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ルミ子についての覚書 [ポップ/ロック]

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昨年から小柳ルミ子についての文章をポツポツ綴ってるんですが、CDを聴いているとあれこれ言いたいことが浮かんできて、まとめようとしてもまとまりそうもないので「ルミ子についての覚書」ということで、まとめないままアップします。

昨年Youtubeで聴いた小柳ルミ子の「恋ごころ」にはほんとびっくりしました。
彼女がこんなに素晴らしい歌手であったことを全く知らなかった。
彼女のたくさんのヒット曲を耳にしたことはあってもやっぱり90年代以降のイメージがねぇ。若い友人と話しても、「子供の頃テレビで見た時から賢也と踊ってた」みたいな印象しかないわけで。

ネットで彼女のことを検索すると、彼女を歌手として評価する人というのは当然ながら70年代の「瀬戸の花嫁」とかディスカバー・ジャパン的なごく簡単に言えば清楚なアイドル歌手であった時代の彼女を愛でているって感じなんですね。

アイドル的なものに全く興味がないので僕にとってはやはり70年代後半以降の大人の歌手としての彼女をもっとちゃんと聴いて評価したい。そういう人いないからね。
今こそ歌手としての小柳ルミ子をちゃんと評価しようという妙な使命感もある。大げさですね。

彼女のベスト盤はいくつもあるんですが、主要なものは2枚。デビューから昭和年代までのシングルA面を収めた「ゴールデン☆ベスト 小柳ルミ子 シングル・コレクション」とSMS時代のシングルAB面を収録した「ゴールデン☆ベスト:SMSイヤーズ・コンプリート・ABシングルス」。
先に記したように初期のアイドル時代のヒット曲「瀬戸の花嫁」とかはとりあえずあまり興味がなかったので、SMS時代(77~87年)のシングルAB面を収めた方を購入。
これがいい曲ばっかりなんですよ。

彼女は宝塚出身なんですよね。ただ宝塚での舞台経験はほとんどないようで、宝塚音楽学校を卒業して宝塚に入団してすぐ歌手・女優としてデビューしたようです。
「わたしの城下町」のデビュー・ヒットですぐ人気が出て、「瀬戸の花嫁」をはじめとする当時の旅行会社のディスカバー・ジャパン路線のヒット曲を連発したわけですね。

70年代後半の曲は演歌的な曲も多くそれが少しずつポップス風味になっていく。でもどの曲も違和感はないです。
たとえば「恋ごころ」や「みだれ髪」でもサビの部分でグッとコブシをまわして歌ったりすると演歌的な重みみたいなものが増すと思うんだけど、彼女は演歌歌手ではないので、そこをさらりと歌っていく。そこが僕にとっては好ましい。どの曲もさらりと情緒過多にならない歌がよい。要するに僕好みの歌手なんだよな。

宝塚音楽学校でどんなことをするか知らないけど、おそらくクラシックの声楽的なレッスンを受けるんだと思う。彼女は楽譜を初見で歌えるらしいから、そうだと思う。
彼女の歌の魅力はやはりその清冽な歌声。特に高音におけるビブラートは、どの歌にも彼女の刻印をしっかりと残していく。その声楽的な発声は時にクラシック的に端正すぎるきらいがなくもない。

もともと歌にとどまらないエンターテイナー志向が強かったのだろう、90年代以降の歌って踊るエンターテイナーとしての活動によって歌手としての活動は停滞していってしまったようだ。

彼女は52年生まれだけど、同じ演歌もポップスも歌った先輩歌手としてちあきなおみ(1947年生まれ)のような歌手としての評価を得ていない。
石川さゆり(58年生まれ)は椎名林檎とコラボしたり、八代亜紀(50年生まれ)はブルース・アルバムをリリースしたり、そうやって若い世代にも評価されているのに小柳ルミ子はそういう風にならないのはやはり90年代以降のエンターテイナー的な活動が足かせになってしまっているような気がする。
彼女が歌だけに専念していたら、歌手としてもっともっと評価されていたと思う。

小柳ルミ子を聴いているとこんなに歌謡曲の王道の歌手もいないなと思う。
ある特定の世代でなく、大衆のための音楽。
歌謡曲の時代が終わりJ-POPの時代、ジェネレーション・ミュージックの時代になって彼女の歌手としての黄金時代も終わってしまったのだろうか。

最近の曲もちょっと試聴したけど、歌手としての衰えはほとんど感じられないし、ちゃんとしたプロデュースのもと、大人のラブ・ソング集でも出してくれないだろうか。

86年の玉置浩二作曲によるシングル。今となってはほとんど顧みられない曲だけど、情念が揺らめく炎のように色香を放っている。いい歌です。

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