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ビートの緊張感を失わないアフロビート・ジャズ [アフリカ]

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アフロビートってのは聴くときにちょっと気合が要りますよね。
パワー負けしないように聴く方にも気力体力十分が義務付けられるっていうか。
一日の疲れを取りながら夜のリラックスタイムにフェラやシェウンはちょっと聴けない。
でもアフロビートのグルーヴだけは享受したい時もあります。

とはいえジャズ風味のアフロビートにはあまり食指が動かなかったのが正直なところ。あの手はどうもゆるすぎると感じることが多くて、トニー・アレンの以前のアルバムもなんだかクラブ・ミュージックに毒されてるように思えちゃって。
ジャズ・フュージョン風のアフロビートってのに僕は魅力を感じない。最近アフロビートはメジャーなひとつのビートとしていろんなところで耳にすることも多いんだけど。ビートの緊張感が失われててなんだかなぁって感じちゃう。

このマイケル・ヴィールという人はフェラ・クティの評伝も書いてるフェラ・クティ研究家らしいんですが、自身のバンドを率いてのMICHAEL VEAL & AQUA IFE「Volume 2」がかなり良い。
アフロビート・ジャズというジャンルがあるのか知りませんが、今まで聴いたアフロビートを取り入れたジャズとしては一番気に入りましたね。本人はベースを担当。

アフロビートっていうとなんだか怒涛の一本調子、ワンパターンで押しまくるみたいな印象も無きにしもあらずなんですが、さすがフェラ研究家だけあってアフロビートといっても様々なリズム・パターンや楽器のアンサンブルが丁寧に紡ぐように組み上げられていて関心。
ジャズ・フュージョン的に崩すことなく緊張感のあるビートの上にジャズとしても聴きごたえのあるサックスやトランペットのソロが乗っていく。こういうのが聴きたかったんですよね。

3曲目の「Bonnet Ray Blues」なんかはロフト・ジャズを思い出すようなホーン・アンサンブルとアフロビートがクールに融合されて面白く聴けるし、大学で教鞭もとってるのかな、表の仕事の合間にじっくりとライブで磨き上げられていったであろう楽曲の完成度と演奏の円熟度も聴きごたえのあるものにしている。
インテリの研究発表のようにならないのは普段はジャズ演奏家として活動するメンバーのフレキシブルは演奏によるところ大でしょうね。

ウェイン・ショーターの「Super Nova」もオリジナルの印象的なフレーズをホーン・リフに使いパワフルなアフロビート・ジャズに仕立てあげていてカッコいい。途中で転調したりして、この曲に限らず一本調子にならないようにアレンジなど丁寧に工夫されていてるのが良い。

今どきストリーミングでは聴けない本作。
アフロビート・ジャズの秀作としてかなーりのおすすめです。
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