist]
Dorothy Ashby:Hip Harp
そんなわけでドロシー・アシュビーを聴いてみる。あのハープのドリーミーなポロロ~ンが飛び出してくるかと思ってたら、意外にも違和感ない普通のジャズでした。フルートがフロントのカルテット。フルート・ソロの後ろでの演奏は聴きようによってはギターに聞こえなくもない。あんまりポロロ~ンってやってないんですよね。「ムーンライト・イン・ヴァーモント」のようなロマンチックな曲ではやってますけど。普通に良質なジャズですね。もちろんハープという楽器の面白さもあります。
ピアノを配してないのはピアノのような和音楽器があると邪魔になるのかもしれないな。そういえばブランディ・ヤンガーもピアノでなくジョエル・ロスのヴァイブを使ってましたね。
Apple Music Playlist 2023.04.17 [Astral's AM Playlist]
有明ガーデン・シアターにて [イベント]
昨夜はボブ・ディランのライブへ行ってきました。
会場は有明ガーデン・シアター。初めて行ったんですけど、まだ出来たばかりの会場らしくとても綺麗。そもそも国際展示場駅周辺は大きなビルばかりで、普段の生活圏とは全く違うので久しぶりのライブということもあり、なんだかお上りさん気分でしたね。
ライブは良かったなぁ。
バンドが良いんですよね。場末のバー・バンドのような風情が漂っているのが味で。
有名なセッション・ミュージシャンでなく、ローカルたたき上げのミュージシャンたちによるグルーヴがカッコよかった。ディランもピアノを弾きながら気分よく歌っていましたね。
以前は有名な代表曲をお約束でやったりしてましたけど、最近はそういうこともなくなって、そもそも新作「ラフ&ロウディ・ウェイズ」からあの長尺曲「最も卑劣な殺人」以外は全部やっていて、珍しいですよね。ベテランになると新作を出しても2曲くらいしかやらないのが常なのに、実際それらの新曲がすごく良いんです。相変わらずアレンジがスタジオ版とは違っていて、あれ?この曲なんだっけって。そんなのもディランのライブの楽しいところ。
あと、バディ・ホリーのカバー「ノット・フェイド・アウェイ」なんかもやってくれて、ボ・ディドリー・ビートで盛り上がりました。
いやぁコロナになってからライブから足が遠のいていましたが、やっぱライブっていいいな。ライブ後の友人たちとのひさしぶりの飲み食いも楽しかったし。次は誰のライブかな。
ハープの夢幻的調べが夢現へと誘う [R&B/JAZZ/etc]
ハープ奏者ブランディ・ヤンガーを知ったのは前作「Somewhere Different」で、ただハープという楽器にあまり関心を持てず、前作もチラッとした聴かなかったけど、新作「Brand New Life」は冒頭の「You're a Girl for One Man Only」を聴いてその夢現のようなサウンドに心奪われてしまいました。ハープの夢幻的ソロがシームレスにジョエル・ロスのヴァイブに引き継がれてゆく様には目眩を覚えます。
この曲はじめジャズというよりR&B的グルーヴが濃厚で、キャリアを調べてみるとラップとかイマドキなジャズとのかかわりの深い人で、まだ若い人かと思ったら83年生まれというから、今年で40歳なのでもう結構なキャリアですね。
ハープというとあのポロロロロ~~~~ンというサウンドが思い浮かびます。ポピュラー音楽で使われるハープの音色というのは多分にあれが効果音的に使われているんじゃないでしょうか。
実際楽器の性質上あのポロロ~ンが決め手なわけで、本作でもサックスやピアノのような骨格のはっきりとしたソロとは違う、どこか背景色というか夢幻的なサウンドで音楽に特殊効果をもたらしている感じがします。
ハープというとどうしてもクラシックの楽器というイメージがあるけど、その起源はどこにあるんですかね。まぁ弦楽器なんてものはアフリカ~アラブあたりに起源があるものだし、アフリカのコラのように似た音色の楽器もあります。
