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ハープの夢幻的調べが夢現へと誘う [R&B/JAZZ/etc]

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ハープ奏者ブランディ・ヤンガーを知ったのは前作「Somewhere Different」で、ただハープという楽器にあまり関心を持てず、前作もチラッとした聴かなかったけど、新作「Brand New Life」は冒頭の「You're a Girl for One Man Only」を聴いてその夢現のようなサウンドに心奪われてしまいました。ハープの夢幻的ソロがシームレスにジョエル・ロスのヴァイブに引き継がれてゆく様には目眩を覚えます。

この曲はじめジャズというよりR&B的グルーヴが濃厚で、キャリアを調べてみるとラップとかイマドキなジャズとのかかわりの深い人で、まだ若い人かと思ったら83年生まれというから、今年で40歳なのでもう結構なキャリアですね。

ハープというとあのポロロロロ~~~~ンというサウンドが思い浮かびます。ポピュラー音楽で使われるハープの音色というのは多分にあれが効果音的に使われているんじゃないでしょうか。
実際楽器の性質上あのポロロ~ンが決め手なわけで、本作でもサックスやピアノのような骨格のはっきりとしたソロとは違う、どこか背景色というか夢幻的なサウンドで音楽に特殊効果をもたらしている感じがします。

ハープというとどうしてもクラシックの楽器というイメージがあるけど、その起源はどこにあるんですかね。まぁ弦楽器なんてものはアフリカ~アラブあたりに起源があるものだし、アフリカのコラのように似た音色の楽器もあります。

本作はジャズ・ハープの先駆者ドロシー・アシュビーにインスパイアされたアルバムらしく、そのドロシー・アシュビーの曲やそこにブランディがアダプテーションした曲で構成されていて、プロデュースはマカヤ・マクレイヴン、ピート・ロックや9thワンダーの名前も見えるあたり、本作のコンセプトも見えてくるようです。自身の直接的なルーツである90'sヒップホップ的なグルーヴの下にドロシー・アシュビーの音楽を蘇らせるといったところでしょうか。
僕はアリス・コルトレーンですらちょっと前に初めてちゃんと聴いたくらいで、ドロシー・アシュビーは全く聴いたことがないし、そこらへんを踏まえての評価は全くできませんが、彼女の意図した試みは概ね成功してるんじゃないだろうか。

アルバム・タイトル曲「Brand New Life」はムームー・フレッシュがヴォーカルをとるネオ・ソウル。ミシェル・ンデゲオチェロが歌う「Dust」はミシェルの「Comfort Woman」を思い出させるレゲエ・グルーヴで演奏される。9thワンダーの無機質なビートが哀愁のメロディを際立たせる「The Windmills Of Your Mind」、最後はスティーヴィー・ワンダー「If It's Magic」の独奏で麗しく幕を閉じる。
この曲は原曲もハープをバックに歌われるんだけど、レコードを引っ張り出してきてクレジットをみると、この曲でハープを弾いているのがドロシー・アシュビーでした。うーん、アルバムの構成はもう完璧ですね。

とにかくハープの夢幻的調べが夢現へと誘う他に比べるもののない逸品です。
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