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マリアージュ・マリアージュ [本]

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キスをして抱きしめられて、初めて普通の状態になれた―あの頃。自分一人だけで、自分一人として、存在できるようになった―今。結婚と愛の変転をめぐる6つの物語。

金原 ひとみ「マリアージュ・マリアージュ」。
短編を一つだけ読んだことしかなかったので、改めてこの一冊を。

かなり自意識過剰な主人公達が恋人や夫との関係の中であれこれ思い煩う物語。と言ってすましたくなりつつも、確かに感じられる切実さに引き込まれ、登場人物が自分の周りには見当たらない人たちばかりなので自分にはあまり関係ないかなぁとも思いつつ最後まで読みきった。

印象的なカバー写真はダミアン・ハーストによるもの。
美しさとグロテスクが同居するような内容によくあってる。

私は全身を焦がして愛している。強烈に愛している。でもその愛の行方が分からない。自分が、身をたぎる愛が、どこへ向かっているのか分からない。目の前が真っ暗になっていくのを感じた。深い絶望が大きな口を開けて、このホテルのラウンジの窓の向こうの方から、この世を飲み込むような勢いで、私に向かって飛んでくる。
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