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9.11の後に [ポップ/ロック]

Never Seen Everything.jpg

つい先日、ブルース・コバーンが来日しましたね。好きなアルバムがいくつかある程度で、それほど熱心なファンとは言えないけど、クアトロとかでやってほしかった。それなら見に行ったんだけどな。ビルボードじゃね。行く気しない。

コバーンのアルバムでとても印象深いのが2003年の「You've Never Seen Everything」です。
当時僕は9.11が起こった後に欧米のシンガーソングライターがどういった歌を歌うのか興味があった。普段から政治的な発言をしたりリベラルな人達も多いし。

事件に関して歌うにせよ、歌わないにせよ、その反応に興味があった。直接的に歌う人もいたし、傷ついた人たちを励ますような歌を歌う人もいた。正直あまり音楽として惹きつけられるものはなかったかな。ロックからだんだん離れていった頃でもあったし。

ただコバーンのこのアルバムには深く納得したというか。なんていうんでしょうね。とりたてて歌詞で9.11を歌っているわけではないんだけど、そもそも輸入盤で買ったので、歌詞に関して深く読み込んでいるわけでもないんですが。とにかく深く胸に響いた。それが音楽としての説得力なんでしょうけど。このアルバム・タイトルにも胸を突かれた。

そんなことを抜きにしても盟友コリン・リンデンによるプロデュースによる本作は傑作です。血なまぐさい光景を前に透徹した視線を感じさせるタイトル曲や「Postcards From Cambodia」のような詩の朗読ソングも静かに聴き手を惹きこんでいく。グレゴワール・マレーのハーモニカも聴こえる「Everywhere Dance」も美しい。

白眉は、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちるというトリクルダウン理論を痛烈に批判した「Trickle Down」。M-BASE一派のアンディ・ミルンなども引き込んだフォーク・ジャズは緊張感と独自性にあふれているし、単純に音楽としてチョーカッコイイ。
ひさしぶりに聴いた本作、やっぱ傑作だとの思いを新たにしました。

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