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朝まで帰らないチャラ男のサンバ [ブラジル]

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ずっと記事にしようと思いながらも後回しになっていたモレイラ・ダ・シルヴァの最初期のSP録音を集めた3枚組ボックス。
「50年代」というタイトル通り、2枚が50年代前半のSP音源を集めたもので、もう一枚は56年に残した10インチアルバム「O TAL」を中心にした3枚組。

ジスコベルタスからはこの後の時代の録音を集めたものが、たしか3種類くらいのボックスで出ていたけど、数年前までストリーミングでも聴けた。でもリース契約が切れたのか今は聴けなくなっちゃった。このボックスはまだ聴けるかもしれない。
せっかくストリーミングで聴けるようにしたのなら永久的に聴けるようにしてくれればいいのに。おそらく本国でも、一般的には忘れ去られているんだろうけど、地球の反対側で聴く人だっているんだから。ストリーミング時代は廃盤とかなくして欲しい。

それはそうと、モレイラ・ダ・シルヴァといえば、歌の途中にしゃべくりが入るサンバ・ジ・ブレッキが代名詞。このシャベクリを聴いていると、どう聴いても「君かわうぃーねぇー」とか言ってるようにしか聴こえない。実際何を歌っているのかわかりませんけどね。
彼はマランドロなんて呼ばれていて、日本語だとヤクザ者なんて訳されてますけど、ヤクザという語感とこの粋なサンバは全然そぐわない。

そんなわけで僕はチャラ男のサンバと呼んでます。
この後のLP時代の方が音も良くなって聴きやすい。もちろんそちらも最高にファンキーで大好きなんですけど、この最初期の録音にぞっこんになってしまいました。
その理由は、この後の時代になるといくら遊んでも終電でちゃんと家に帰る。帰れば家には妻とかわいい子供が待っているって感じなんですよね。実際初期の曲の再演がいっぱいありますから。

でもこの50年代初期の録音は12時なんて宵の口、遊ぶなら夜が明けるまで帰らない。言ってみればこの最初期の録音集は、現役の遊び人だった時代のモレイラ・ダ・シルヴァのファンキー・サンバが味わえるわけなんですよ。

今年はネルソン・ゴンサルヴィスのボックスも買いましたけど、同世代かな。重厚なゴンサルヴィスと比べるまでもなく、好対照な軽快なそのサンバは、後のボサノヴァと直結するようなスウィング感にあふれていて、サンバの多様性と魅力を改めて教えてくれる。

今急に思いついたけど、この軽妙な味わいは日本だと植木等の無責任男なんかと通じるな。どの国でも昔の方が軽妙でユーモアある表現に理解があったのは50-60年代あたりまでだったのかな。今は芸能の世界でも重厚長大なゲージュツ的なものが幅をきかせてるから。
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