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若干コンサバなニュー・スタンダード [ポップ/ロック]

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本日リリースされた中森明菜のシングルに続く新作アルバム「歌姫4 -My Eggs Benedict」。
オリジナル新作はおあずけでカバーアルバム。

まず、この歌姫シリーズ及び彼女のたくさんあるカバーアルバムについて。
僕は彼女のカバーアルバムは一枚も持っていない。厳密には一枚だけもってるんだけど、それは2002年にリリースされた「歌姫D.D」で、あれはセルフ・カバーアルバムだったので、いわゆるカバー作はもっていない。ネットで試聴しただけ。

この「歌姫」というのは94年にまず最初の盤が製作された。それが彼女の発案なのか周りのスタッフによるものなのかは知らないけど、評価も高く(たしかミュージックマガジンでもその年のベストに選ばれていた)、セールスも良かったのだろう。その後、右肩下がりのオリジナル作のセールスを補填するように「歌姫」シリーズをはじめとするカバーアルバムがリリースされてきたという印象を持っている。演歌や昭和歌謡なんてのもあった。ちゃんと聴いてもいないのに言うのもなんだけど、彼女の歌唱力をもってすればどれもそれなりのものになっているのは想像できる。そしてそれなりのセールスも上げたのだろう。やっぱり大衆というものは自分の知っている曲を好きな歌手が歌ってくれるというのに弱いものなんだろうなぁ。

で、この新作だけれど、僕が原曲を聞いたことがあるのは半分くらい。上に書いたことを繰り返すけど、どれもそれなりのものにはなっている。いやそれなり以上のモノになっているかもしれない。でも。でも、オリジナル「destination」「DIVA」「ロフォ・ティエラ」の先鋭的な彼女を愛する僕には全く物足りない。タイトルになぞらえれば彼女を持ってすればこれくらい朝食どころか朝飯前なのだ。

本作での彼女の歌唱についてはまだ判断がつきかねている。彼女はここでは全てファルセットで歌っている。先週のシングルも2曲共ファルセットだった。シングルは別として本作では例えば松原みきの「真夜中のドア~Stay With Me」なんかは地声で声を張って歌っても良かったんじゃないだろうか。バラード主体の作品ということもあり全てファルセットだと若干単調に感じられる。何回か聴いてみて正直なところ、聴き心地はいいのだが、聴いていてグッと持っていかれる瞬間が残念ながら、ない。
アレンジはジャズだったり、ラテンだったり、ボサノヴァだったりバラエティに富んでいるが、どれも既存の音楽ジャンルを当てはめただけの様に聴こえる。まったくアイデアが足りない。

最近はオマラーラ・ポルトゥオンドの素晴らしすぎる新作を聴きまくっているから。比べるのもなんだけど明菜はオマーラのように時を経るほど味わい深い歌手になっていくと信じる者としてはハードルが高くなってしまうんですよ。
オリジナルを換骨奪胎するような大胆な解釈を本作に求めるのはおそらくお門違いなのだろうけど、それにしてもちょっとコンサバすぎるな。ファンは満足だろうけど。僕もファンだけどね。

やはり本作はオリジナル作のためのウォーミングアップみたいなものでしかない。若干コンサバなニュー・スタンダードとして聴くにはまぁ悪くない。もちろんこうしてアルバム一枚、現在の彼女の歌が聴けることを祝福したい気持ちはたーっぷりありますよ。ベストトラックは一青窈の「ハナミズキ」かな。典雅なストリングスにゆったりと情感を広げていく様が美しい。

でもやっぱり今年中にはリリースされるだろうオリジナル作の登場をじっと待つ事にしましょうか。
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