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現代UKジャズとポエトリー・リーディング [R&B/JAZZ/etc]

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スポティファイのジャズのプレイリストに出てきたアンソニー・ジョセフ。
えーっと誰だっけ?この人。サックス奏者とか?と思ってたら。
そうだ思い出した。イギリスのポエトリー・リーディングの人だった。前作が自身のルーツのトリニダードの音楽に向き合ったとかで評価高かった。聴きそびれてたんですけど。

それでこの新作「The Rich Are Only Defeated When Running for Their Lives」。
ジャズのプレイリストに入ってることからわかる通り、シャバカ・ハッチングスなどUKジャズの音楽家が参加しています。前作のプロデューサーだったジェイソン・ヤードが本作でもアレンジを担当していて、本作を一回聴いた後に、前作を聴いてみたんですけど、リズムも多彩でカラフルな音楽性は華やかで、正直前作の方がはるかに親しみやすいです。

こちらはよりシリアスな雰囲気。でも、ゆっくりと進むグルーヴの中、古典的ともいえるポエトリー・リーディングを聴かせる「Kamau」をオープニングに、70年代のブラック・ジャズに通じる演奏と時に演劇的ともアジテーションとも聞こえる朗読は、若干敷居を高くしているかもしれないが、全体としては充実した活動を印象付ける新作です。

エチオ・ジャズなホーン・ラインの「Calling England Home」も、ほの暗くも艶っぽい演奏が磁力を放ち、耳を引きつけられます。混沌を孕んだ10分を越える「Language (Poem for Anthony Mcneil)」での熱のこもった演奏は、問題意識までも共有するからこそのグルーヴに胸を衝かれます。それも前作で、しっかりと自身のルーツを見つめなおしたからこその懐の深さゆえなんじゃないでしょうか。

6曲42分と比較的短くまとめられているのも、このテンションでこれ以上は聴く方も疲れちゃいそうですもんね。真っ向勝負の力作です。
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