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人生の単純な真理を伝える [ポップ/ロック]

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米倉利紀の「pink ELEPHANT」「green GIRAFFE」に続く新作「purple PENGUIN」が出ました。これは三部作ってことなんでしょうかね。3年連続年明けのリリースで、27枚面のオリジナル・アルバム。

今回も素晴しくクオリティの高い仕上がりに感服。曲作りの巧みさはもう山下達郎や桑田佳祐レベルだと思います。粘着質な歌声を自在に操りながら、技巧を感じさせない歌の上手さは言わずもがな、呉服隆一による編曲も特筆すべきでしょう。

日常の中で感じた事を、時にユーモアや自嘲も交えながら歌にする直截で衒いのない詞作も素晴らしい。言ってみれば人生の単純な真理を率直に言い当てるその歌詞は、ごく普通の日常を懸命に生きている人達に静かに勇気を与えるに違いない。

渋いミディアム・グルーヴの「正直者が勝者」で余裕綽々に始まり、オルガンとホーン・ラインもアーシーな「NEVER ENOUGH」、「紙」「誇り」のようなスロー・ナンバーもラブ・バラッドでなくて、人生や哲学を感じさせる歌になっているのは真摯に自分を見つめる視線があるからこそ。
以降、スティール・パンの音がユーモラスな雰囲気を醸す「特別印」なども、打ち込みでない人力演奏の妙味を感じさせるし、とにかく楽曲の出来がポップスとして極まりすぎていて、惚れ惚れとしてしまう。後半「言葉と音符」「SAVE THE DANCE」「15歳のボクへ」などの歌の包容力にも胸打たれます。

そして今更ながら気づいたのは、日本語を美しく響かせる歌手だなということ。素晴らしくディクションがいいんですよ。普段のヴォーカル・トレーニングも感じられる豊かな声量に、ごまかしのない発声。日本語を美しく歌ってくれるので聴いててとても清々しい。

90-00年代の作品を聴くともっとR&Bベッタリな音楽性というか、米R&Bにより近づこうという方向性だったのが、今はもうそういう時期もとうに過ぎて、自身の音楽を自由に無理なく提示できるようになったということなんだろう。

いやぁこれは予想以上に素晴らしいね。
日本語のスタンダードなポップスの良さが凝縮されています。デビュー30周年を飾るにふさわしい傑作だと思います。27枚目というのに、手練手管を弄しない歌の新しさにも感動しました。年末のベスト選には3年連続選出は確実だな。
それにしても「pink ELEPHANT」を初めて聴いた時は、なんか気持ち悪いとまで思ってたのに・・・
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