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ケルト人の夢 [本]

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マリオ・バルガス・リョサの2010年作「ケルト人の夢」を読みました。邦訳出版は昨年。
図書館で予約してから半年くらい待たされている間、この人の作品を一度も読んだことなかったので、「楽園への道」と「密林の語り部」を読みました。両方ともとっても面白かったので、より一層この本への期待が高まってたんです。

実在したアイルランド人、ロジャー・ケイスメントの物語。
外交官としてコンゴ、ペルーにわたり、そこにヨーロッパ人が存在する意味は、近代化への道を拓く助けとなるためなどでなく、虐待と残虐行為を伴う強欲によってアフリカから搾取するためであることを目の当たりに知る。
その経験から自身の故国アイルランドもイギリスの植民地であると強く意識し、独立闘争に身を投じていく。同性愛者でもあったことにもよる孤独感を抱えながら、一途に虐げられた人々のために奔走する。
人道主義・愛国主義に没入していき、それだけでは何の解決にもならないことを知りながら、その中にしか自らの人生を見いだすことが出来ないケイスメント。
最後は武装蜂起を止めるために帰国するが、反逆罪で絞首刑になる。

500ページを超える大部の小説でしたが、四日で読み終えてしまった。素晴しい作品でした。
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