本作はジャズ・ハープの先駆者ドロシー・アシュビーにインスパイアされたアルバムらしく、そのドロシー・アシュビーの曲やそこにブランディがアダプテーションした曲で構成されていて、プロデュースはマカヤ・マクレイヴン、ピート・ロックや9thワンダーの名前も見えるあたり、本作のコンセプトも見えてくるようです。自身の直接的なルーツである90'sヒップホップ的なグルーヴの下にドロシー・アシュビーの音楽を蘇らせるといったところでしょうか。
僕はアリス・コルトレーンですらちょっと前に初めてちゃんと聴いたくらいで、ドロシー・アシュビーは全く聴いたことがないし、そこらへんを踏まえての評価は全くできませんが、彼女の意図した試みは概ね成功してるんじゃないだろうか。
アルバム・タイトル曲「Brand New Life」はムームー・フレッシュがヴォーカルをとるネオ・ソウル。ミシェル・ンデゲオチェロが歌う「Dust」はミシェルの「Comfort Woman」を思い出させるレゲエ・グルーヴで演奏される。9thワンダーの無機質なビートが哀愁のメロディを際立たせる「The Windmills Of Your Mind」、最後はスティーヴィー・ワンダー「If It's Magic」の独奏で麗しく幕を閉じる。
この曲は原曲もハープをバックに歌われるんだけど、レコードを引っ張り出してきてクレジットをみると、この曲でハープを弾いているのがドロシー・アシュビーでした。うーん、アルバムの構成はもう完璧ですね。
とにかくハープの夢幻的調べが夢現へと誘う他に比べるもののない逸品です。
Here Come the Bluebirdsについて [ひとりごと]
ブルー・ナイルの2004年作「High」は、当時日本ではCCCDで出たので、輸入盤を買ったんだけど、それもCCCDだった。確かUK盤だったのかな。
なので、それは手放してCCCDじゃないのに買いなおしたいと思っているうちに時は経ち。
2020年にボーナストラック付きでリマスター盤が出てるんですね。
あまりボーナストラックとかには興味を惹かれないんだけど、「Here Come the Bluebirds」は未発表なのが不思議なくらいの完成度で、ひそやかなソウルに胸震える。
なので、それは手放してCCCDじゃないのに買いなおしたいと思っているうちに時は経ち。
2020年にボーナストラック付きでリマスター盤が出てるんですね。
あまりボーナストラックとかには興味を惹かれないんだけど、「Here Come the Bluebirds」は未発表なのが不思議なくらいの完成度で、ひそやかなソウルに胸震える。
Apple Music Playlist 2023.04.12 [Astral's AM Playlist]
Today's choice 2023.04.11 [Today's choice]
Apple Music Playlist 2023.04.10 [Astral's AM Playlist]
Kenny and The Planotones:For Your Love
突然ケニー・ヴァンスなんて人の事を思い出しまして。90年代後半に「Looking for an echo」という映画があって、映画タイトルになっているのがケニー・ヴァンスの超名曲で、あのサントラよく聴いたなぁ。随分前に手放してしまったけど。全然知らない人のために言っておくと、50年代あたりのドゥーワップをこよなく愛し、それをそのまま変に新しい味付けなどせず歌う。言ってみりゃアメリカのヤマタツみたいな人です。
最近もコンスタントにアルバムを出しててびっくり。ライブもやってるんだな。これは2020年作。本作で歌われるのもおそらくドゥーワップ・スタンダードなんでしょう。全然詳しくないけど、実際のところこれはもうたまんないですよ。ウキウキしたり、しんみりしたり、とろけそうになったり。自分の歌い演奏する音楽への愛情がこんなに音に表れている音楽もそうはない。この時点で77歳なのにこの麗しい歌声ってすごいな。脱帽です。