瞳の奥の秘密

刑事裁判所を退職したベンハミンは、残された時間で25年前に起きた忘れ難い事件をテーマに小説を書くことを決心し、かつての上司で今は判事補のイレーネを訪ねる。それは1974年、銀行員の夫と新婚生活を満喫していた女性が自宅で殺害された事件。当時、渋々担当を引き受けたベンハミンが捜査を始めてまもなく、テラスを修理していた二人の職人が逮捕されるが、それは拷問による嘘の自白によってだった…。

ファン・ホセ・カンパネラ監督「瞳の奥の秘密」。
美しいピアノの調べに乗って始まる冒頭の回想シーンだけで、これはいい映画だと確信。
実際ひさしぶりに映画らしい映画を見た気がする。
重厚な人間ドラマであり、ミステリーとしてもよく出来てる。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、アルゼンチン本国では大ヒットしたらしい。
知ってる役者さんは一人もいないけど、主要な登場人物を演じた方はみんな素晴らしかった。

僕は普段、映画本編が終わるとさっさと席を立ってしまうんだけど、この映画はエンドロールが流れる中、しばらく席を立つ気になれなかった。
それは、人を愛するという事の深さや意味に思いをはせずにはいられない最後に明かされる真実に胸を撃たれたからに他ならない。

演出、脚本、俳優の三拍子そろった本年度屈指の作品。強くおすすめします。