SSブログ

スキャンダルさくさくレビュー [ポップ/ロック]

スキャンダルのこれまでのオリジナル・アルバムをすべて入手したので、まとめてレビューしましょう。わかりやすく点数もつけとこう。

SCANDAL1.jpg
1st「BEST★SCANDAL」(2009)
記念すべきファースト・アルバム。これ以前にインディーズでミニアルバムを制作してるみたいですが。
「SCANDAL BABY」「少女S」「DOLL」などは現在もライブで演奏されるナンバー。彼女たちのこの時点の演奏力に合わせた同じようなシンプルな曲ばかりなので、アルバムとして単調なのは否めない。本人たち作曲はまだなし。作詞にはかなり参加してますが。鍵盤類はほとんど加わらず。ジャケ通り高校の学園祭バンドにまだ毛も生えない。事実ハルナ以外はまだ高校生だった。
≪5/10点≫

SCANDAL2.jpg
2nd「TEMPTATION BOX」(2010)
「EVERYBODY SAY YEAH」は現在もライブの盛り上がりナンバー。トモミのアニメ声にお腹がよじれそうになるガール・ポップ「放課後1H」。曲によっては鍵盤類も加わりかなりポップな曲もあり。演奏力も含め一年分の向上は感じられるセカンド。「≪5/10点≫

SCANDAL3.jpg
3rd「BABY ACTION」(2011)
ストーンズ風のギターリフがキマッた「GLAMOROUS YOU」。サビの支離滅裂な歌詞が楽しい「その時、世界はキミだらけのレイン」。2ndの後、カバー・アルバムで「ロックンロール・ウィドウ」をやった縁か阿木耀子/宇崎竜童による「スキャンダルなんかブッ飛ばせ」もあり。曲調といい詞といい古い。レトロを狙ったのか作者の感覚の古さなのか(たぶん後者)。「Burn」「Pride」などロックの名曲と同名の曲などあり諸々勉強中という感じ。そして遂にバンド・オリジナル曲「Very Special」(トモミ詞・リナ曲)が登場。これまでを踏まえた楽しくポップなロック・ナンバーだが習作の域は出ず。もちろん演奏力は1年分向上。バンドとしてのまとまりが出てきた。
≪5/10点≫

ここまでの3作は用意された課題≒楽曲をこなすだけでいっぱいいっぱいの研修期間。セカンド以降は様々なタイプの曲を演奏しているが、どの曲も一面的というか表情がひとつしかないので、続けて聴いていると引っかからず流れていってしまう。要するに薄っぺらい。3枚とも研修期間に発表した習作。それ以上でも以下でもない。拙くてもスタジオ一発録りとかだったら、また違ったものになったかもしれない。もちろん大ファンなので楽しめるけどね。

SCANDAL4.jpg
4th「Queens are trumps-切り札はクイーン-」(2012)
個人的には本作をスキャンダルの真のファースト・アルバムと呼びたい。
一曲目の「Queens are trumps」からしてこれまでよりグッと腰の座ったナンバーで、何よりバンドらしくなった。互いの音に耳を澄ましているのが伝わってくる。「ピンヒール・サーファー」のような、どポップな曲もあるが、バンドとしてのアイデンティティの萌芽が音からも感じられるようになった。
なにより一曲だけあるオリジナル曲「ビターチョコレート」(この曲もリナ曲・トモミ詞だ)がいい。アルバム中でもかなり渋く、アレンジも凝った曲でタイトル通りビターな味わいを持っている。ほかのどの曲よりも、このオリジナル曲が魅力的なのがなにより嬉しい。と言って前言を翻すようだが、本作の白眉はマミの歌う「声」。剥き出しの歌心が胸に痛い。ザ・フーな「Bright」のハルナのハンサムな歌も好きだ。ホップ・ステップ・ジャンプのホップにあたる作品。
≪7/10点≫

SCANDAL5.jpg
5th「STANDARD」(2013)
以前レビューしたけど、もう一度軽く。前作以上に曲調が多彩になり、その分とっちらかってはいるけど演奏はより安定感を増している。鍵盤比率の高い楽曲はポップな反面、バンド感が希薄にもなっている。
けつまづくような勢いで奏される「涙よ光れ」で頬を伝う涙は、もう夢見る少女ではいられないことを知った4人の少女時代への決別の涙だ。続いて遂にマミの曲が登場。乱痴気騒ぎのようなアルバム・タイトル曲「STANDARD」。ここで既に彼女たちは自分たちのスタンダードを探り当てていたのだろう。ホップ・ステップ・ジャンプのステップにあたる作品。
≪7/10点≫

あまりに素晴らしい名盤「Hello World」を基準にしたので点数はちょっと辛口になってしまったかな。でも実際こんなところだろう。こうした初期の作品のあとに「Hello World」を聴くと、あまりのバンドとしてのスケールの違いにほんとうに驚いてしまう。こんなドラスティックな変化を遂げたバンドもあまりないと思う。表面的な音楽性が大きく変わったわけじゃないのに、音楽自体が内包するスケールが桁違いに大きくなった。

最新作での大きな飛躍は4人全員の成長によるものなのは間違いないけど、なにより「Hello World」でもっとも多くの5曲(他メンバーとの共作を含む)を書いているマミのソングライターとしての成長が大きいのもよくわかった。

あと初期の作品を聴くと、彼女たちはまわりのスタッフに恵まれたなと強く思う。成長を促すような曲を提供し、我慢強くバンドが育てられているというのが伝わってくる。アルバムにはチーム・スキャンダルのクレジットがいつもあるけど、「Hello World」という確かな成果はチーム・スキャンダルの勝利でもあるだろう。
nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

ころん

おお~、スキャンダルのオリジナル・アルバムを全部集められましたか!それは素晴らしいですね~。ワタクシはまだ「テンプテーション・ボックス」をゲットしていませんので、先を越されてしまいましたね。

4枚目からが真のファースト・アルバムというご意見には、ワタクシも同感です。ここでやっとプロとしての実力が備わって来たという感じですね。そこから「ハローワールド」への大ジャンプ、素晴らしいです。それにしてもこのバンド、よくぞここまで成長しましたよね~。驚愕の進化だと思います。
by ころん (2015-03-15 16:49) 

Astral

ころんさん

全部集めちゃいました。
初期の作品を聴くと、全然こなせてないじゃんと思うことも多々あるわけですが、そんなとこも含めて楽しんでます。
少なくとも最初の3枚から「ハローワールド」での飛躍を想像するのは難しいですよね。ほんとありえないような大ジャンプだと思います。
by Astral (2015-03-15 18:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。