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渡されたバトンを繋いで [ブラジル]

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良いジャケだなぁ。
こんなにいい顔が並んだジャケもそうはない。
これ見ただけで絶対傑作と確信したもの。

2001年にリリースされた「Os Meninos Do Rio」。リオの子供たちって感じか。
見ての通りおじいサンバ。なんて言うのは失礼というもの。
ヴァーリャ・グァルダの古老サンビスタ達が自らの代表曲を歌い綴る。

写真上から順に左から右へいきましょうか。
イヴォニ・ララ、アルイジオ・マシャド、バイニーニョ、カンポリーノ、ダウロ・ド・サルゲイロ、エルトン・メディロス、ジャイル・ド・カヴァキーニョ、ジュランジール・ダ・マンゲイラ、ルイス・グランヂ、モナルコ、ネルソン・サルジェント、ニルチーニョ・トリステザ。
僕が知ってるのはモナルコはじめ数人だから、読み方間違ってるかもしれないけど。
多くの人が収録時60歳代で、一番若いのがルイス・グランヂの54歳かな。一番年上がイヴォニ・ララで79歳。

そのコンセプトと顔写真がならんだジャケを見れば、思い出さずにいられないのが、サンバの最初の一枚的名盤「素晴らしきサンバの仲間たち」(1976)。色合いはちょっと違うけど。
製作者はきっとあの名盤のことが頭にあったんじゃないだろうか。
イスマエル・シルヴァやマノ・デシオから手渡されたバトンを、あのアルバムが制作された当時まだ若手だった者たちが、こうしてつないできたことを証明しているような歌の数々。

どこをどう切っても素晴らしい歌しか聴こえてこない。
全部で8曲。というか8メドレー。1曲の中で3-4人が歌い継いでいく。みんなたっぷり歌ってくれるので、長いメドレーになると10分を超える。
そのサンバの美しさったらない。時には素人丸出しな素朴な歌に、なんでこんなに胸打たれるんだろう。聴いてると素晴らしすぎて時々泣きそうになる。ほんと。
聴いてるうちに胸に喜びが溢れてくる。良い音楽を聴いてる喜びじゃなくて、音楽が喜びで満たされてるから、それが聴き手にも伝播して幸福にする。そんな音楽はそうそうない。

そうかそうか。今頃ようやくわかりました。サンバって人生賛歌なんだ。
一曲目のタイトルは「100年の自由、現実か幻か?」なんてタイトルだったりするけど、そんな歌にもかかわらず人生を肯定する力に溢れてるんですよね。
収められた曲の多くはサンバ・エンレードとして作られたものなんだろうか。バックの演奏もすばらしく、歌も演奏もたっぷりで至福の1時間です。

いっぱいあってもなかなか求める音楽に辿り着けないストリーミングで、本作を見つけた自分を褒めてやりたくなる。
これだけの作品。リリース当時けっこう話題になったりしなかったろうか。こんな古老サンビスタ達の新録なんか注目されなかったかな。でも心あるサンバ・ファンには名盤と誉高いアルバムに違いない。

これはどうしてもCDで持っていなきゃいけない!と思い、探しましたよ。17年も前のこういうコミュニティ・サンバのCDなんてもう見つからないだろうなと思ったら、ありました。
アマゾンですけど、日本のアマゾンだと7000円以上もした。US、UKでも探してみつけたけど、日本には送ってくれなくて、運よくドイツで見つけた。送料込みで1200円位でめちゃくちゃ安かった。

先日届いてもう小躍りしちゃうくらい嬉しくて仕方ない。
オルランド・シルヴァのボックスもうれしかったけど、同じくらいうれしい。
ちゃんと歌詞もついていてどの人がどの曲を歌ってるかもそれぞれ写真付きで、丁寧な仕事にいっそう嬉しくなる。まさに2001年版「素晴らしきサンバの仲間たち」と呼べる超名盤です。

本作リリースからすでに17年。すでに亡くなった人もいるでしょう。
こんなアルバムがまたいつか作られてバトンが繋がれていくんだろうな。
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