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村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 [本]

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良いニュースと悪いニュースがある。 多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは……。

4月の購入本はもちろんこれ。
村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。
前作「1Q84」よりは「国境の南、太陽の西」とか「ノルウェイの森」に連なる作品でしょうか。

前作が長大な物語だったせいか、今回は気軽に手癖で書かれたような印象も。その分、時々まだるっこしく感じられるこの人の作品ですが、本作は物語の運びがシンプルでとても読みやすかった。
発売日に買って翌日には読み終えちゃいました。十分楽しんだということでしょう。
賛否両論いろいろあると思いますが、良作だと思います。
しかし村上春樹の小説ってどっからどう読んでも村上春樹って感じですよね。
他の小説とは明らかに違う。これってやっぱすごいことですね。

人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
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questao

果たして村上春樹をどれほど読んだかはさておき、最後の「人の心と人の心の真の調和」のクダリに思い切り頭をひっぱたかれました。
あぁ、なんだか分かんないけど、これだ、これなんだよ。
そんな風に刮目致しました。この本の中の一文なのですか?

by questao (2013-04-15 22:08) 

Astral

questaoさん

こんばんは。
はい、本書の中の一文です。
この小説の中でももっとも深く胸に残る言葉でした。
僕らはもっと静けさに耳を傾けるべきなのかもしれませんね。
by Astral (2013-04-15 22:31) 

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