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吐く息の白さに [ポップ/ロック]

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シンガーソングライター系の音楽はかつていっぱい聴いたので、もう一杯・充分って感じだったんだけど、サラ・ジャローズの新作「Polaroid Lovers」はなぜかとても気にってCDも買ってしまった。

この手のアルバムを何度も聴くなんてもう10数年ぶりだと思うんだけど。どこに惹かれたのか自分でもよくわからないので、こうして聴きながらあれこれ記していけばわかるだろうか。

冒頭電子音に導かれるように始まるコンテンポラリーなフォーク・ロック「Jealous Moon」。疾走感があってオープニングに相応しい。
最初聴いた時、都会的なフォークの伝統をひいてるような感じでスザンヌ・ヴェガとか思い出した。
続く「When The Lights Go Out」は出だしのメロディにコール&レスポンスのようにたたみかけるようなところが、フォーキー・ソウルでこれも良い。
3曲目「Runaway Train」もフックが効いていてキャッチーで良い。本作はプローデューサーでもあるダニエル・タシアンなど全曲共作していて、それが良い方に作用しているんでしょう。

彼女の過去作は全く聴いたことがなく、マンドリンの名手でブルーグラス系の人という印象しかない。実際本作は過去作とは打って変わってと言う感じの作品のようで、これまでの作品が好きな人には評価がわかるのかもしれない。

本作発表後のニューヨークでのライブ映像がYoutubeにあって、それを見ると彼女はアコースティック・ギターを弾いて歌ってると思ったら、オクターブ・マンドリンだった。本作でも印象的なソロを取っていて、彼女の個性にもなってる。
彼女はもう移ってしまったようだけど、以前、ニューヨークにようで、ひんやりとした都会の空気が伝わるような「Columbus & 89th」も良いなぁ。全体的に都会の雑踏に木霊しているような音像も心地よいんですよね。

コロナを経て人との繋がりに飢えていたようで、共作を含め外向的な作品なところが、個人的になりがちなシンガーソングライター作品に飽いていた僕にも響くものがあったのかもしれない。それに自作に拘らないトラディショナルなところから出てきた人だからというのもあるだろう。

冬に聴いているからか、吐く息の白さに人のぬくもりを感じるような印象を受ける作品だ。
不思議と良く手が伸びることに自分で驚きながら何度も聴いてます。

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