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フェラ・クティの1st or 2nd チョイス [アフリカ]

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長い間、僕にとってフェラ・クティ=アフロビートはあまりピンとこない音楽だった。
というよりも、ユッスーやサリフの方がアフリカ的と感じられたし、フェラの音楽はジェームス・ブラウンとの相似性が強くてあまり興味がわかなかったのだと思う。
これまで所有していたのは最後の「Underground System」のみ。「Zombie」は随分前だが、聴いたことがあった。

でも、昨年突然、フェラが聴きたくなり、どれを買おうかネットで調べたが、BlogなどでフェラのCDを取り上げている人はほとんどいない。取り上げていたとしても具体的に詳しく記している人はいないようだ。ビートルズやストーンズ、ロックの名盤は熱く語っている人がたくさんいるのに。ワールド・ミュージックのファンは「いまさらフェラ・クティ?」って感じなのか?

ともかく、買ったのがこの「Opposite People/Sorrow Tears and Blood」。
身体が欲していたのだろうか、一発で気に入った。発表は77年、録音は75~76年らしい。
フェラ・クティって知ってはいても、僕のように「Zombie」以外たいして聴いたことない人って結構いるんじゃないかな。だいたい、他のアルバムがどんな内容かロックのミュージシャンのようにディスコグラフィー本があるわけじゃないから、どれ買っていいのかわからないし。
だから、僕のように何買っていいかわからない人のために、僕なりにこのCDの内容を詳しく記したい。

一曲目は「Opposite People」。この曲は「Zombie」みたいなアップテンポのアフロ・ビート。イントロのトニー・アレンの煽り立てるドラム、細かく刻むリズムギターに続いて、エレピのクールなソロが2分半ほど続きテーマのホーンのリフが入ってくる。その後をサックスのソロが引き継ぐ。しばらくソロが続いた後、またホーンリフがはいってサックスのソロからトランペットへと受け継がれ、バックのホーンリフがじわじわと熱気を含んでいき、またサックスのソロへ。曲が始まって10分ほど経ったところで、ようやくフェラのヴォーカルが入ってくる。諭すような声から、バック・コーラスとの掛け合い。時折フェラの声も激しくなりながら、掛け合いが続く。バックコーラスに重なるようなホーンリフが入ってきて、エレピの短いソロに続いてテーマのホーンリフが奏でられる。エレピのリフの後で終わる。16分半。これぞアフロ・ビートって感じ。

2曲目は「Equalisation of Trouser and Pant」。16分超。
前曲とは違ってミディアム・テンポの曲。ギターとドラムのイントロに続いてインテンポになった後、エレピのソロが続く。3分半くらい経ったところでテーマのホーンリフが入ってくる。その後、サックスのソロ。そしてまたホーン・リフ。サックス、トランペット、ソプラノ・サックスのソロ。10分半くらい経ったところでヴォーカルがはいる。落ち着いたフェラの声。バック・コーラスとの掛け合い。激することなく続く。エレピのソロ。テーマのホーンリフ。サックスのソロへと続きエレピのリフで終わる。この曲は終始落ち着いた雰囲気だが、とぐろを巻くような黒さがすごい。個人的にはアップテンポの曲よりこの曲のようなミディアム、スローの曲に惹かれる。ここまでがアルバム「Opposite People」。まさに傑作といっていいでしょう。

3曲目から「Sorrow Tears and Blood」これも77年かな。
タイトル曲「Sorrow Tears and Blood」はカラクタ共和国が警察に襲撃された時のことを歌った10分ほどの曲。ドラムとギターのイントロ。インテンポになってエレピのソロ。沈うつな感じの曲だ。サックスのソロもどこか人の悲鳴に聞こえる。2分50秒ほどのところでヴォーカルが入ってくる。
バック・コーラスとの静かな掛け合い。途中ブレイクをはさんでエレピのリフからテーマのホーンリフ、サックスのソロで終わる。沈うつな曲だが、じわじわと熱いアフロ・ビート。フェラの怒りが静かに伝わってくる。

4曲目は「Colonial Mentality」。13分超。この曲もミディアム・テンポの曲。ドラムとベースをバックにサックスがテーマのホーンリフを吹いた後、インテンポになりホーンリフ、サックスソロ、ホーンリフ、トランペット・ソロ、この何度も繰り返されるホーンリフが魅力的。7分半くらいのところで、フェラのヴォーカルが入ってくる。ここでのフェラとバックコーラスによる変な譜割りのメロディが僕にはものすごくアフリカ的に感じられる。じわじわと熱い掛け合いが続き、エレピのソロの後、ホーンリフが奏でられサックスで終わる。youtubeでシェウン・クティがこの曲を演奏しているのを見たことがあるが、名曲だと思う。

アフロ・ビートというとなんだか暑苦しいイメージがあるが実際はクールといっていい、フェラのヴォーカルも熱くシャウトするわけじゃないし。ライス盤についてる篠原裕治×田中勝則両氏による対談も読み応えがあり、ようやく僕にもフェラのアフリカ音楽の中での特異性みたいなのもがなんとなくわかってきた。

結論、フェラ・クティを聴いたことのない人、もしくは「Zombie」以外たいして聴いたことない人が、次に買うべきはこれです。
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