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研究発表に堕しないアフロビート・ジャズ [アフリカ]

Afrotropism.jpg

もう朝から台風で雨がすごい。
これから風も増してもっとひどくなるらしいけど、大丈夫だろうか。


そうれはそうとここ数日、クティマンゴーズの新作「Afrotropism」のばっかり聴いてる。延々リピート再生してます。止まらない。
デンマークのアフロビート・ジャズ・バンド。もうこれで3枚目というのに全く知りませんでした。前2作も聴いて、もちろんそれも良かったけど、前2作をはるかに凌駕するこのアルバムの完成度は一皮むけたバンドの姿を映し出しています。
何度も聴いるうちに、これこそ僕が求めていたアフロビート・ジャズだったのかもしれないなと確信しましたよ。

この夏はマイケル・ヴィールをけっこう愛聴してました。
まぁ彼はフェラ・クティ研究家だから、音楽が本職じゃない人の研究発表というか、そういうものとして読書のBGMとかにはよかったんですよ。イージーリスニング・アフロビートとして重宝したんです。
でもクティマンゴーズのようなこんなアフロビート・ジャズを聴くと、マイケル・ヴィールは遠く彼方に木っ端微塵に吹き飛んじゃいますな。まぁ仕方ない。

一曲目からめくるめくポリリズムに心、いや身体ごと奪われる。プログラミングも交えたイントロの「Stretch Towards the Sun 」はちょっとピーター・ガブリエルとか思い出したりもするが、そんな印象もホーン陣がテーマ・リフレインを奏でだすと雲散霧消する。

グナーワのリズムをグルーヴに忍び込ませた「A Snake Is Just a String」、ジャイブ・ミュージックのようなホーン・アンサンブルが祝祭感を醸す「Call of the Bulbul Bird」。
晴朗なホーン・ラインに北欧の光を見る「Keep You Safe」。この曲に限らずテーマ・メロディには北欧ジャズのエッセンスが垣間聴こえてくる。
「Thorns to Fruit」にはエチオ・ジャズのエッセンスも。最もストレートなアフロビートの「Money Is the Curse」でさえ定石を良しとしないゆえのフレシキブルさが聴こえてくる。
本家フェラやシェウンではありえないような「Sand to Soil」はなんとも爽やか?なアフロビートだ。ジャケに移る一本の木に北欧の風が吹き下ろし、青空の下、雄大なグルーヴが地面を震わせる様。

さっきピーター・ガブリエルとか思い出すと言ったけど、曲構成が凝ったものになればもっとプログレ臭は増したろうけど、あくまでもアフロビート、そのアフロビートを元手に新たな音楽を創造しようとする意志が隅々にまで行き渡り、その聴後感はそうそうないくらいに爽快。何より研究発表にならない音楽家としての矜持に胸熱くなります。

全7曲40分という短さなのに長編映画を見たような充足感に、ほんとリピートが止まらない。これしか聴いてないので、ブログ更新にも支障をきたしてます。


ちなみに木っ端微塵に吹きとんだマイケル・ヴィールは、その後拾い集めて、また聴いてます。だってクティマンゴーズだと音楽に耳がいきすぎて読書のBGMになんないんだもの。
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