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デューリー主演舞台ネタの佳作 [イアン・デューリー]

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イアン・デューリーを最初に聴いたのは「ニュー・ブーツ・アンド・パンティーズ」だったけど、リアルタイムで出会った新作はこの89年の「アップルズ」でした。
ライナーを読むと、本作が日本でリリースされた頃に2度目の来日があったようだ。ミュージックマガジンにレビューが載っていたのを覚えてる。
新作を買うようなファンではあったけど、まだライブを行くほどじゃなかったんですよね。

本作はデューリー自身が主演の舞台用に制作された曲を集めたものらしい。そんなこと知らなくてもアルバムとしてまとまりのある作品集として楽しめる。舞台の評判は芳しいものではなかったみたいだけど。

冒頭のタイトル曲はチャズ・ジャンケルも曲作りに加わったカリブの風がロンドンの街角に吹く佳曲。舞台のサントラなので、らしくない女性ヴォーカルとのデュエットや、スティッフ時代のレーベルメイトのレックレス・エリックが歌う曲があったりもする。

バックはブロックヘッズからはミッキー・ギャラガーとデイヴィ・ペインが参加。他も80年代のアルバムに参加しているリズ・ジョーンズやマイケル・マカヴォイやスティーヴ・ホワイトら。

80年代は舞台をはじめ俳優としての活動の方が活発だったからか、ミュージシャンとしての現役感の希薄さがアルバムとして求心力を奪ってしまっているのが残念。
でもフリー・ジャズ~ファンク~ヴォードビル~ロックが交錯するラスト2曲「All Those Who Say Okay」「Riding The Outskirts Of Fantasy」は他では得難いデューリーならではの妙味が堪能できて聴きものです。
停滞していた80年代のデューリーですが、このアルバムをきっかけとして90年代は活力を取り戻していくわけです。
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