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土ぼこりに塗れたブルースを携えて [ポップ/ロック]

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ザ・バンドがロビー・ロバートソンぬきで再結成してアルバムを出したとき、いいアルバムだとは思っても、結局のところこれは後日談的作品にすぎないんだろうと思ってしまう自分がいた。
でも、それからまた時は流れて、レヴォン・ヘルムの「エレクトリック・ダート」聴いた時、胸を衝かれた。そこにはザ・バンド時代から綿々と培ってきたものが結実した音が豊かに鳴り響いていたから。

後日談的作品だとか、もう終わったとか、すぐに思ってしまいがちだけれども、やっぱりミュージシャンというのは死ぬまでわからない。今だめでも、いつかまた素晴らしい作品を発表してくれるかもしれない。

リトル・フィートの今年リリースされた「ルースター・ラグ」もそんな事を思わずにいられない作品だ。
再結成後のリトル・フィートの僕はよい聴き手ではない。
80年代後半、再結成して最初に出した作品を中村とうようさんは確か「リーダーが亡くなったバンドは永久解散したほうがいい」みたいなことを言っていた。僕も当時、そんなもんかなと思って聴かなかった。

でも、リトル・フィートはローウェル・ジョージだけのバンドじゃないし、もう再結成してからの方が活動期間も長い。ふとこのアルバムを購入して耳を傾けてみれば、ここでもレヴォンの作品と同様に、培ってきたものが見事に結実した音が鳴っていた。

ここにはローウェル・ジョージどころかあの二枚腰のリズムを叩き出していたリッチー・ヘイワードもいないけれど、まごうかたなきリトル・フィートの音楽が鳴り響いている。
冒頭のミシシッピ・ジョン・ハートをスワンピーなロックンロールに仕上げた「キャンディマン・ブルース」、レヴォン・ヘルムの右腕だったラリー・キャンベルのフィドルを交えて奏されるタイトル曲「ルースター・ラグ」はザ・バンドの「ラグ・ママ・ラグ」を思い出す。
再結成後にメンバーになったフレッド・タケットがいい曲を書いているし、ポール・バレアのギターも切れ味鋭く、ビル・ペインのピアノも軽やか。ラストのウィリー・ディクソンの「メロウ・ダウン・イージー」はまだこの先も続くであろうロードの土ぼこりに塗れたブルースだ。

今年こうしてまたリトル・フィートの作品に出会えた事が本当にうれしい。
聞き逃すには惜しいアルバムですよ。
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