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試行錯誤も健全な創意工夫の糧 [ポップ/ロック]

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SCANDALの新作「MIRROR」が届きました。
ここ数年はだいぶ興味が減退していましたが、最近のシングルが良かったので、今回は期待していたんですよ。

2014年の「HELLO WORLD」から自分達で曲作りもするようになり、2016年の「YELLOW」と2018年の「HONEY」でそれが完成の域に達し、バンドとしても個性が確立されました。
そこからの新たな変化ということで前作「Kiss from the darkness」はあれこれ試行錯誤していましたね。
そろそろ変化が必要だろうなと思っていたので、試行錯誤するのは良いと思うんですけど、外部からトラック・メイカーを連れてきたり、他力本願というか、付け焼き刃的な試みが安易に感じられました。

そんなことも踏まえてというか、今回は新たな試みもこなれてきた感じがします。
冒頭、タイトル曲と続く「etarnal」をはじめ多くの曲でプログラミングも交えてますが、これが巧妙なんですね。バンド・サウンドを活かしながら、それを補強したり、隠し味のように取り入れられていて、新たな要素をわかりやすくアピールするのとは逆のアプローチで、僕はこの方向性を支持したいです。

タイトル曲はドラマチックな構成ながらコンパクトにまとめ、「etarnal」」はハルナのクールかつエモーショナルな歌声が映える。2曲ともにリナ&マミの鉄壁コンビによるもの。
続く年相応の切なさ漂う「愛にならなかったのさ」はマミの単独作、作者のリナ自身がエフェクトをかけた声で歌う「彼女はWAVE」は四つ打ちのハウス・ナンバー、これもらしさを失わない新機軸で気に入った。
トモミが歌う「愛の正体」はホーン・セクションにゴスペル・コーラスも入って、まさかのサザン・ソウル。そこにのるトモミのあのアニメ歌声が得難い妙味?を醸しています。こんな素っ頓狂なソウル・ナンバー?は初めて聴いたな。ハハハ。

素のマミが垣間見えるような「アイボリー」。まるでU2のような静かな高揚感に満ちた「夕暮れ、溶ける」は本作のベスト・トラック。
リナ作の「蒼の鳴る夜の隙間で」は、夜のしじまを感じさせる繊細なアレンジとハルナの歌が味わい深く、珍しくリナ&トモミ・コンビによる「プリズム」も歌に寄り添うアレンジ・演奏が印象的。
最後の「One More Time」は王道のスキャンダルらしいポップ・ロックを2022年に相応しくアップデート。

CDには2020年のシングル「Living in the city」「SPICE」がボーナス・トラックとして収められてます。今回はひさしぶりに全員ソロでヴォーカルをとってますね。全員曲作りができて歌えるってのがこのバンドの個性でもあるので、これも今回うれしかったことのひとつ。

バンドの成熟と深化が感じられる、試行錯誤も健全な創意工夫の糧にした快作です。うれしい。
まぁ相変わらずJ-POPサイズの音質は残念なんですけど。ここに収められた曲を演奏するライブが見たくなっちゃったな。
それとこの新作、Youtubeで丸ごと全部聴けるようにしているのは快挙だと思います。
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