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ボローニャの夕暮れ/シルビアのいる街で [映画]

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1938年、第二次世界大戦開戦前夜のイタリアはボローニャで慎ましく暮らすカサーリ家。美しい母デリアに憧れと劣等感を抱く17歳のジョヴァンナは内気な性格で恋愛にも縁遠い。高校の美術教師である父ミケーレは、ひとり娘を溺愛するあまり、進級をエサに人気男子生徒のダマストリとの仲を取り持つ。事情を知らず、初めての恋にはしゃぐジョヴァンナだったが、そんな矢先、校内で女子生徒の他殺体が発見される。

プーピ・アヴァーティ監督「ボローニャの夕暮れ」。
チラシのイメージから心温まる家族映画かと思ったらちょっと違った。
精神を病んでしまう娘とその娘をやたらと溺愛する父とそんな父と娘を愛しながらもそれをうまくあらわせない母の物語。なんだけど、なんか不思議な映画でした。やっぱりちょっと家族としてイビツな家族だからなのか、感情移入はできないけど、セピア色に彩られたノスタルジックな感じにほっとさせられつつ物語はぎこちなく進んでいくという、うまくいえませんが、見る価値はあります。父、母、娘を演じた三人の役者さんもとてもよかったです。

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朝、青年はホテルの一室で目を覚まし、地図を片手に街を歩き出した。2日目、演劇学校の前にあるカフェで、青年はそこにいる女性たちをひとりひとり観察し、ノートにデッサンを描く。やがてガラス越しにひとりの女性の姿を見つけた青年は、カフェを出て行く彼女の後を追う。後ろから女性に「シルビア」と声をかける青年だが、返事はない。女性を見失いかける青年だが、市電に乗り込む姿を見つけ、後を追う…。

ホセ・ルイス・ゲリン監督「シルビアのいる街で」。
シルビアを探す青年の視線が映画を見る人の視線になる。
彼の耳に聞こえてくるカフェの声や町の喧騒がそのまま僕らの耳に聞こえる音となる。
だから、まるで映画の中に迷い込んだかのようにも感じられる。

上記のストーリーを読むとそれなりの展開がありそうだけど、実際はストーリーらしいストーリーがあるわけではないので、それなりに退屈ではある。というかけっこう退屈。
でも、その退屈さは取り立てて何も起こらない僕らの日常に似ている。
それゆえに、僕はこの映画の退屈さを心地よく感じたのも事実。

空気感を楽しむ映画というか新しい表現を試みた映画という感じですが、それがあざとく感じられないのは監督の力量でしょう。面白い作品をとる監督。次作に期待。
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