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ベトナム産ハイブリッド・ファンク [アジア/インド]

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相互リンクしていただいているころんさんのブログで、GWに関西に行った折にプランテーションで買ったCDの中で、いつも女性歌手ばかりなのに珍しく男性歌手が一枚ありました。
興味を持ってスポティファイで聴いてみたら、これがチョーカッコイイ!早速プランテーションにオーダーしてしまいました。初めてのプランテーションでのお買い物。ころんさんが紹介する前に紹介しちゃいましょう。

ベトナムの若手歌手ハ・アン・トゥアンの2015年作「Streets Rhythm」。
ハ・アン・トゥアンは2007年にデビュー、当時からベトナムではあまりなかったボサノヴァやAOR、クラブ系の音楽をやっていたようです。日本で紹介されるベトナム音楽というと民歌ばかりですが、若い人向けのこういう音楽ももちろんあるわけですね。

本作は6作目で、CDが届く前はこの人はシンガーソングライターで、自身で作詞作曲してるのかと勝手に思ってたんですが、そうじゃないようです。CDのブックレットを開くと、眼光鋭い中年男の写真が。このアルバムのプロデュース、アレンジ、ミックスをしたヴォ・ティエン・タン。この気鋭のプロデューサーこそがこのアルバムのカギを握るキーマンのようです。

冒頭、ウッドベースをバックにベトナム語のラップが聴こえてくる。初めて聴いたときはこれだけでガッツーンときました。僕は日本語のラップでさえその大半はダッセーと思ってしまう質なんですが、このラップはベトナム語とビートが素晴らしくカッコよく結びついていてこれだけでビリビリと痺れました。

このウッドベースの感じはア・トライブ・コールド・クエストの2nd「The Low End Theory」の冒頭を思い出さずにいられない。ヴォ・ティエン・タンは1968年生まれだそうで、まさにATCQのあのビートを若き日に聴いたに違いなく、そうした90年代以降のヒップホップ~R&Bのグルーヴを完全に血肉化し、ベトナムのポップ・ミュージックとして響かせているところが素晴らしい。

Youtubeで色々聴いてみるとこのハー・アン・トゥアンはこのアルバム・ジャケの印象とは違い、草食系のメガネ男子といった感じで、ごく普通のアコースティックなバラードなんかも歌っているので、彼にとっても本作はとてもチャレンジング&エポック・メイキングな作品になったんじゃないだろうか。

柔らかで繊細な節回しの中に怪しい秘密を含んだような歌声がモダンなR&B~ファンク・サウンドの中で艶やかな色気を放っている。いやR&Bというより、こりゃファンクだな。ヘビー級じゃなくてミドル級あたりのスピードと重厚さを併せ持ったファンク。

2曲目はセカンドライン・ファンクとサンバ?を掛け合わせたリズムが最高にハイブリッド。続く「Red Car」ではベースラインにドゥーワップな人声を配していて、もうこのセンスに脱帽です。以下どの曲もその完成度は凄まじく高く、全9曲たった33分しかないけど、その音楽的密度はハンパない。

ブックレットにはライナーなのかインタビューなのかわからないけど、細かい文字がびっしり記されてるんだけど、何が書いてあるんだろう。とにかくハイブリッドな音像の中に気鋭プロデューサーのエッジーな音楽センスと、それをしっかりと受け止めた若手シンガーの気概が滲む本作。傑作というしかない。


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コメント 2

ころん

ありゃりゃ、先に取り上げられるとは思っていませんでした!ワタクシも大好きなアルバムでして、ちょくちょく聞いております。とにかくカッコ良くてですね~♪ワタクシもボログで取り上げたいのですが、ネタを書いているヒマが無くて・・・。
何にしても、クールなファンク・ビートに中性的な線の細い歌が絶妙にマッチした、ベトナム・ファンクの素晴らしい傑作だと思います。
by ころん (2017-05-15 23:36) 

Astral

ころんさん

これにはビックリしましたね。
ワールド・ミュージック・ファンよりも普通のポップス・ファンに聴いてもらいたい傑作だと思います。
by Astral (2017-05-16 07:32) 

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